AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

4828:カツオのたたき

2019年05月31日 | ノンジャンル
 宗教曲や、器楽曲さらには交響曲など様々な分野の優れたレコードが、市野氏が製作した端正なレコードプレーヤーのターンテーブルに乗せられた。

 Benz Micro Rubyによってレコードの音溝から綺麗に拾われた音楽信号は真空管アンプを通っていって増幅され、JBL 4333から音となって放出された。

 後方に広がるサウンドステージは十分な広さがあり、その音のテクスチャーは、鮮度の良さを感じさせながらも冷色系ではなく、ほのかな暖かさを感じた。

 JBL 4333の後方には広い空間が確保されていて、オーディオ機器達はその位置にセッティングされている。

 レコードプレーヤーとフォノイコライザーはGTラックに置かれているが、それ以外のプリンアプとパワーアンプはラックを用いることなく床にセッティングされていた。

 半月ほど前にお伺いした江東区のHさんのお宅でもオーディオ機器はラックを用いずに床にセッティングされていた。

 これは、ラックを用いた場合と用いずに床にセッティングした場合とで、後者の方が良い結果が出たからあえてその方法を採用されているのであろう。

 私は「オーディオは音楽を聴くものであると同時、目でも愛でるもの」といった思いが強いので、どうしてもラックに綺麗に陳列したくなるが、床直置きの効能はあるようである。

 工藤アンプと市野アンプ、どちらもこだわり抜いて製作された真空管アンプである。工藤アンプをMさんのお宅で聴いたのは、随分と前のことでその時の漠然としたイメージとの対比となる。

 工藤アンプが奏でる音は、料理に例えるなら極上の鮮度を有する「刺身」というイメージであった。いかに鮮度良く、その素材がもつ良さを損なうことなく皿に盛りつけるかという点に最大の関心が注がれているような気がした。

 一方市野アンプは、同じく料理に例えるならば、「カツオのたたき」であろうか・・・表面を藁を焼いた炎であぶって焦げ目をつけ、冷やしてから特製のたれにつけて食する。
 
 表面しか焼かれていないので、カツオ本来の食感と味わいは残っている。あぶることによって旨味をさらに引き出し、タレが絶妙にカツオに馴染んで、すがすがしい味わいの良さを醸し出す。

 MaranztzやQUADのように、煮魚や塩焼といった完全に調理された魚料理の味わい感ではない。ある意味良いとこ取りのような料理である。

 素材の持つ鮮度と、料理としての味わいの良さ、そういったものが絶妙にバランスされているという印象である。

 後方に広がる空間も広く、音の表面は手でちぎって食べる高級食パンのようにふわっとしていて、硬くなることはなかった。

 「これは良いアンプだ・・・」と素直に思えた。私は普段Marantzの「のどぐろの塩焼き」のような味わいに耳が慣れてしまっているが、極上の「カツオのたたき」もやはり美味であることこの上なかった。

 しばらく聴かせていただいていると、Mさんの同級生であり近所にお住いのOさんも来られた。Oさんも年季の入ったベテランオーディオマニアである。

 この広い部屋に4人のオーディオマニアが集ったことになる。様々なレコード鑑賞を終えた後、「せっかく4人いるのであるから、一人ではなかなか難しいスピーカーの位置調整をしてみましょうと・・・」ということになった。

 そして4人がそれぞれ分担して、JBL 4333の位置を微調整しては、視聴をくりかえすという「作業」に入った。こういった「作業」は、オーディオマニアのみが知る愉悦であろう。

 何通りのパターンを試したであろうか・・・Mさんにとって一番耳馴染みが良いポジションにとりあえず落ち着いた。

 当初のセッティングよりもスピーカーはリスニングポイントから離されて、内振りの角度も強くなった。

 このセッティングで聴いてみると、「カツオのたたき」の味の決め手の一つである特製のタレの味わいがより深みのあるものに変わったような印象を受ける。さらに添えられる数種類の薬味の量も増えたような気がした。

