司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

外国語の議事録 その2

2009年09月11日 | 渉外関係

議事録は日本語で作るべきですが、「やっぱ、外国語バージョンも必要なんだよね~」という会社さんのために、本日は、実務上、どうやって議事録を作っているか。。というオハナシでございます。

実際どうやっているの? とギモンに思っている会社さんにはタメになり、やり方を決めている会社さんは、ふ~ん。。。そうなんだ。。。くらいのことです ^_^;

ウチの事務所では、文章の段落ごとに日本語、英語訳、という順番でバイリンガルの書類を作っています。(会社に一定の書式がある場合は、それに倣っています。)

その他にどんな作り方があるかというと、まずは、純粋に日本語のみ、英語訳のみ、と別々に分けて作る方法。会社が議事録をドラフトされる場合には良くあります。(英語はあくまでも訳なので、あまり厳密に考えなくても良いし、後で気軽に修正できる点が魅力。。)
あ、定款は、このパターンが多いかも知れません。 何でかは分かりませんが、もしかすると、定款の謄本代(1枚ごとに料金がかかります)を節約するためかも。。。

外弁さんの作成された議事録は、ページを左右に分けて(2段の段組のような感じ)、左側に日本語、右側に英語が多いような気がします。
個人的には、1行が短くなるので書式を整えるのが面倒かも。。。と思います。ただ、対訳としては見やすいです。

最近ではあまり見かけませんが、見開きの左側に日本語、右側に英語という議事録を作っていらっしゃる会社もありますね。
これは、行が短くならないし、しかも見やすいのですが、ページの区切りが難しい。後で挿入したりするのが面倒そうです。

そうそう、バイリンガルで書類を作る場合は、英語圏でなくても日英で作ることが多いです。まぁ、作り手の語学力のモンダイがあるからかも知れませんが。。。

で、中国や韓国は日本語が堪能な方が多いせいか、日本語だけでいいです、という会社が結構あります。以前、韓国資本の会社さんに理由を伺ってみましたら、「日本語も英語も同じくらい分かる(分からない?)ので、英語があってもあんまり意味がないです。」とおっしゃっていました。

ちなみに、定款認証とか登記などの際は、英語訳は見ないというのが原則ですので、ちょっとくらい英語が間違っていてもダイジョウブです。

どうでしたでしょうか~? まぁ、たまには良いかなぁ~と思ったんですケド。 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

外国語の議事録 その1

2009年09月10日 | 渉外関係

外資系の会社では、役員さんも外国人であることが多いですね。当然か。。。
日本の会社でも、海外進出されている会社さんであれば外国人の取締役がいらっしゃることも珍しくありません。
この場合、いろんな書類を日本語で作ると外国人の方には内容が理解できませんから、英語の書類が必要になってまいります。

で、良くモンダイになるのが議事録デス。

「ウチの会社は議事録は英語で作ります。登記に使う議事録だけは日本語バージョンも作りますケド、原本は英語です。」
なんていう会社もタマにはあるんです。
コレってどう思われますかぁ?

外国会社が登記するときに議事録を使うことは滅多にありませんが、外国会社だったら議事録の原本を日本語で作りなさいとは言えないですよね。確かに会社法には「議事録は日本語に限る!」などとは規定していませんが、やっぱり日本の会社なんだから、日本語で議事録を作るのは当然だとワタシは思ってマス。

ただね~。。。コレを納得してもらうのは結構キビシイんです。
常識の世界みたいなハナシになってしまって、根拠がキッチリ示せないので。。。
(解説書にはそれらしいことも書かれています。)

何語で作っても別に良いんじゃないの?意味が同じなら。と思われるかも知れませんが、やっぱり外国語ですから、ピッタリ同じ意味にするって難しいことです。
契約書なんかは、例えば英語を原文として日本語を訳文にするとか、予め契約内容に盛り込んでいます。結局、意味内容の解釈が同一じゃないから、後で紛争になったときのことを予め考えているということでしょうね。

