AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

5011:4部構成

2019年11月30日 | ノンジャンル
 グレース・マーヤさんのサロンコンサートは、19時30分から始まった。会場は横浜港を間近に見ることができる場所にある「ル・サロン」である。



 横浜のMさんがオーナーを勤めるこの豪華なサロンは、普段は会員制のワインスクールとして活用されているが、時折サロンコンサートも行われる。そのために大変高価なスタンウェイのビアノが置かれている。

 グレース・マーヤさんは気さくな性格の方で、素晴らしいビアノ演奏と歌を次々に披露しながら、繋ぎのMCも実に滑らかである。

 サロンコンサートはリラックスした雰囲気で進んだ。参加者に振る舞われた素晴らしく美味しいワインの効果もあり、穏やかで上質な夜の時間は瞬く間に過ぎていった。

 グレース・マーヤさんのサロンコンサートは、このサロンで4年間毎年開かれている「German Physiks友の会」のメインイベントとして企画されたものである。

 今日の友の会は3部構成であった。メインのサロンコンサートは最後の第3部である。その前の第2部は、このサロンに程近いイタリアンレストランでの食事会であった。

 幾つかのテーブルに別れて座り、オーディオ談義に花を咲かせた。私の座ったテーブルのメインテーマは、いつしかPCオーディオになっていった。かなりディープな内容であったようであるが、残念ながらこの方面の知識が全くない私にはなんのことだかさっぱり分からなかった。

 料理は次々に運ばれてきて、胃袋を心地よく満たしてくれた。質、量ともに十分に満足感の得られるものであった。

 第2部の前の第1部は、この会の主旨でもある、German Physiksのスピーカーを使ったデモであった。使われたスピーカーは「トロバドール80」とPSD製のサブウーファーの組み合わせである。

 PCからのデーターはMola MolaのデジタルプリアンプでDA変換されてから2台のSD05で増幅されて近未来的な造形のスピーカーから空間に放たれていた。

 片チャンネルあたり2台のDDDユニットにより360度に放出される音は空間表現に特に秀でていて、それをPSDのサブウーファーがきっちりと下支えするこのコンビは、今や「熟成」の域に達し、安定感のある音を奏でていた。



 この美しく豪華な会場には、少し早く着いた。これからスピーカーをセッティングし、微調整をする段階であったので、横浜のMさんのご厚意により、同じマンションの4階にある横浜のMさんのリスニングルームでパラゴンを聴かせてもらった。



 3ウェイのパラゴンはマルチアンプで駆動されている。低域はブライストンのパワーアンプが、中域と高域は、ファーストワットのSIT1が受け持っている。

 SIT1は新たに導入されたようである。そのSIT1の効果であろうか、今回聴かせていただいた音は、パワフルでありながら同時にしなやかさも感じられる音の質感に変わっていた。

 アスリートではあっても、強張った筋肉のパワーで押し切るタイプではなく、筋肉がより柔らかく精細な動きをしなやかにこなすタイプになったような印象受けた。

 パラゴンの部も入れると、今日は4部構成のオーディオ・アンド・ミュージックの一日となった。気温はとても低くかったが、盛りだくさんなイベントで心は十二分に暖まった。
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5010:ベストバイコンポ

2019年11月29日 | ノンジャンル
 もう今はオーディオ雑誌を購入することはなくなったが、1990年代まだオーディオ機器が我が家に置かれていなかったころ、不思議とオーディオ雑誌を買って読んでいた。
 
 それは月刊誌「STEREO」である。経済的にも住んでいた賃貸アパートの空間的な制約からもオーディオシステムなど非現実的な時代であったが、空想を膨らませるためだけに購入して読んでいたようである。

 STEREO誌では年末が近づくと毎年恒例の企画として「ベストバイコンポ」が特集されていた。オーディオ評論家数名が部門ごと価格帯ごとに、推薦するオーディ機器に点数をつけて、もっとも「買うべき」オーディオ機器を選ぶというものであった。

 オーディオに関する知識が乏しかった頃、「そうだよね・・・やっぱりこれだよね・・・」と感心しながら熱心に拝読していた。

 プリメインアンプ部門でとても強かったのが、今はなき「Sansui」である。Sansuiと言えばAU-607シリーズが主力機種であった。

 モデル最初期のAU-607はモデルチェンジされるとAU-D607になり、さらにAU-D607Fになりといった具合に、モデルチェンジのたびに少しずつ製品名が変わっていった。最後のAU-α607NRAⅡまでAU-607シリーズは17代も続いたのである。

 モデル終盤ではシルバーフェイスになってしまったが、1991年発売のAU-α607DRまでは精悍なブラックフェイスが売りであった。



 デザイン的にはモデル最初期のAU-607で既に完成していて、基本的にそのデザインを踏襲して大きく変えることはしなかった。

 その歴代AU-607シリーズは、STEREO誌でのベストバイコンポで常に1位を取っていたような気がする。

 アンプはSansui、スピーカーはDAITONEが強かったような記憶が残っているのである。CDプレーヤーはDENONが強かったか・・・

 そんなSTEREO誌の年末企画である「ベストバイコンポ」で1位を取ったCDプレーヤーとプリメインアンプとスピーカーを組み合わせたら、きっと良い音がするんだろうなと勝手に思っていた頃が、今となっては懐かしい。

