司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

募集株式の失権 その2

2009年11月20日 | 株式・新株予約権
会社法では、募集株式を発行する際、増加する資本金と資本準備金の総額を定めることが必要ですが、失権株が出た場合にどのように処理するかは定めていません。

したがって、今回決議された約1億円のうち、7,000万円しか払い込まれなかった場合、不足する約3,000万円をどこから引けば良いか分からない。。。というワケなんです。

しかも、増加資本金と準備金は、決議された発行株式数で割り切れませんので、割合的に額を減らすということもできず、困ったことになったんです。

もちろん、総額を計算式等で決議することはできるので、失権することを想定していれば、旧法のように「1株あたり●円総額●円」などと決めておけば支障は起きないはずです。

が、今回は事後処理ですから、決議されてしまった内容をどのように解釈すれば良いか。。。というモンダイです。とにかく、登記もありますので法務局に照会しなければいけませんが、その前提として、私見を述べなければいけません。

まず、一番重要なのは、「決議が有効なのかどうか」ですよね。
決議は適法に行われているのですから、失権株が出たとしても無効になってしまうことは無いハズです。

次に決議が有効だとした場合、約3,000万円をどのように減額するかがモンダイになります。
1.決議された増加資本金の額を超える払込みがされたのだから、資本金の額6,000万円はそのままとし、不足額は資本準備金から減額する。
2.決議が有効としても、不足額をどのように減額するかが定められていないのだから、取締役会において変更決議を行う。
3.決議は有効なのだから、減額については代表取締役が決定できる。

どうですか?
最初は、払込期間が始まるまでに取締役会決議の変更決議をする必要があるのでは。。。と思っていましたが、もし、決議できなかったら最初の発行決議が無効になるとの結論になりそうだったので、これはないかな。。。と。

いつもは、できるだけ選択肢ではなく、自分の考えた結論を出して相談しているのですが、今回はどれもあまり「これだっ!」とは思えず、「決議は有効」と考えられる点を押し出してみました。

法務局では、結構驚いたのですが、上記1の回答でした。
ただ、私自身はあまり納得してません。資本金と準備金が決議されたら、資本金の決議が優先されるって決まってないので。。。
登記のことだけ考えれば妥当かも知れないんですが、この結果はあまりお勧めしません。

結局のところ、会社は増資を見送り(申込証が提出されなかったので、全部失権)、仕切りなおしとしました。お金も着金しなかった(させなかった?)し、ある意味良かったかも知れません。

というわけで、今回言いたかったことは、失権した場合の資本金等の額の変更内容(例えば資本金が優先します。とか。)を決議しておく方が良いかも~。。ということです(笑)。まだまだ分からないコトがたくさんあるなぁ~と思った一件でした。
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募集株式の失権 その1

2009年11月19日 | 株式・新株予約権
会社法における募集株式の発行では、決議事項が変更されていて、そのうちの一つは、増加する資本金の額です。

以前は、株式の発行価額×発行株式数が資本金額となり、資本準備金の額を別途定めればそれを差し引いた額が資本金の額でした。
増加する資本金の額は客観的に定まるため、資本金の額を決める必要はなかったんです。

会社法では、会計が絡んでくることもあり、資本金の額、資本準備金の額は決議しなければなりません。この額は具体的な額でなく、計算方法等でも良いこととされています。

先日、ある会社が募集株式の発行決議を行いました。発行方法は株主割当で、取締役会で募集事項を決議しておりました。資本金と資本準備金の額は具体的に定め、払込額が発行価額を超える場合には資本準備金とすることとされています。

一応、こんな状況だったことにしましょう。
・発行価額 1株52,300円
・発行株式数 1,930株
・増加する資本金の額 60,000,000円
・増加する資本準備金の額 40,939,000円 (ただし、発行価額の総額を超える払込みがあった場合は、その超過額は資本準備金とする。)

株主は外国会社1社で、申込期間中に払い込みの手続がされました。
海外送金の場合、着金した際に銀行から受け入れて良いかどうかの問い合わせがあります。その際、送金元と金額を教えてもらえるのですが、金額が不足していることが判明しました(例えば7,000万)。
会社としては、とりあえず着金を保留にして、どうすれば良いか検討したわけです。

これ、失権株のモンダイになりそうです。
実際はまだ申込証が到着していませんでしたが、少なくとも払い込み金額の総額に満たないのですから、株式全部を発行することはできません。

商法の時代は、発行価額は1株あたりで決めていて(例えば5万円)、資本準備金の額も1株あたり(例えば2万円)で決めていました。ですから、失権株が出た場合の資本金等の計算も簡単です。

例えば募集株式2,000株のうち、失権しない株式数1,400株、払込額7,000万円の場合でしたら、資本準備金の額(1株2万円)2,800万円、資本金の額(7,000万円-2,800万円)4,200万円 のように自動的に計算できていました。

株主割当といっても株主1人の会社が失権することは想定できなかったのですが、さて、この状況、どうすれば良いと思いますか?
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あきちゃん