そこで、何かないかな~。。。と考えてみたところ、ダイレクトじゃありませんが、それらしいモノを見つけました。

(計算書類の公告)
会社法施行規則 第二百十四条
外国会社が法第八百十九条第一項 の規定により貸借対照表に相当するもの(以下この条において「外国貸借対照表」という。)の公告をする場合には、外国貸借対照表に関する注記(注記に相当するものを含む。)の部分を省略することができる。
2  (略)
3  外国会社が法第八百十九条第一項 の規定による外国貸借対照表の公告又は同条第二項 の規定による外国貸借対照表の要旨の公告をする場合において、当該外国貸借対照表が日本語以外の言語で作成されているときは、当該外国会社は、当該公告を日本語をもってすることを要しない。 (以下略)

↑この条文は、外国会社が貸借対照表に類するものを公告する場合の規定です。これって、日本の会社は日本語で公告しなさいとは言ってないケド、そんなことは当たり前! ってコトですよね?

そう考えると、日本の法律で作成が要求されている書類は、全て日本語で作成すべし! という結論になります。

自己満足かも知れませんが、納得してくださる方がいるといいな。。。
明日は外国語の議事録の作り方です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新株予約権 その3(の3)

2009年09月09日 | 株式・新株予約権
当初の実務運用の取扱いの変更は、少なくともワタシには、信じられない事でした。
しかも、先例ではなかったので、登記所にも行ってウラを採ったりもしました。

それなのにっ! また変わっただと~っ! どういうことなのでしょう?
実は、登記関係の専門誌がありまして、そこに「計算方法じゃなくて具体的な価額で登記して良いよ~」 というような記事が載ったんです。

その頃ワタシ、ちょうど新株予約権の発行登記を受託していたのですが、ダイタイ、この記事が信じるに値するかどうかも分かりませんし、解説もなし。これから登記所に聞きに行って、会社に説明して。。。時間ないじゃん。
もうあとは書類をお預かりして登記するだけ、の段階でしたので、まあ、別にそうしなきゃいけないとは書いていないし、逆に混乱を招くよりは。。。ということで、誠に申し訳なかったのですが、その会社さんには説明をせず、従前の取扱いのとおりに登記をいたしました。

その記事については割とひっそりと載っていましたし、Q&Aにもそういった内容はなかったので、どういうことかな~。。。とギモンに思いつつ放置しておりました。

ところが、商業登記倶楽部の夏期セミナーで、事情が判明しました。

当初の取扱いの変更については、やはり疑問、不満が多かったらしく、神崎先生のところに 「何とかしていただけないでしょうか?」という意見があったそうなんです。

そこで、民事局にお話しをされたところ、お上も納得して元に戻そうという結論に至ったようです。
ただし、大々的に「変更しますよ」とは言いにくいところがあったのか、専門誌のひっそりとした記事に止めたみたいです。

ただね~、記事では詳細不明ですので、実際に次の登記をするときには、登記所に行かなきゃいけないな。。。とは思っています。
確かに、新株予約権の発行価額の計算に関しては、登記所のおっしゃることも分かるような気もしますから、計算式と計算結果を併用するような文言がいいんじゃないでしょうか?

実は、新株予約権の行使価額とか発行価額を計算式で決議した場合、計算根拠となる書類は法定添付書類じゃないんです。それで、例えば株価を証する書面なんかも、登記所によって必要だったり不要だったりするんですよね。そういう書面を添付しなくて良いとすると、会社の申告したコタエだけが頼りになってしまうので、今回のようなことが起こるような気がするんですが、どうですか?

100かゼロか、ではなく、もうちょっと柔軟にかつ公示力も考慮してもらえると良いんですケドね~。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新株予約権 その3(の2)

2009年09月08日 | 株式・新株予約権

新株予約権の発行価額や行使価額が、計算方法で決議されることが多いのは昨日お話ししたとおりですが、そもそも、従前の取扱いが変わってしまったのは何故なんでしょう?

