AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

4158:Avant Garde

2017年07月31日 | ノンジャンル
 青梅街道は比較的空いていた。高円寺にはほぼ予定通りの時刻に着けそうであった。大川さんから伺った住所をNAVIに登録していたので、その指示通りに青梅街道から脇道に入っていった。

 細い道を進んで行くと目的地に到着した。脇道からさらに入り込んで私道に車を停めた。「自宅の前は私道なので、駐車可能です。」と大川さんから伺っていた。

 その私道には4件の家が接道していた。そのうちの右奥の位置にあるお宅が大川さんご自宅である。道幅は狭く車をやや右に寄せた。

 かなり古くに分譲された4棟の建物のうち右側の2棟は建て替えられたようであるが、左側の2棟は当時のままの姿を見せていた。そのため右半分と左半分とでは、醸し出す時代感が随分と乖離していた。

 車を降りて、大川さんのご自宅のインターホンを鳴らした。すると玄関が開き、先日「オーディオショップ・グレン」でお会いした大川さんが笑顔で出迎えてくれた。

 大川さんは独身である。それほど広い家ではないが、一人で住むには十分な広さである。リスニングルームは1階にある。広さは10畳ほどであろうか・・・リスニングルームには3人掛けのグレーのソファーが置いてあり、その前にコーヒーテーブルがある。

 そのソファはハンス J.ウェグナー がデザインしたGE236であった。木部は淡い茶色で爽やかさが前面に出てくる造形美を誇っていた。

 そして、リスニングポイントの右手には3台のラックが設置してあった。3段ラックが3台並んでいるので、合計9台のオーディオ機器を設置することができる。

 そこには興味深いオーディオ機器が並んでいた。まず目を引いたのが2台のCDトランスポートである。

 それらは主役としてラックの上段に設置されていた。1台はORACLE CD-2000。もう1台はKRELL MD-10であった。

 この2台のCDトランスポートはいずれも優れたデザイン性を有するが、その向いているベクトルは随分と違う。

 CD-2000は近未来的で艶めかしさを存分に発揮する造形美を誇り、一方MD-10はもっとカチッとした硬質感と精悍なイメージを放出している。

 そして、先日もオーディオショップ・グレンでも見かけた印象的なデザインのDACであるZANDEN Model5000があった。

 さらに3台のDACが並んでいた。Job DA48は本当にコンパクトな姿である。その紺色の色合いはぐっと凝縮された精細なエネルギー感を感じさせた。

 そしてWadia12。色はシルバーである。Wadiaはブラックがイメージカラーであるが、シルバーもなかなか良いと思わせる。

 もう1台は、KRELL STEALTH。CDトランスポートであるKRELL MD-10と同様な意匠でまとめられたデザインは秀逸。

 MD-10に比べると派手さはないが、この2台を並べて眺めていると独自の世界観をひしひしと感じさせてくれる。

 プリアンプとパワーアンプも珍しい機種であった。私は初めて見る。プリアンプはCOPLAND CTA301で、パワーアンプは同じくCOPLANDのCTA504。

 COPLANDはデンマークのオーディオメーカー。実に美しいデザインをしている。リスニングポイントに置かれているハンス J.ウェグナーがデザインしたGE236と同じような爽やかな質感を感じた。

 そして、システムの要であるスピーカーも、私は見たことも聴いたこともない珍しいものであった。

 そのスピーカーは、Gershman Acousticsの Grande Avant Garde。大川さんにそのメーカー名と製品名を教えて貰わないと、全然分からなかった。

 上に行くほど細くなり上向きにスラントしているその独特な形状は見る者の目を惹きつけて止まない。

 そしてその色合いが独自である。オレンジがかった茶色とでも評するべきであろうか・・・独自の色合いはそのオリジナリティー溢れる形状と共にスペシャルなスピーカーである印象を強める。

 隅々まで整理整頓された清潔なリスニングルームに整然と設置されたオーディオ機器を眺めているだけで、お腹一杯になるような感じであった。

 この約10畳のリスニングルームのなかには、大川さんの非常に高い美意識とオーディオ機器に対する強い憧憬のようなものが、ぎっしりと詰まっていた。
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4157:勝亭

2017年07月30日 | ノンジャンル
 梅雨は随分と前に空けたはずであるが、ここ数日は梅雨を思わせるような天気が続いていた。今日も朝の6時に目を覚ますと、窓の外からは雨の音がかすかに聞こえていた。