 市野アンプは工藤アンプと同様に「知る人ぞ知る」アンプであり、一般的な知名度はないに等しいが、マニアの中のマニアにとっては、気にかけるべき存在だと思いながら、Mさんのリスニングルームを後にした。
コメント

4827:JBL 4333

2019年05月30日 | ノンジャンル
 Mさんのリスニングルームを訪れるのは何年ぶりであろうか・・・確か5年か6年ぶりのことである。随分と久しぶりに訪れたMさんのリスニングルームでは、スピーカー以外のオーディオ機器がすっかりと変わっていた。

 杉並区に住むAさんのお宅まで車で向かい、Aさんをピックアップして同じ区内に住まわれているMさんのお宅に向かった。

 Mさんのご自宅は環七に面している。すぐそばのコインパーキングに車を停めた。23区内のコインパーキングはスペース的に余裕のないところが多い。車を何度も切り返してその窮屈なスペースに車を収めた。

 Aさんと共にMさんのお宅を訪問すると、すぐに地下室であるリスニングルームに案内してもらった。約20畳程ある広い部屋である。

 壁には作り付けのレコード棚があり、数千枚のレコードが綺麗に並べられていた。この部屋の主であるスピーカーは、JBL 4333である。

 JBL 4333は、3ウェイのスタジオモニタースピーカーである。グレー仕上げのその佇まいはプロユースのスタジオモニターらしいカチッとした質感である。

 その4333以外のオーディオ機器が全て変わっていた。以前はプリアンプやパワーアンプは工藤アンプであった。しかし、アンプの具合が相次いで悪くなっても、アンプの製作者である工藤氏が体調を崩しているため、メンテナンスが全く依頼できない状況であった。

 工藤アンプは、清廉な質感の見た目と音質が特徴的であった。塵ひとつない清潔感溢れる音の質感は独自の魅力を持っていた。

 その工藤アンプに替わって、JBL 4333を駆動するのは、市野アンプであった。アンプの製作者である市野氏は、チェコスロバキアのステラ製の古いスピーカーを愛用されていて、そのスピーカーをご自身が製造されたアンプで鳴らされている。



 パワーアンプはモノラル構成で、オーソドックスな造形であった。出力管はPX25。古い時代から製造されている直熱三極管である。

 人気も高く、程度の良いヴィンテージ管であればペアで20万ほどの価格が付くこともある。大型で格好の良い球で、見ていると威圧感すら感じる。



 送り出しであるレコードプレーヤーも新調されていた。前回お伺いした時はトーレンス製のものであったが、こちらもアンプの製作者である市野氏が製作されたレコードプレーヤーであった。

 キャビネットは贅沢に天然木を使った頑丈なものであり、モーターは本体とは別躯体になっていて、細い糸によりドライブされている。

 それらは2台のYAHAMA GTラックの上に置かれていた。アームはIKEDA、カートリッジはBenz Microである。

 音の出口以外はすっかりと変わったMさんのオーディオシステム・・・音の印象がどのように変わったのか・・・とても興味深いところであった。
コメント

4826:帰路

2019年05月29日 | ノンジャンル
 都民の森を出て長い下りに入った。今日は都民の森のヒルクライムコースは大賑わいである。下っていくと逆側から上ってくるローディーの姿が途絶えることはなかった。