(この先は、ウワサと想像です。ご注意を。。。)

新株予約権が創設されたとき(コレ商法時代の改正デス)、新株予約権という権利にはそれ自体の価値がある、とされました。
それまでのストックオプション目的の新株引受権では、そういった考え方はなかったので、大きな改正でした。
「じゃあ、その価値って、どうやって計算するのよぉ~?」 ということで、いわゆる二項モデルやブラックショールズモデルといわれる計算方法が提唱されたワケです。

これらの計算方法って、少なくともワタシには全く理解できません。ムズカシイんです。理論もさることながら、計算式そのものだって、計算式に当てはめるコトだってできないようなシロモノ。

そうは言っても、新株予約権の無償発行だったら別に良かったんですよ。
モンダイは、有償発行のケースです。計算方法で決議した場合、発行価額みたいにカンタンに答えが出るようなモンじゃあありませんから、会計士の先生なんかに計算してもらい、計算結果(具体的な新株予約権の価額)だけを委任状とかに書いて登記していたワケです。
登記所だって、その計算根拠を示す書類の提出なんかを求めたら、タイヘンですからね~。

それが、コトの発端だったらしいんですね~これが。

計算したコタエを会社に言われたとしても、それがホントかどうかは分からない。分からないことを無条件に登記しちゃっていいのかな~。。。? ??
だったら、計算式そのものを登記して、自分で計算してもらった方がいいんじゃない?
それには、単に「ブラックショールズモデル」なんて、式の名前だけじゃ分かりにくいから、計算式そのものを登記してもらおう! (と御上は考えた?)

ここから、行使価額だって理論的には同じことだから、どっちも計算方法で! という結論になったんじゃないかしら。。。とワタシは推察しています。

で、会社も司法書士も(ついでにワタシも)、従来良かったことが突然変更されて、アタフタしてしまったんですが、どうも、これが元に戻ったらしい。。。デス。
何でまた!? 裏話ですが、明日へつづく~。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新株予約権 その3(の1)

2009年09月07日 | 株式・新株予約権
先々週の週末(8月29日、30日)、商業登記倶楽部の夏期セミナーに行って参りました。
商業登記倶楽部は、神崎満治郎先生が主宰する一般社団法人で、司法書士の会員から成り立っています。

神崎先生は、商業登記の世界では最も著名な方のお一人でして、元登記官・元公証人であらせられたので、現在も法務局に顔が利くようで、いつも倶楽部からはとても有益な情報を提供していただいています。
(実際は事務所の代表が会員になっているので、今回ワタシは代理出席です。)

遠方の会員の方々も相当数出席されていたようで、大きなバックをお持ちの方が結構いらっしゃいました。ワタシだったら、そこまでの時間と費用(交通費と宿泊費)をかけて出席するかな~? すごい意欲を感じます。

さて、今日のお話しは、セミナーで耳にしたことについて。。。

以前、新株予約権の記事を書きましたが、その取扱いが変更されました。
http://blog.goo.ne.jp/chararineko/d/20090605

「新株予約権の発行価額や行使価額が計算式で決議されていた場合は、客観的に計算できる場合といえども、そのまま登記しなくちゃいけない。」ことになってしまい、大変な思いをいたしました。
ワタシも登記所の相談員の方も、意味がない上に公示のモンダイがある、と考えていたワケですが、同じことを考えていた方が他にもいたようです。

モトモトは計算方法で決議した内容は、具体的な金額に引き直していました。というより、引き直さないといけませんでした。

例えば、上場会社のストックオプションの場合、税制適格にするためには、行使価額が新株予約権発行時の時価以上でないといけません。
でも、株主総会または取締役会で決議する時には、発行する時点での時価(証券取引所における株価)が分かりませんので、時価以上になるように計算方法を決議します。

具体的にはこんな感じ↓
「行使価額は、○○証券取引所における当社普通株式の新株予約権発行の前月の終値の平均値に1.05を乗じた額とする。ただし、新株予約権発行日の終値がこれを上回る場合は、新株予約権発行日の終値とする。」

決議の時は株価が分かりませんから、このような計算方法で決議しますが、実際に発行日を迎えれば(厳密には発行日の終値が判明した後)、株価を当てはめて計算できますから、日経新聞の株式欄などを添付して具体的金額を登記していたワケです。

じゃあ、なんでそもそも取り扱いが変わり、なんで元に戻ったか。。。はまた明日。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする