司法書士のオシゴト

会社にかかわる登記を中心に素朴なギモンにお答えします♪ 

【メルマガ記事】書面決議 その4

2019年07月11日 | いろいろ

おはようございます♪

書面決議の最終回です!

 

【第7回(2015.4.15)その4】

●書面決議の利用

株主総会の書面決議は、法人の100%子会社が良く使っているようです。親会社では、子会社の株主総会で何を決議するかを(招集通知をもらわなくても)事前に知っていますし、株主総会の議案は必ず可決されますけれども、株主総会自体は省略できませんので、わざわざ開催するよりは書面決議の方が良いと考えられるようです。一方、取締役会ですけれども、こちらは、通常は実際に開催していて、(会社の大小にかかわらず)緊急を要するケースや形式的に決議を要する(←議論の必要がない)ケースで利用されているようです。例えば、定時株主総会を書面決議で行う場合、定時株主総会のみなし決議日には取締役会が開催できないような場合は、取締役会の書面決議が利用されていますね。株主総会を開催する場合には株主総会に取締役が出席しますから、その後に取締役会を開催するのは容易ですが、株主総会をやらない(書面決議)となると、そのため(代表取締役の選定等)だけに取締役会を開催するのは難しいということのようです。

 

●登記申請の添付書類

実際に会議を開催する場合と書面決議の場合とでは、登記の添付書類にどのような違いがあるか考えてみましょう。まず、書面決議の場合には、就任承諾したことを証する書面等として議事録の記載を援用することができません。それから、取締役会議事録の添付を要する場合、取締役会の書面決議ができる旨の定款の定めがあることを証明するため、必ず定款の添付が必要です。ただ、以前は、せっかく定款を添付しても(たまに)「この定款は何のために添付されているのか?」と法務局から問い合わせがあることがありました(苦笑)。次に、議事録への押印です。会議を開催した場合には、株主総会議事録には記名押印義務がなく、取締役会議事録には出席取締役、出席取締役の記名押印が必要ですよね。これが書面決議となりますと、株主総会、取締役会共に議事録への記名押印義務がありません。取締役会議事録の場合、実際に開催した場合とでは、「100かゼロか」というほどに記名押印義務者が異なりますが、書面決議では同意書が別途存在しているので、議事録は書面決議の内容を簡潔にまとめた書面として作成するにすぎないので、それでOK、ということだと思います。ただし、取締役会の書面決議によって代表取締役を選定した場合には、基本的に会議を開催した場合と同じように考えることになります。すなわち、従前の代表取締役が届出印を押印できない場合には、議事録に取締役全員の個人実印を押印するか、あるいは書面提案に対する同意書に取締役全員がそれぞれ個人の実印を押印したものが必要になるわけです。会議を開催した場合と異なるところは、常に取締役全員が対象になること(開催した場合、欠席者の記名押印は不要)、業務監査権限を有する監査役であっても、監査役は対象外(開催した場合、出席していれば監査役も議事録に個人の実印を押印し、印鑑証明書の添付が必要)であることです。

 

●結び

書面決議は、じわじわと利用する会社が増えているような気がします。会社としては書面決議の方が楽なのかもしれませんが、私はあまり好きではありません(苦手意識があります)。ただし、前述のように、みなし決議の日を任意に定めることができる、などのメリットがあり、便利に使えるのも事実です。提案や同意の方法、提案書、同意書の書式も特にきちんと決まっているわけではないので、司法書士としては、会社のニーズに応じて色々な工夫をする必要があるものと思います。

 

オマケ:以前も書きましたケド、株主総会の書面決議って、株主提案でやれるんですよね。
そこで100%親会社が書面提案をして、同意しますと、子会社側の取締役会決議をすっ飛ばして株主総会決議を成立させることができる。。。というわけで、これ、なかなか便利なシロモノでございマス(~_~;)

ちょっと裏技っぽいですケド、取締役会の開催に難があるケースだと、本当に助かる♪

しかし、やっぱり不自然であることに変わりはないんでね。。。例えば、定時株主総会の書面決議を株主が提案するってことは、計算書類は一体だれが作ったんだ!?。。。というような感じ(◎_◎;)

それから、書式も本当にマチマチですね。

。。。というわけで、書面決議は今後もますます増えていくんだろうと思います。

ではまた~♪

コメント
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