2009年11月18日 | 動物

10月の終わりのこと、我が家に新しい仲間がやって来ました。
名前は 「あき」 です。

この子は銀治の本当の妹で、私の実家に養女に入ることになっていたのですが、訳あって、我が家で2週間お預かりしていました。

↑高いところがダイスキだけど、ちょっぴり不安

↑タワーのテッペン の・ぼ・り・た・い~ 

↑ ぎん 「落ちるな。。。きっと」

↑あき 「ついにやったわっ!」

↑あき 「 落ちるとはな~に~よぉ~っ!!」

↑ 見てください!! この愛らしさ。。。

あきは、とっても女の子らしい、ネコらしいネコです。
眉毛の点々が平安貴族のようでカワユイ。

そして、この前の日曜日。
とうとうお迎えが来て、あきちゃんはホントのお家へ行ってしまいました。

別れの時、人間どもは寂しくて涙、大きいネコたちはなんだか晴々。
ワタシは、あきちゃんに忘れられないように、実家に行くことが多くなりそうです ^^; 

元気でね、あきちゃん!!

コメント (4)
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期間満了日 その2

2009年11月17日 | いろいろ

期間というのは、ワタシたちのオシゴトにとって非常に重要なモノです。会社法の一連の手続には、必ずと言って良いほど期間が定められていて、1日たりとも間違えれば致命的な場合もあります。

例えば、組織再編時の債権者保護手続などですね。 また、どんな会社でも株主総会は開かれるはずですが、その際の取締役会の決議だとか、招集通知の発送なども期間が定められています。結構奥が深くてワタシも未だに悩むことが多いのですが、詳細はまた後日に。。。

ところで、民法にはこんな規定があります。

第百四十二条
 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律 (昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

ちなみにこの規定は、年、月、週などで期間を定めた場合だけでなく、「日」で定めた場合にも適用されます。

昨日のハナシに戻りますが、新株予約権の行使期間の満了日が祝日になってしまった場合、期間満了日は当然に翌日に延びるのでしょうか??

会社法の施行前はこの解釈が疑問でした。例えば資本減少の効力発生日は、債権者保護手続の満了日の翌日とされていました。債権者から異議がない場合には、異議申述期間の満了日の翌日になります。 この考え方でいくと異議申述期間の満了日は日曜日・祝日と定めることができないことになり、月曜日や祝日の翌日に効力発生させることができなくなってしまいます。現在では、任意に効力発生日を定めることができるので、解消されてはいますが、当時は悩ましいモンダイでした。

会社としては、「期間満了日が延びること自体は特別異論はないが、もし、登記された期間満了日の翌日に新株予約権を行使する方がいた場合、登記できないのは困る。それに、どちらにしても新株予約権者に通知をすべき事項なので、ハッキリさせたい。」というご意向です。

と言うわけで、登記所に照会してみました。当初は消極的な見解で、「そんなの聞いたことないし~。」とおっしゃっていましたが、判例の見解から考えてもやはり延びるとするのが妥当ということになりました。

結局、満了日に行使したヒトはいませんでしたが、行使期間満了による新株予約権の抹消登記の日は、登記された行使期間満了日の翌々日とし、行使期間そのものは変更登記不要として、登記申請いたしました。

考えてみると、期間満了日として休日を定めることができないなら、登記する時点でそれを審査しなくていいのでしょうか? 「取引をしない慣習」というモノが客観的に判断できないから審査しないってことかな?? 

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期間満了日 その1

2009年11月16日 | いろいろ

秋は祝日の多い季節ですね。 祝日と言えば忘れられない一件があるんです。

日本の祝日は、「国民の祝日に関する法律」で定められていることはご存知だと思います。そして、この法律、ここ10年ほど改正が相次いでいますよね。例えば、体育の日。体育の日と言えば、以前は10月10日でした。 何の祝日なのかはうろ覚えなことが多いワタシですが、体育の日や文化の日は完璧に覚えていたのに、体育の日はいつの間にか10月の第2月曜日に変更されました。
もちろん、連休になるのは嬉しいけれど、何だか今でも慣れません。

そのことで、ちょっとしたモンダイが起きてしまった会社があるんです。

この会社、ストックオプション目的の新株予約権を発行していました。行使期間は税制適格要件を充たすように設計されていましたが、何と!期間の末日が祝日に当たってしまったというのです。

行使期間の末日は、土日、祝日にならないように定めるのが通常です。何故かというと、新株予約権の行使の効力は行使請求と金融機関への払込みによって発生しますから、払込みのできない日を期間の満了日と定めると、実質的には行使できないからなんです。

この会社の場合、新株予約権を発行した時点では期間満了日は平日でした。ところが、法律が改正されたことによって、祝日になってしまったんです。

行使期間の定め方としては、 「ただし、行使期間の満了日が払込取扱期間の休日に当たる場合には、その翌日までとする。」というようにしている会社もあります。この会社でも別のストックオプションではそのように定めているものもあったのですが、残念ながら、今回のケースではそれもなし。

さぁ、どうしましょう!?
って、何を? と思われる方もいらっしゃるでしょうね。
つまり、行使期間の満了日が祝日になってしまったことによって、満了日が1日延びるのか、延びないのか。。。ってことなんです。

賛否両論あるでしょうが、つづきはまた明日。 

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