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『九マイルは遠すぎる』読了

2019年09月15日 | 本と雑誌
『九マイルは遠すぎる』 ハリイ・ケメルマン著/ハヤカワ・ミステリ文庫





                    2015.08.15 撮影(知床)


1967年に刊行された短編集と言うことですから、古典と言ってもいいでしょう。
タイトルだけならずっと昔から知っていたように思います。
(そしてモース警部の『謎まで三マイル』としばしば混同していました)

今回、手に取ろうと思ったきっかけは、新しくつけられた帯の
「早川書房編集者がおすすめする傑作ミステリ」
「面白さ太鼓判」
「適当に考えたはずの十一語の文章から
 実在の事件と犯人を当てちゃう奇跡の16ページ短編!」
というコピーに釣られたからです。

ニッキィ・ウェルト教授を探偵役とした8編の短編ミステリ。
シンプルかつ端正で、純粋に謎解きに特化されています。
久々にこういうの読んだなあ、という感じで楽しかった。
アシモフの『黒後家蜘蛛の会』と同じく、話を聞いただけで真相を推理する
いわゆる「安楽椅子探偵もの」なのですが、ヘンリーよりはニッキィの方が
人が悪い感じがするので、ずっと友人付き合いしている「わたし」はえらいv
(語り手の「わたし」は、最後まで名前が出てきません)(それもすごいよね)

論理的思考の醍醐味が味わえますが、一方、
モース警部だったらこの推理が2回くらい崩壊しているんだろうな、とも思いました。
そういう意味でもこちらの作品は、シンプルですっきりしています。
8編全部面白かったのですが、私には「梯子の上の男」が白眉でした(もちろん個人的見解です)。

同じ作者の『金曜日ラビは寝坊した』も読みたいです。
(これまた同じくずっと前から図書館でタイトルだけ見ていました)

ところで、表題作の「九マイルは遠すぎる」の発端の文章
「九マイルもの道を歩くのは容易じゃない、ましてや雨の中となるとなおさらだ」は
原文ではどうなるんだろう、と思っていたら、ちゃんとネットに載っていました。
便利な世の中です。

“A nine mile walk is no joke, especially in the rain”



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