 昨晩スマホで確認した天気予報では雨の予報ではなかったが、どうやら雨雲が予想よりも遅く移動しているようであった。

 「今日は無理かな・・・」

 先週は走っている途中で雨に降られた。雨はロードバイクにとって大敵である。鳴く子と地頭と雨には勝てないのが、ロードバイクである。

 ロードバイクのタイヤはとても細く、接地面積はわずか・・・路面が雨で濡れるとカーブなどでタイヤがグリップを失ってしまう危険性が高い。

 Twitterで確認すると、チームのロングライドは中止との連絡が入っていた。雨はしばらく降り続いていた。

 久しぶりに日曜日の午前中をのんびりと過ごし、昼食は妻と下の娘と一緒に東大和市の「勝亭」に車で向かった。

 「勝亭」には店舗の正面入り口の横に2台分の駐車場があるが、そこはすでに埋まっていた。店舗の裏側にも駐車場があるので、そちらに回って車を停めた。

 ここは随分と昔からあるとんかつ屋さん。地元の人々から根強い人気のある店である。店内は昔ながらの内装で、お洒落感は皆無・・・しかし、落ち着ける。

 勝亭では「下田さん家の豚」というブランド豚を使用している。ブランド豚と言っても全国的に有名なブランドではない。

 「下田さん家の豚」とは、武蔵村山市の「下田畜産」が扱っている、餌と飼育環境に拘って飼育した豚肉で、柔らかく脂質が良い。

 私は「ヒレかつ定食」を頼んだ。妻は「柳川風ヒレかつ丼」、下の娘は「若鳥かつ定食」を頼んだ。

 「ヒレかつ定食」のヒレ肉は上品な肉質、十分に満足できる質感であった。揚げ方も丁寧でヒレ肉の断面は良い色合いである。

 夕方からは立ち寄るべきところがあったので一旦家まで戻って、レコードのクリーニングなどで時間を潰してから、また車に乗った。

 車のデジタルディスプレイに表示された時刻は「PM3:05」であった。「1時間ほどで着くかな・・・青梅街道が混んでないといいけど・・・」と思いながら、BMW523iのエンジンボタンを押した。

 BMW 523iはステアリングの左側にエンジンボタンがある。6年間乗ったMersedes-Benz E350ではステアリングの右側にあったので、まだ時折右手を出してしまう。
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4156:電線音頭

2017年07月29日 | ノンジャンル
 ここまでは私の所有物としては唯一のデジタルケーブルであるGe3の「銀蛇」が、CDトランスポートとDACの間を繋いでいた。

 このケーブルはアナログ・デジタル共用とのこと・・・「大丈夫かな・・・デジ・アナ共用で・・・」という一抹の不安を覚えたが、音は問題なく出ていた。

 それをAT&Tのケーブルに取り換えた。AT&Tのデジタルケーブルの外見はそっけないくらいに質素である。真黒で細い。それほど固くなく取り回しも問題ない。

 その外観からは「できる感」を感じ取れない。しかし、このケーブルに換えると、ピントがピタッと合った。
 
 一聴すると地味というかこれといった華やかさはないが、全ての項目がすっと整う。低域の腰の低さがよりどっしりして、帯域バランスは盤石な感じのピラミッドバランスに整う。ピントがしっかり合うと、全体的に静かに感じられるのであろうか・・・

 「リファレンス的な音の出方である・・・これを1本持っていると、基準点として活用できそうである・・・」と感じた。

 Ge3の「銀蛇」に戻してみた。やはりピントが少し甘くなるというか、少し手前で焦点が合っているようなところがある。

 そのため、少し滲む。それが味わいとして功を奏する場合もあるであろうが、リファレンス的な存在感はAT&Tのケーブルの方があるようであった。

 3番手として登場したのが、BELDEN 1695A。ケーブルの被膜の色は白。今回登場した2本のデジタルケーブル同様長さは1メートルである。

 これで聴くと、低域の下支えが少々軽くなってしまう。そのため帯域バランスが高域寄りにずれる。やや前のめり的な音の出方を感じる。

 BELDEN 1695AはCP比の高いケーブルであるが、リファレンス的な音の出方という点では、AT&Tのケーブルの方が優れているようであった。

 最期にAT&Tのケーブルに戻して、その整ったバランスを確認した。今回の3本のデジタルケーブル聴き比べは、思いのほか大きな反響を、ここに集った4名全員から引き出したうえで終了した。

