AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

4548:スタート

2018年08月26日 | ノンジャンル
 レース本番の朝は早い。いつものように朝の4時にメンバーのスマホのアラーム音が民宿の部屋の中に一斉に響き渡った。

 部屋の照明が灯されて、皆素早く起き出した。そして、手早く準備を始めた。私もなるべく効率的に準備を進めた。

 すべての準備を滞りなく整えて、5時から宿が用意してくれた朝食を摂った。これがこれから走る厳しいヒルクライムにおいて、エネルギー源になってくれるのか、と思いながら胃袋の中に納めていった。



 天気は良かった。宿の駐車場からは、山の向こうに青空が見えた。「天気、大丈夫そうですね・・・」「良かった・・・」メンバー間で、そういった会話が交わさた。

 車でスタート会場近くの道路まで行って、道路の脇に車を停めた。積んであったロードバイクを降ろして、外した前輪を取り付けて走行準備を整えた。

 防寒着や補給食を入れたリュックを預けるためにスタート会場へロードバイクで向かった。ゼッケン番号ごとに区分されたバスにリュックを預けた。

 その後、会場の近くの道路でアップを30分ほどして、脚を流れる血流を少し上げておいた。私のスタート時間は7時29分である。

 20分前に会場に行き、スタートを待つ列に並んだ。同じスタート時間であるチームメイト2名としばし談笑しながら、待っていると、スタートの順番が来た。

 やはり、スタート直前は緊張する。アップが終わって十分な時間が経過しているのに、心拍数は「110」を示していた。

 いよいよ、カウントダウンが始まった。苦手な「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」は得意としている「Mt.富士ヒルクライム」の時よりも強い緊張感というべきか圧迫感を感じる。

 そして、「スタート・・・!」の号令がかかった。しかし、列の後方に並んでいたので、号令がかかってから数分経過した後に、左足のクリートをペダルに挟み込み、走り始めた。

 「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」の場合、スタートゲートをくぐってすぐに計測開始ラインが横たわっている。

 その緑色をしたラインを跨いだ。その瞬間、サイコンのスタートボタンを押した。いよいよ、今年の「乗鞍」が始まった。昨年、一作年と、自分なりに頑張ったが、厳しいコースに終盤てこずった。今年は違う景気が見れるのであろうか・・・
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4547:足馴し

2018年08月25日 | ノンジャンル
 明日はいよいよ「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」の本番である。受付は前日のみであるので、今日は、チームメイトと一緒に複数の車に分乗して、乗鞍入りした。

 乗鞍観光センター前の駐車場に着いたのは、お昼頃であった。天気の心配はしていなかったが、空からは雨粒がさらさらと降り注いでいた。そのため、途中のセブンイレブンで購入した昼食は車の中で食べた。

 その雨がどうにか小降りになったので、受付会場に向かった。受付会場には様々なブースが出ていた。まず目についたのが、インターマックスのブースである。



 そこにはKuota Khanのニューカラーバージョンが展示されていた。ブラックとレッドの配色できりっと精悍な印象である。

 私のKhanはブラック一色であり、少々地味であるので、この華やかなニューカラーは眩しかった。「購入した時にこのカラーがあれば、きっとこちらを選んであろう・・・」そう思った。

 いろいろなブースを見て回って、次に目に留まったのが、LOOKのブースである。Kuota Khanはもうすぐ乗り始めて4年になる。来年にはニューフレームに替えようと画策中である。

 その第一候補に挙がっているのが、LOOK 785 HUEZ RSである。その第一候補のフレームが展示されていたので、思わず立ち止まって、熱い視線を注いだ。



 試しに785 HUEZ RSを両手で持って少し持ち上げてみた。「軽い・・・!」それもそのはず、ホイールにはライトウェイトの超高級品が奢られていた。コンポーネントはスラム レッド。総重量は5.5kgと表記されていた。私のロードバイクよりも1kg近く軽い。

 ブースを見て回った後、受付を済ませた。その後、車を停めてある駐車場まで戻り、車に乗り込んで、近くの「一の瀬園地」へ移動した。ここの駐車場でロードバイクを降ろして、軽く足馴しをした。



 約1時間ほど、周囲を走った。上り下り織交え、軽めの負荷で走った感触は、そう悪くなかった。1週間ほど前に夏風邪っぽくなり、体調を崩しかけたが、どうにか普通の体調に戻ったようである。

 明日はいよいよ本番。昨年、一昨年と1時間25分切りを目標として、厳しいヒルクライムコースにチャレンジしたが、残念ながら目標達成はかなわなかった。今年は3度目の正直で、1時間25分切りを達成したいところである。

 6月の「Mt.富士ヒルクライム」では、どうにか自己ベストを更新できた。「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」での自己ベストは一昨年のタイムである1時間25分8秒である。

 目標である1時間25分切りを達成できたら、必然的に自己ベスト更新となる。コースとしては苦手としている乗鞍であるので、うまくいかない可能性が高いが、できる限りの努力をするしかない。
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4546:ジャバウォック

2018年08月24日 | ノンジャンル
 ナポリタンができた。湯気を立てているそれはカウンターに置かれた。そしてその脇には珈琲が添えられた。

 「お待ちどうさま・・・」女主人はやや間延びしたイントネーションでそう言った。私はそのナポリタンをじっと眺めた。

 特にいつもと変わったところはなかった。「この喫茶店の中では、何十年もの間、これっといって変わった出来事は一切起きなかったのではないか・・・」という考えがふと浮かんだ。

 もちろん実際にはその間には、ご主人が亡くなり、女主人が一人でこの店を切り盛りしなければならなくなるなどの大きな変化があったはずであるが・・・

 フォークを右手で持ち、ナポリタンを一口頬ばった。そういえば、先日、下の娘と観た映画「ペンギン・ハイウェイ」にも、主人公の少年と物語の鍵を握る「おねえさん」が、二人でチェスをしたり、いろんなことを話したりする舞台として、喫茶店が登場していた。

 その喫茶店は、ここよりもお洒落で明るく、新興住宅地にある。映画の要所要所で登場し、最後のシーンにも出てくる。

 全くMimizukuとは雰囲気が違うが、物語の謎が緩やかにほどけていく時に、その喫茶店は重要な舞台装置となっていた。

 Mimizukuには謎らしいものは一切ないが、不思議なものが存在する。

 そのカウンターには、向かって左端にソニー製のラジカセが置かれている。そのラジカセは1970年代に製造されたもので、今でも音を出すことができる。

 その脇には亡くなったご主人が収集していたミュージックテープが入った箱が置かれている。私は時折その箱の中を眺め、目に留まったものがあると、取り出して聴いてみたりする。

 カウンターの向かって右端にはオレンジ色をした「パタパタ時計」がぽつんと佇んでいる。「COPAL」というメーカー名が印刷されているその時計が示す時刻は、実際の時刻とは合っていたためしがない。

 そのパタパタ時計は時折鳴く。「ジ・ジ・ジ・・・」と小さな透明の羽をもった蝉が鳴くような声を出す時があるのである。

 このカウンター席に座って、それらの備品に視線をやってから、目の前にあるナポリタンと珈琲をじっと眺めていると、今が何時の時代なのか、私が何歳なのか、ここがどこなのか、そういったことがどうでもいいような、そんな気になる。もちろん、それはこの空間で過ごすわずかばかりの時間内に限られたことである。

 ナポリタンを素早く平らげ、珈琲を飲み干して、会計を済ませた。ゆっくりと席を立って、木製の古びた扉を開けると、強い風が体に吹き付けてきた。

 今日は台風が西日本を通過しているようであった。東京もその余波で強い風が時折吹いていた。そしてその風に運ばれてきた雨粒が肌に当たった。

 気圧は低くなっているのであろうか、少し頭がぼんやりとする。空気は生暖かかった。なんだか映画で観たジャバウォックの吐く息のような雰囲気があった。 
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4545:A1

2018年08月23日 | ノンジャンル
 この喫茶店に定期的に通うようになって3年ほどの月日が経過した。行きつけのヴィンテージ・オーディオショップが同じビルの4階に入っていたのがきっかけで、この店に入るようになったのであるが、最近はこの喫茶店に入るためだけに来るようになっていた。

 特にこれと言った魅力があるわけではない。いかにも昭和的なインテリアや内装は、長い年月を経過して、くすんだ空気感を周囲に濃厚に纏っている。

 カウンターにはカウンター用の小さめの座面の椅子が4脚あり、4人掛けのテーブル席が二つに、2人掛けのテーブル席が一つあるだけの、小さな喫茶店である。

 夫婦二人で切り盛りしていたようであるが、私が通うようになった頃には、既にご主人は亡くなっていて、女主人一人ですべてを行っていた。

 店の名前は「Mimizuku」。得にお洒落でもない。メニューは一般的な飲み物はあるが、軽食はナポリタンとホットサンドのみである。ケーキも置いていない。

 その軽食の味わいは、結構レベルが高いように感じた。またここの珈琲は雑味の少ない上品な味わいで、これはこれで魅力がある。

 ここには、仕事を終えた後、夜になってから来ることが多く、たいがいナポリタンと珈琲を頼む。
 
 今日も仕事を終えた後に立ち寄った。フォルクスワーゲン ポロを近くのコインパーキングに停めて、少し歩いて店の扉を開けた。

 時刻は6時を少し回っていた。いつものようにカウンター席に座った。そして、いつものように無口な女主人にナポリタンと珈琲を注文した。

 カウンター席には人影はなく、客は奥まったとこにある二人掛けのテーブル席に、一人の初老男性が座って珈琲を飲んでいるだけであった。

 今日は台風が西日本を通るようで、その影響か、東京も風が時折強く吹いていた。「Mimizuku」の窓枠がその風に押されて、ガタガタと音をたてていた。

 ナポリタンができるまでの間、私はスマホでとある車の画像を眺めていた。それは最近本国ドイツでフルモデルチェンジされたAudi A1である。

 A1はポロの兄弟車でもある。使用しているプラットフォームは、新型ポロと同じである。そのデザインは基本キープコンセプトであるが、最近のAudiのデザイン手法が取り入れられていて、直線基調が強まり、きりっとしたアグレッシブさが強調されている。



 買い替えを検討していたポロは結局3回目の車検を通した。なので、今すぐ買い替えるといった必要性がないのであるが、同じセグメントに属するA1がフルモデルチェンジされたと聞くと、チェックしたくなったのである。

 ベースはポロと同じ兄弟車と言っても、プレミアムブランドであるAudiが仕上げると、当然として雰囲気はがらりと変わる。

 「良いよね・・・これ・・・ちょっと目力強めで・・・」と思った。しかし、Audiなので、当然ポロよりも高い値付けがされるはず・・・その点を除けば魅惑的な車だと思った。
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4544:ペンギンハイウェイ

2018年08月22日 | ノンジャンル
 日曜日は、「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」のちょうど1週間前のロングライドに参加する予定でいたが、体調が思わしくなかった。

 夏風邪っぽい症状が出ていたので、無理してロングライドには参加せず、「休息日」に充てることにした。ここで無理して体調をさらに悪化させると、本番で大きく失速してしまう可能性があった。

 午前中はのんびりと過ごし、午後から下の娘と一緒に映画を観に行くことになった。「なんか観たい映画ある・・・?」と訊くと、「ペンギン・ハイウェイ・・・!」という返答がすぐさま返ってきた。

 「ミッションインポッシブル」や「ジェラシックワールド」などの巨額な予算を投じたハリウッド製の「ジェットコースター映画」ではなく、日本のアニメ映画が観たい映画の候補として出てくるところが、下の娘の性格を如実に表している。

 どちらというと「オタク系」に分類されるであろう下の娘は、上の娘と大きく性格が違う。上の娘は社会人になってもジャニーズのアイドルグループの追いかけのようなこともしているミーハーである。

 一方下の娘は、アニメや漫画が大好きで、ジャニーズ系のアイドルなどには全くの無関心。スポーツにも無縁である。

 同じ親から生まれ、同じ家庭環境で育ったのであるが、姉妹の性格は真逆と言っていいほどに違う。まあ、そういうものなのかもしれない・・・

 「ペンギン・ハイウェイ」は、2010年に発表された森見登美彦の小説をアニメ化したものである。小説の方は数年前に読んだことがあった。

 映像化が難しそうな原作を、丁寧な作画で仕上げていた。「ペンギン・ハイウェイ」は、ファンタジー、SF、主人公の少年の成長物語、どこかしら「ドラえもん」的な日常性などの要素が雑多に詰め込まれている。

 研究者肌で常に冷静沈着な小学四年生のアオヤマ君の住む街で、ある日突然、ペンギンの群れが出現する怪事が起こる。

 そんな摩訶不思議な展開で始まるこの物語は、摩訶不思議さとファンタジーを縦糸として、少年を取り囲む様々な魅力的なキャラクター達を横糸として、美しい模様の織物を織りあげていくような映画であった。

 立川の「シネマ・ワン」は複数の映画を上映している。やや小さめの上映館が割り振られていたので、8割方の座席は埋まっていた。

 観にきていた人をそれとなく観察していたか、やはりどちらかというと「オタク系」の人が多かった。

 日本のアニメ映画を観ることはほとんどないが、「たまにはいいかもしれないな・・・」そんなことを思いながら、映画館を後にした。


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