AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

5102:SCOTT ROSS

2020年02月29日 | ノンジャンル
 「この山水のAU-X11は修理が終わったものですか・・・?」私は井村さんに訊いてみた。すると井村さんは「それね・・・終わったばかり・・・結構手間取ってね・・・トランジスターアンプは回路が複雑だから手間がかかってね・・・」と返答された。

 「今からヒアリングで最終チェックをしようと思っていたところでね・・・もしよかったら聴いてみる・・・?」と続けられたので、「聴いてみたいですね・・・その当時の山水のフラッグシップのプリメインアンプですよね・・・907よりも上に位置していた・・・」と私は応答した。

 そして、井村さんはAU-X11を所定のセッティング位置に移動してケーブル類を接続した。「響工房」の常設のCDプレーヤーはLUXMAN D-500X'sである。トップローディング方式の洒落たデザインの一体型CDプレーヤーである。

 LUXMAN D-500X'sから伸びたRCAケーブルがAU-X11に接続され、AU-X11のスピーカー出力端子から伸びたスピーカーケーブルが接続されたのは、「響工房」常設のフォステクスのユニットを使ったバックロードホーンスピーカーである。

 これでシンプルなスリーピース構成のオーディオシステムが完成した。井村さんはCDを取り出してLUXMAN D-500X'sにセットした。

 最初にかかったのはギター1本をバックに演奏されるブルースである。井村さんはブルースギターを趣味とされていて、作業場の隅には何本かのギターが置かれてもいる。

 ギターの音で修理が完了したアンプの音のチェックをされているようであった。そのCDから2曲かかった。

 「大丈夫そうだ・・・」と井村さんはその音を確認しながら呟かれていた。結構切れのある音である。スピーカーがどちらかというとハイスピードで切れのあるタイプであるので、AU-X11の特徴がどうかについては判然としないが、ためらいのない音が工房内に響いた。

 続いてかかったのはチェンバロ独奏のCDであった。CDケースを見ると「Scarlatti Sonatas SCOTT ROSS 」とあった。

 穏やかで静謐な質感のチェンバロの音が、修理を待っているオーディオ機器であふれた工房内の雑然とした空気の中に響き渡った。

 目をつぶると、その雑然とした工房の風景は消え、教会の中の静かで広い空間が脳内スクリーンに映し出されるような演奏である。



 しばしの時間、その優雅な調べに耳を傾けていた。AU-X11は山水の技術の粋を詰め込んだ重量級のプリメインアンプであるが、音は重々しくない。むしろ明るく軽やかな印象を受ける。

 このアンプは1982年に発売された。1982年といえば、私は19歳。大学1年生である。新宿区の甘泉園公園のすぐ裏の古ぼけたアパートに住んでいた。

 部屋は4畳半一間で、炊事場、トイレは共同。もちろん風呂はなく、神田川を渡った先にある銭湯に通っていた。

 随分と昔のことである。2020から1982を引いて出た数字を確認して、過ぎ去った年月の重さを思った。しかし、この古いプリメインアンプが奏でるチェンバロの音を聴いていると、それほどまでに時間が経過したようには思われない。ついこの間のことのように思えてもくる。

 その小さな正方形をした部屋には窓が二つあった。西の窓からは甘泉園公園の木々の緑を望むことができた。SCOTT ROSSの奏でるチェンバロの音を目を閉じて聴いていると、春の陽光に照らされた甘泉園公園の木々の葉が風に揺れるさまが見えるようであった。
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5101:AU-X11

2020年02月28日 | ノンジャンル
 今日は埼玉県の顧問先を午後に訪問した。打ち合わせを終えてから、埼玉県ふじみ野市にある「響工房」へ向かった。車で30分ほどで着く距離である。

 「響工房」はオーディオ機器の修理をする小さな工房で、井村さん一人で運営されている。井村さんはLUXMANの修理部門で長年働かれたのち、ヴィンテージ機器の修理を行う会社でも腕を磨き、独立された。

 工房内にはいつも修理の依頼を受けた数多くのアンプ等が置かれている。それらはヴィンテージと呼ばれる真空管式の古いものや、オーディオブームが華やかであった時代の日本製のプリメインアンプなどである。

 私の愛用しているMarantzのmodel2とmodel7も、今までに何度か「響工房」にお世話になっている。

 今日、BMW523iの後部座席に座らせられていたのは、Marantz model7であった。といってもmodel7の身に何かしらのトラブルが降りかかったわけではない。

 探していたコンデンサーがようやく見つかったので、それを装着してもらうためであった。Marants model7の裏面に4個並んで付いているカップリングコンデンサーについて従来から容量が減っているので、そろそろ取り替えた方がいいですよという警告を井村さんから受けていた。

 現状では「バンブルビー」と呼ばれるスプラグ製の古いコンデンサーが付いている。オリジナルのパーツであるが、古い時代のもので容量が減っている場合が多い。

 代替品として探していたのはWEの402Cである。なかなか数値が合うものが見つからなかったが、とあるヴィンテージショップにひっそりと潜んでいた。

 それをゲットして、model7と一緒に「響工房」に持ち込んだ。「響工房」の作業場の中にはやはり修理を待ついくつかのアルプがところ狭しと置かれていた。

 やはり古い時代のものが多い。そのなかで目についたのがサンスイの大型のプリメインアンプであった。近づいて型番を確認するとAU-X11であった。

 サンスイのAU-X11は、1982年に発売された高級プリメインアンプである。

 その当時のサンスイが持つ技術の全てを投入して開発されたプリメインアンプである。CDが発売される前年である1982年、オーディオ業界は今とは比べようもないほどに熱い時代であった。

 そんな輝かしき時代のサンスイ製のアンプは、その見た目も豪華である。黒く輝くAU-X11の姿を眺めていると、ノスタルジックな気分になった。
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5100:風前の灯

2020年02月27日 | ノンジャンル
 先日のロングライドの時にチームメンバーの間で話題となったのが、「Mt.富士ヒルクライムがコロナウィルスの影響で中止になるのでは・・・」ということであった。

 もうすぐ開催される東京マラソンでは一般参加者の参加が取り止めとなった。そしてエントリーしていた一般参加者の参加料は返金されなかった。

 コロナウィルスの広がりは日本でも猛威をふるっていて、当面の間は収まらないであろう。となると、6月7日に開催が予定されているMt.富士ヒルクライムが中止もなる可能性は高いと言わざる得ない。

 Mt.富士ヒルクライムには7年連続で参加してきた。今年参加できれば8回目の参加となる予定であったが、その開催の可能性は「風前の灯」の如しである。

 そして昨日、Mt.富士ヒルクライム実行委員会より一通のメールが来ていた。

 「先日、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、政府からイベント開催に関しての方針が示されました。6月7日(日)に開催されるMt.富士ヒルクライムでは開催に向けて準備を進めておりますが、参加者の皆様に安心してレースにご参加いただくための措置として、3月1日(日)から予定していた一般エントリー受付開始をいったん延期とさせていただきます。」

 私は2月14日から開始された先行エントリー(過去に参加したことがあると先行エントリーできる)で既にエントリーを完了していた。

 先行エントリーを既に済ませた場合についてメールには「また仮に大会開催が中止となった場合、すでに先行エントリーにてお申し込みをいただいた方への返金方法及び返金額につきましても、改めて大会ホームページ等でお知らせいたします。」とあった。

 先行エントリーした参加予定者には全額ではないかもしれないが参加費の返金があるようである。

 このメールを目にして、「風前の灯」の炎はさらに小さくなったように感じた。

 その小さな炎はもうすぐにすっと消えてしまい、後には白い煙がほわほわと立ち上るだけということになりそうな気配である。
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5099:免疫力

2020年02月26日 | ノンジャンル
 いつもよりも短めに江ノ島での滞在を切り上げて、帰路につくこととなった。10台のロードバイクは隊列を形成して走り始めた。

 天気予報では午後から風が強くなるとのことであったが、その予報通り風が強くなってきていた。

 境川に沿って続く境川サイクリングロードを速めのペースで走っていった。時折強い風に行く手を阻まれた。



 しばらくハイペースで走ったが、ややあって一人のメンバーの脚に異変が起きた。どうやら太腿の筋肉が攣りそうになったようである。

 私も経験があるが、太腿の筋肉が攣ると、とてもではないが痛くてクランクを回せない。ふくらはぎの筋肉の場合には攣りながらも、だましだまし漕ぐことができるが、太腿の場合はごまかしが効かないのである。

 ペースを落とし、護送船団方式に切り替えて境川サイクリングロードをこなしていった。

 ようやく境川サイクリングロードを走りきり、町田市の市街地に入った。途中のセブンイレブンでコンビニ休憩をすることになった。。

 トイレを済ませてから「レッドブル」を購入して飲んだ。翼を授けてほしかったのかもしれない。疲労感は全身を覆っていた。

 現状のペースでは3時前に帰りつくことは難しい。ということで、3時からショップを開けなければならないリーダーと、予定が入っていた一人のメンバーの2名は隊列を離れてハイペースで帰路を急ぐことになった。

 8両編成になったトレインは無理のないペースで走り始めた。途中で脚を痛めていたメンバーの太腿が攣ったので小休止したが、それ以外は止まることなく帰路の行程をこなしていった。

 府中街道にたどり着き、北上した。途中で東大和市・国分寺市方面に向かう3名は本隊と別れて府中街道をそのまま北上した。

 風は北風であった。つまり風と闘いながら走る必要があった。それでも3両編成と短くなったトレインのスピードはぐんぐんと上がった。

 先頭交代をしながら逆風を潜り抜けていった。国分寺市在住のメンバーが右折して離れていき二人はさらに北上した。

 やがて道は東大和市内に入った。疲労度はマックスであったが、ゴールが間近になってきたので、既に枯渇したはずのエネルギーを振り絞ってハイペースでクランクを回し続けた。

 新青梅街道の手前で一緒に走ってきたメンバーと別れて単独走になった。へとへと状態で自宅に帰りついてサイゴンの走行距離を確認した。ちょうど130kmであった。

 疲労感はいつものロングライドの130%程の感覚であった。「ここまで疲労すると免疫力は下がっているだろうな・・・今の時期、まずいかも・・・」と少し不安になった。
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5098:江ノ島

2020年02月25日 | ノンジャンル


 江ノ電の江ノ島駅近くの商店街通りを抜けると景色がさっと広がった。海風がざわざわと吹きまわっていて、海は白い波頭を規則的に際立たせていた。

 真っ青な空には強い風に抗うように羽を広げた鳥達がホバリングしていた。

 大きな交差点を渡って江ノ島に繋がる橋の上を走っていった。江ノ島ライドにおけるハイライトシーンである。橋の両側には海が広がっていて、解放感に溢れている。

 3連休の中日である。観光客はいつも通り多かった。江ノ島に関しては、コロナウィルスの影響はそれほど感じられなかった。

 江ノ島に達していつも立ち寄る「座々丸」に向かった。10名と大人数ではあったが、時間が早めであったので、テラス席に陣取ることができた。ロードバイクはテラス席の木製フェンスに立て掛けた。
 
 陽光降り注ぐテラス席は暖かく、快適であった。みんなでメニューを見ながら、昼食を何にするか迷った。

 海鮮丼、しらす丼、マグロカツ丼など、目移りしてしまう。お得なセットメニューもあった。

 セットメニューに、しらす丼とマグロのカツのコンビがあった。「これがお得かな・・・」と、これにした。

 オーダーを済ませてから、しばらくして頼んだものが次々に運ばれてきた。しらす丼には専用のたれをかける。マグロカツには、中濃ソースをかけていただいた。

 今日はいつもの江ノ島ライドと違いまったりタイムを十二分に堪能するわけにはいかない。皆が食べ終えたところで、会計を済ませて、撮影ポイントに移動した。



 各々海を背景にした自分のロードバイクの写真を撮り終えてから、全員が揃った集合写真も撮った。

 午後3時前に帰り着くためには、帰路もそれなりの快速ペースで走らないといけない。心配なのは風である。江ノ島からの帰路では強烈な向かい風に苦しめられたことが何度かある。今日もそうなる可能性があった。
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