 AT&Tのデジタルケーブルはリファレンス的な存在として1本持っていたいと思ったが、残念ながら今は販売されていないようである。

 少し前は電源ケーブルで「電線音頭」を踊ったが、今日はデジタルケーブルで「電線音頭」を踊ってしまった。

 「電線音頭」はノリが良い。ついついそのノリに腰がむずむずしてしまうのは、オーディオマニアの性であろうか・・・

 長さ1メートルのデジタルケーブルによって音の様相はがらっと変わる。ちょっと怖い世界である。

 「電線音頭」を踊ってしまうと、心の片隅で「でも、なんだかな~」というほろ苦い思いが滲みだす・・・

 心の片隅には「ケーブルなんでどれでも同じ・・・大差ないよ・・・」と言い放ちたい気持ちがこびりついているのであるが、現実の世界はそうではないようである。
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4155:舞台

2017年07月28日 | ノンジャンル
 0-DAC PRO Mk3に切り替わって、先ほどまで聴いていたシベリウスのヴァイオリン協奏曲の第1楽章を再生した。

 ここでちょっと気になることが・・・BOW TECHNOLOGY ZZ-EIGHTの挙動がおかしくなったのである。

 リモコンのPLAYボタンを押しても、少しゆっくりと回転し始めるだけですぐにその回転は止まってしまう。

 「あれ、これから大事なところなのに・・・CDトランスポートが壊れたか・・・」

 と焦った。リモコンでの操作を諦め、本体の操作キーで操作すると、CDの再生は開始されたので、ほっと一安心した。

 製造販売から20年以上の年月が経過しているZZ-EIGHTは、一度オーバーホールしてもらう必要が出てきたようである。

 その後もリモコンでの操作はできない状態で、全ての操作を本体の操作キーですることになった。本体の操作キーで操作すれば動くことは動くので、最悪の「オチ」となることはなかった。

 0-DAC PRO Mk3は電源を投入したばかり、さらに我が家のシステムにはつい先ほど合流したばかりと、不利な条件が重なっているので、その実力を遺憾なく発揮できる環境ではない。

 それほど高い期待値を持って聴いたわけではないが、一聴して「あ~、やっぱり違う・・・音の出方が随分上品になった・・・」と感じられた。

 PCM変換のO-DAC BASICは、音に勢い感がある。ストレートにガンと飛んでくる感じがあった。音の表面は少しザラッとしているが、そのエネルギー感は実に爽快なものであった。

 一方、DSD変換であるO-DAC PRO Mk3は、音がガンとは飛び出してこない。良く言いうと「上品」悪く言いうと「大人しい」。

 懐が深いというか、いきなり「諸手突き」では来ない。どっしりと構えた「組み相撲」という印象である。であるので、聴く方も少しゆったりと構えることができる。

 これは聴く人が普段よく聴く音楽のジャンルによって評価が分かれるかもしれない。クラシックにはやはりDSD変換のO-DAC PRO Mk3であるが、ジャズやロックにはPCM変換のO-DAC BASICが向いているのかもしれない。

 私の聴くジャンルは100%クラシックであるので、O-DAC PRO Mk3の方が耳馴染みが良く感じられた。

 1曲終わり、エアコンタイムを挟んで、さらにモーツァルト 幻想曲 ハ短調も聴いた。皆こういう聴き比べは大好きなようで、4人のオーディオマニアは耳をそばだてた。

 受ける印象は、シベリウスのヴァイオリン協奏曲の時とほぼ同じである。電源投入後しばしの時間が経過してきたので、音の出方も馴染みが良くなってきた。

 その後4人で印象を話し合ったが、4人の共通認識は「DSD変換とPCM変換の音の違いが極めて分かりやすい形で提示された」というものであった。

 そして、ESS TECHNOLOGYの最新DACチップであるES 9038PROは、かなり優秀なチップであるということも分かった。SN比や細かな音の再現能力が高く、奥行き感のある空間表現が得意なようである。

