(台中中央社)中部・台中市の台中アリーナ建設計画で、交渉権者に選ばれた建築家の隈研吾氏の設計事務所ら台日チームが提案した設計デザインに、使い回し疑惑が浮上している。隈氏が手掛けたオーストラリア・シドニーの複合施設「ザ・エクスチェンジ」と外観が酷似しているとの指摘する声が上がっており、台湾側の設計事務所の代表者は22日、類似性を批判するのではなく、デザイン自体の良し悪しを単純に味わってほしいと呼びかけた。
台中アリーナは台中市政府が65億台湾元(約236億円)を投じて建設する計画で、今年2月、設計を委託する事業者をプロポーザル方式で公募。今月20日、審査結果が発表され、隈氏の事務所と台湾の九典聯合建築師事務所による台日合同チームが交渉権者に選ばれた。市によれば、2022年着工、2026年完成を目指している。
だが、公表されたデザインに対し、台湾の建築家、呂欽文氏が21日、フェイスブックで、台中アリーナのデザインがザ・エクスチェンジのスタイルや構造などと酷似していると指摘。隈氏に対し、「これが台湾のファンに対するやり方ですか」と疑問を呈した。
疑惑を受け、九典と隈氏の事務所は同日、連名で声明を発表。今回のデザインについて、「公共空間を重要視する姿勢とその重要性を表すもの」だと説明。「世界標準に合致した施設というだけでなく、市民のための競技場を再定義するものでもある」とし、デザインに込めた意図を説明した。
22日に台中市内で取材に応じた九典の李金威・設計ディレクターは疑惑について、大きな方向性に目を向け、客観的に見るべきだとの考えを示した上で、一部の建築家はやや特殊な設計手法を用いており、これが建築家自身の特色だと指摘した。