 風を切って走っていった。カーブを曲がる時はブレーキングで減速してロードバイクを倒しながら駆け抜けていく。

 路面状況は良いので、都民の森からの下りは心地いいものであった。これが雨などで路面がぬれていたりすると、タイヤがグリップを失うのではないかと恐怖心が沸き上がる。

 順調に下っている時であった。その右脇をハイスピードで通り過ぎていくロードバイクがあった。ずっと一人で走っていたので、「ちょっとつかせてもらおう・・・」と思った。

 といっても、ぴったりと後ろにつくのはやはり失礼である。50メートルほどの距離を開けて、先導してもらうことにした。

 「上川乗」の交差点を通りすぎて、下り基調の道を良いスピードで駆けていった。この先は軽い上り返しもある。

 先行するローディーは、上り返しもがしがしとクランクを回してスピードは緩まない。そのペースにぴったりと合わせて、私もクランクを回した。

 しかし、「橘橋」が近づいてくると、先導役のローディーの背中に疲れが見え始めた。そしてペースも随分と落ちてきてしまった。
 
 私もペースを落として間隔を詰めすぎないように調整したが、かなりペースダウンしてきたので、止むを得づクランクを回すペースを一気に上げて、その右脇を通り抜けた。

 また、単独走となった。「橘橋」のT字路交差点を右折した。武蔵五日市駅を目指して木々の多い道を走った。

 比較的涼しい檜原街道を走っていって、武蔵五日市駅の前を右折した。覚悟していたとはいえ、睦橋通りはやはり暑かった。

 照りつける陽光を遮るものはなく、アスファルトからは熱が湧き出ていた。横を通る車からも大量の熱が放出されていた。

 都民の森で補充したボトルの水はどんどんと減っていき、睦橋通りを走り終える頃には底をついた。

 「まずいな・・・途中コンビニに寄らなければ・・・」と思いながら睦橋通りから離れ、玉川上水に沿って続く道に向かった。

 途中、セブンイレブンの看板が見えたので、立ち寄った。トイレを済ませ、水と補給食を購入した。補給食として選んだのは「とんこつラーメン御飯と半熟煮玉子おむすび」である。

 コンビニお握りは、様々なアイディア商品が発売されているが、これもその一つである。卵好きである私は、この半熟卵が嬉しい。

 ボトルに冷たい水を補充して、先に進んだ。都民の森でのヒルクライムで脚を酷使し、帰路をハイペースで走ってきて、さすがに疲れた。

 どうにか予定時間に間に合いそうであったので、帰路の終盤はややペースを落として走った。自宅には1時半にたどり着いた。ちょうど2時間かかった。 
コメント

4825:都民の森

2019年05月28日 | ノンジャンル
 序盤のゆったりとしたペースは徐々に上がっていった。そのペースに順応してクランクを回すペースを上げていくと、心拍数も正比例して上がっていき、やがてサイコンに表示されるその数値は170を超えた。

 先頭は2名の上級者が引いていた。「ついていけるところまでついていこう・・・」と思っていたが、1km程走った頃からさらに上がったペースについていけずに、私は後退し始めた。

 2名が先行する形になった。1名のメンバーは途中でペースを上げてその後ろに追いついたが、私はペースを上げる脚はなく、その差がどんどんと開いていき、ヒルクライムコースの前半を走り終える頃合いには、100m以上の差が3名の先頭集団との間についてしまった。

 数馬から都民の森までは4.5km程の距離がある。しっかりとした上りが続く。激坂エリアはないので走りやすいが、最後まで斜度は緩まない。

 後半に入り、心拍数は175ぐらいで推移していた。負荷はしっかりと脚にかかっている。後半に入ってもたれることはないが、かといって前を行くメンバーとの差をぐっと縮めるようなペースアップは全く図れなかった。

 ヒルクライムコースも終盤にはいり、3名の先頭集団もばらけたようである。3番手を行くメンバーの背中は視界に入っている。

 しかし、その差はまだまだ100m程離れている。ラストスパートで追いつける差ではない。その差が30m以内に縮まれば、最後で追いつける。

 わずかばかりペースを上げたが、その差が縮まることはなかった。私ともう1名のメンバーは、苦しい終盤を一緒に走っていた。

 やがて、道の上には「都民の森 1km」と書かれた道標が見えた。サイコンの心拍数は178を表示していた。かなり高めの負荷に脚は悲鳴を上げそうになるが、どうにかこうにか持ちこたえていた。
 