 特にオーケストラのように広い空間で演奏されるものの場合、O-DAC PRO Mk3は水を得た魚のように、その実力を発揮する。

 一方狭いライブハウスで行われるジャズトリオの激しい演奏などは、O-DAC BASICの方が臨場感があるのかもしれないと推測した。

 Oさんがお持ちのCDでも1曲聴いてみた。サンサーンスの交響曲第3番「オルガン付」きである。その第1楽章の後半をかけた。

 オルガンに伴奏された弦楽によって瞑想的な主題が提示され、ゆったりと流れる大河のように音楽が流れていく。

 オルガンの最低域がしっかりと出ているかがチェックポイント・・・しっかりと低域が裾広がりに出ていて、気持ちが良かった。

 O-DAC PRO Mk3とO-DAC BASICの聴き比べは、終了した。どちらかが優れているということはなく、より輝く舞台が両者でははっきりと違うということが分かった聴き比べとなった。

 まだ食事には時間が少し早かったので、「では、CDトランスポートとDACを繋ぐデジタルケーブルでどのくらい音が変わるかやってみますか・・・?」と、オーディオマニアらしい提案がなされ満場一致で可決された。

 参加選手は、Ge3、BELDENそしてAT&Tである。Ge3は「銀蛇」という、いかにもな製品名のアナログ・デジタル共用のケーブル。BELDENは「1695A」という型番でshnashanさんがお持ちのもの。

 そしてAT&Tは80年代にAT&Tがデジタル回線として使用していたケーブルを活用して作製されたもので、チューバホーンさんがお持ちのもの。チューバホーンさんは長さの違うものを2本持っているとのこと・・・今日お持ちのものは1メートルの長さであった。
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4154:納品日

2017年07月27日 | ノンジャンル
 少々雨にたたられたロングライドを終えて、シャワーを浴びてすっきりした。その後、リスニングルームに行って、アンプ類の電源をONにすると同時にエアコンをつけた。

 エアコンの温度設定は最低の16度に設定し、風量も最高にした。夏場に真空管アンプを使うのは、結構難儀なものである。

 自宅のリスニングルームは、防音仕様になっているので気密性が高い。真空管の放熱により、この8畳しかない部屋はすぐに暑くなってしまう。

 曲の合間にエアコンを最強にして、「エアコンタイム」を入れないと暑さで頭がぼうとしてしまう。

 リスニングルームの壁に設置されているエアコンは20年前の製品であるので、駆動音がうるさい。オーディオと同時には使えない。エアコンを最新型の消音設計のものに換える必要があるのかもしれない。

 今日はOさんに発注していたO-DAC PRO Mk3が納品される。午後4時の約束であるので、まだ1時間ほど時間があった。

 20年前のエアコンは、その1時間の間必死に仕事をして、リスニングルームの室温をかなり下げてくれるであろう。

 O-DACを製造されているOさんだけでなく、O-DAC BASICを一時的にお借りしているshanshanさん、そしてO-DAC PRO Mk2を自宅でお使いのチューバホーンさんも、O-DAC PRO Mk3の実力を検証すべく、我が家に集まる予定であった。

 時間どおりに、3名のオーディオマニアがわが家に到着した。私を含めて4名のオーディオマニアが、この広いとは言えないリスニングルームにすっぽりと納まった。

 Oさんの両手にはエアパッキンに包まれたO-DAC PRO Mk3が抱えられていた。そのO-DAC PRO Mk3は一旦リスニングルームの床に置かれた。
 
 まずは比較対象となるO-DAC BASICで音を確認してもらった。使用した曲はモーツァルト 幻想曲ハ短調 K475とシベリウス ヴァイオリン協奏曲 第1楽章。

 O-DAC BASICは力感のある音を放出する。コストパフォーマンスの高いDAコンバーターである。1曲ごとにエアコンタイムを挟みながら2曲を聴いて、O-DAC BASICをYAMAHA GTラックから解放した。

 そして、我が家に到着したばかりのO-DAC PRO Mk3を同じ場所に設置した。アメリカ製の電源ケーブルのインレットプラグの装着感は少々曖昧である。一旦セッティングして、電源をONにしたが、パイロットランプが点灯しない。

 一瞬焦ったが、インレットプラグを力を入れてぐっと差し込み直すと、パイロットランプの赤が鮮やかに光った。ほっと一安心・・・



 O-DAC PRO Mk3は、三つ並んだYAMAHA GTラックの真ん中の下段に納まった。そのサイズは横幅430mm高さ70mm奥行き350mmである。スリムですっきりとした印象を受けるサイズとデザインである。

 フロントパネル中央には、電源スイッチと赤色のパイロットランプがあるだけ。ぱっと見は小型のパワーアンプのように見える。
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