孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

コートジボワール  「二人の大統領」の混乱、内戦状態に拡大か

2011-03-29 20:32:01 | 世相

(コートジボワールから隣国リベリアへ逃れてきた難民 国境の村で泊まる場所・食料・水を求めて何時間も座って待ちます “flickr”より By CARE Deutschland Luxemburg http://www.flickr.com/photos/40506673@N03/5494254490/

ワタラ元首相の支持派が軍事攻勢
世界最大のカカオの産地でもあるアフリカ中西部コートジボワールでは、昨年11月28日に実施された大統領選の決選投票を巡って、「二人の大統領」が対立する混乱が続いています。

選挙管理委員会は野党・共和連合(RDR)のワタラ元首相が現職のバグボ大統領を破って当選したと発表。しかし、選挙結果を確定する憲法評議会はバクボ大統領の影響下にあって、投票の一部は無効としてバグボ氏の当選を宣言しました。

ワタラ氏とバクボ大統領の2人とも就任式を行い、バグボ大統領はそのまま大統領府に居座っています。
一方、国際社会が当選を認めるワタラ氏は、アフリカ連合(AU)や国連、米国、フランスの支持を受け、主要都市アビジャンのホテルに暫定政府を構えています。
ホテルは国連平和維持活動(PKO)部隊500人に守られているものの、軍・警察を支配し、国際社会の不当介入と若者を扇動するバクボ大統領側によって、ホテルに封じ込められた状態が続いていました。

バクボ大統領側によるワタラ氏ら反政府支持住民の虐殺も懸念されていましたが、下記AFP記事によると、ワタラ氏支持勢力による軍事攻勢が強まっているとのことです。

****ワタラ氏派が大規模攻撃、コートジボワール*****
大統領選の結果をめぐって混乱が続くコートジボワールで28日、国際社会が当選を承認するアルサン・ワタラ元首相の支持派が、大統領に居座るローラン・バグボ氏支持派が掌握する複数の主要都市を攻撃した。ワタラ氏側の攻撃の規模は、大統領選後最大。
 
同国最大のココア産地の入口にあたり、戦略上の要衝であるドゥエクエでは、1日中、双方が激しい戦闘を繰り広げた。ワタラ氏側は「多少の反乱分子はいるが」ドゥエクエを掌握したと発表。だがバグボ氏側は、戦闘は依然として続いているとしている。
ワタラ氏側はここ数週間で、バグボ氏側が掌握していたリベリア国境に近い西部の5都市を奪取した。東部のガーナ国境の都市、ボンドゥクにも迫っている。
双方の衝突では、これまでに少なくとも460人が死亡し、100万人が避難民となった。商都アビジャンの住宅街でも連日、迫撃砲などが飛び交っている。【3月29日 AFP】
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地域的な対立が背景
内戦の再燃の様相を呈しているようです。
もともとコートジボワールは南北間に民族的・宗教的対立があり、これまでも南北間の内戦を経験しています。
バクボ、ワララ両陣営の対立も、この地域的対立が絡んでいます。

“コートジボワールは、60年の独立後、ウフエボワニ初代大統領が、カカオ農園拡大に向けて移民の受け入れを奨励し、現在は同国人口の3分の1近くをマリやブルキナファソなど周辺国の移民やその子孫が占める。移民の多い北部のイスラム教徒らが土地所有権を剥奪されるなどの差別的扱いが問題になったこともある。
バグボ大統領は南部を地盤とするキリスト教徒なのに対し、ワタラ氏は北部を地盤とするイスラム教徒で、母はブルキナファソ出身。こうした地域や宗教間の対立が、事態を複雑化している。”【10年12月18日 毎日】

選挙後も南北間の衝突がすでに伝えられていいました。
****コートジボワール 続く混乱、内戦再燃危惧****
・・・・ワタラ氏の当選を支持する北部の旧反政府勢力「新勢力」と、南部に支持基盤を持つバグボ氏側の治安部隊は、2002~03年の内戦で分断された南北の境界付近で一時、衝突した。07年に南北の和平協定が成立した後、本格的な軍事衝突は初めてとされ、緊迫した状況が続いている。
アビジャンでもワタラ氏支持のデモ隊とバグボ氏側の治安部隊が衝突。これまでに約200人が死亡、約500人が拘束され、1万4千人以上が避難した。(後略)【12月28日 産経】
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ワタラ氏自身は北部の旧反政府勢力「新勢力」には所属していませんが、現在進んでいると報じられているワタラ氏側の軍事攻勢は、この旧反政府勢力「新勢力」によるものではないかと推察されます。
“双方の衝突では、これまでに少なくとも460人が死亡し、100万人が避難民となった”【前出AFP】と簡略に記されていますが、100万人の避難民というのは大変な事態です。

現地には国連平和維持活動(PKO)部隊は存在していますが、内戦状態の拡大ともなるとなすすべはないでしょう。国際社会は現在リビアなど中東・北アフリカの政変・混乱への対応で手いっぱいの状態です。
アフリカ連合(AU)の仲介による事態鎮静化が望まれますが、バクボ大統領が居座りを決め込んでいる以上どうにも解決策が見当たらないところでもあります。


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