 残り200mほどになった時に一緒に走っていたメンバーがスパートして前に出た。その差は30mほどに広がった。

 私はすぐには反応せずに残り100mほどになり、ゴールが視界にはっきりと入った段階でラストスパートした。

 先行スパートしたメンバーに追いついて、一緒にゴールした。都民の森には多くの車が駐車していた。

 ローディーの姿も多く、サイクルスタンドは満杯であった。ゆりーと君が自転車に乗っている像が建っている所にロードバイクを立てかけて、疲れた体を休ませた。



 都民の森の標高は1,000mほどである。季節によっては寒さに震えることもあるが、今日はもちろんそんなことはなかった。

 陽光は相変わらず夏を思わせる厳しいもので、下りでもサイクルウェアの背面ポケットに入れてあるウィンドブレーカーを着用する必要性はなさそうであった。

 私は所要のため、自宅に1時半頃に帰りつく必要があった。メンバー全員が走り終えて、恒例の記念撮影を済ませてから、一足早く帰路についた。

 メンバーに別れを告げて、走り出した。時刻は11時半。ノンストップで走れば2時間ほどで自宅に帰りつくことができるはずであった。
コメント

4824:夏空

2019年05月27日 | ノンジャンル
 コンビニ休憩を切り上げて、リスタートした。国道16号をほんの少し走ってから睦橋通りに入った。睦橋通りは片側2車線の広い道である。

 日影は少ないので陽光を全身に浴びながら進んだ。この時期の陽光は本来であればもう少し穏やかなものであるが、今日は夏を思わせるそれであり、体力を奪う大きな要因になり得るものであった。

 赤信号で何度もストップアンドゴーを繰り返しながら、睦橋通りを走っていると、反対側からチームメンバーが走ってきた。

 午後予定があるため朝早く「都民の森」を目指して走り始め、ゴールした後の帰り道のようであった。手を振ってすれ違った。

 今日はローディーが多かった。その多くが「都民の森」を目指していた。そういったローディーとくっついたり離れたりしながら進み、武蔵五日市駅の手前を左折して檜原街道に入った。

 市街地を抜けると道の両側を木々が鬱蒼と覆う「陰地」に入っていった。「陰地」は涼しい。空気感がとてもすっとしている。思わず「気持ち良い・・・!」という声がチームメンバーの口々に上がった。



 今日のように気温が高いと、睦橋通りと檜原街道は好対照となる。睦橋通りは暑く、檜原街道は涼しい。

 檜原街道をどんどんと進んで行き、「山の店」がある駐車場に着いた。ここにある公衆トイレは最近建替えられて、総ヒノキ造りの高級感あるものになった。

 その手前にはサイクルラックも設置された。それは嬉しいのであるが、私のLOOK 785 HUEZ RSには高さが足りず、サイクルラックにロードバイクをかける際にはちょっと手こずる。 



 ここで一息入れた後、「数馬」までは隊列をキープしながら走り、「数馬」で再度一息入れてから、「都民の森」まで走る。「数馬」から先はフリー走行ゾーンとなる。

 「山の店」の自販機で清涼飲料を購入して飲んだ。空を見上げると青い空がまぶしかった。梅雨入り前の5月とは思えない空の色合いであった。「夏空」そのものであった。

 リスタートして「数馬」を目指した。檜原村役場の前を通りすぎて「橘橋」のT字路交差点を左折した。

 この交差点の手前では数名のローディーが休んでいた。ここから「都民の森」までの21kmをタイムトライアルするようであった。60分を切るとまずまずの健脚の持ち主ということになる。

 我々はほぼ一定のペースで上り基調の道を進んだ。先頭交代を繰り返しながら進んでいったが、いつもよりペースは速めであった。

 心拍数も徐々に上がってきて160を超えてきた。「少し速すぎないかな・・・数馬からはバトルモードで走るから、脚を残しておきたい・・・」と不安になった。

 バトルモードになると心拍数は170を超える。厳しい負荷が心肺や脚を傷めつける。余力がないと、ペースを上げることは難しい。

 ようやく「数馬」に着いた。ここで一息を入れた。季節外れの暑さと速めのペースのダブルパンチをくらい、足元が少しふらふらした。

 私は気温の変化に弱いタイプである。寒さにも弱く、暑さにも弱い。昨年の夏の猛暑では2度ほど軽い熱中症になった。

 今日もこの暑さに少しぐったりしてしまった。木陰で少し涼んでから、「都民の森」を目指して最後の行程を走り始めた。序盤はゆったりとしたペースで走り始めた。
コメント