 今年もきっと「ベストバイコンポ2019」をやるのであろう。12月の下旬には本屋さんの片隅に「ベストバイコンポ2019」が特集として組まれたSTEREO誌がひっそりと置かれるはずである。

 時折、まだ日本のオーディオメーカーが元気であった80年代、90年代の古いオーディオ機器をヤフオクで安く落札して一組のシステムを組んでみて、サブシステムとして聴いてみたいと思うことがある。それもきっと歳のせいであろう・・・
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5009:三兄弟

2019年11月28日 | ノンジャンル






 写真は上からTIGUAN、T-ROCK、T-CROSSである。フォルクスワーゲンの「SUV三兄弟」である。長男であるTIGUANは既に販売されていて人気を博している。

 次男であるT-ROCKは来年日本に導入される予定である。そして、三男であるT-CROSSは11月27日から日本でも受注が開始された。

 その価格は299万9000~335万9000円で、納車開始は2020年1月以降である。日本の道路事情にあったコンパクトさ、ドイツ車らしいクリーンなデザインからしても結構売れるような気がする。

 T-CROSSはPOLOをベースとしたSUVである。T-ROCKはGOLFベースのSUV、TIGUANはPASSATベースのSUVである。

 SUVが全世界的に売れているのでフォルクスワーゲンもSUVのラインナップを一気に拡充してきた。「SUV三兄弟」が日本でも揃うのは来年になるが、この三兄弟、外車メーカーだけでなく日本のメーカーにとっても脅威になるであろう。

 三兄弟というだけあって、三男はかなり若者向けに振っている。20代から30代前半のユーザーをターゲットにしている感じである。

 T-ROCKは30代後半から40代前半・・・となるとTIGUANは40代以降といった年齢層をターゲットにしているのかもしれない。

 「この三兄弟、日本でもっとも売れるのはどれであろうか・・・」と思った。「GOLFベースのT-ROCKであろうか・・・・」と個人的に推測した。

 「三兄弟」を謳うなら、長男である「TIGUAN」の名前は表記を変えた方が良いような気がした。三男は「T-CROSS」、次男は「T-ROCK」であるので、長男は「T-GUAN」にしたほうが統一性がある。まあ、どうでもいいことであるが・・・

 この三兄弟、もしかしたら本家の三兄弟である「PASSAT、GOLF、POLO」の合計販売台数を上回る販売台数を記録する可能性も無きにしも非ずである。特にSUVブームが席捲している日本ではその可能性は高いとも思える。
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5008:東京インターナショナルオーディオショウ

2019年11月27日 | ノンジャンル
 11月22日(金)から24日(日)までの3日間、今年で37回目を迎える東京インターナショナルオーディオショウが開催された。

 場所は、有楽町駅からほど近い東京国際フォーラム。出展社数は約30で、 海外・国内あわせて200を超えるブランドの個性あふれるオーディオ機器を見たり聴いたりできるので、人気が高い。

 私もオーディオを趣味とするようになった最初の数年は毎年欠かさず東京インターナショナルオーディオショウに足を運んだ。

 しかし、我が家のオーディオ機器がハイエンドオーディオからヴィンテージオーディオに変わっていくに従って興味が薄れていき、最近では足を運ぶことはなくなっていた。

 10年近く前、まだ私が東京インターナショナルオーディオショウを心待ちにしていた頃、その会場である東京国際フォーラムに行くと、必ず行くブースがあった。

 それは「ユキム」のブースである。ユキムはいつもメイン会場から少し離れた場所にブースを設けていた。

 片側が全てガラス張りというブースは音響的には悪い条件であり、ここで聴ける音が良いと思った記憶はない。

 しかし、扱っているブランドが魅力的であり、目の保養のために向かったのである。さらに、メイン会場から少し離れていたので、空いていて落ち着けた。



 その当時、メインで展示されいたのはORACLEのオーディオ機器であった。シンメトリックに配置されたグレーのラックにはORACLEのきらきらとした質感のオーディオ機器が並んでいた。

 その当時Delphiは「5」の時代であった。Delphi5は「妖精的な」という形容詞を献呈したくなるほどに魅力的なデザインをしていた。さらにCDトランスポートであるCD2000も近未来的な造形で視線を集めていた。

 その当時、ユキムのブースで目にした光景の印象が強く脳裏に残っていたのか、現在我が家のリスニングルームには、レコードプレーヤーとしてORACLE Delphi6が、CDトランスポートとしてはORACLE CD-2000が、Marantz Model7を真ん中に挟んでGTラックの上段に置かれている。

 その他のオーディオ機器が、1950年代に設計・製造されたものであるに対して、このORACLEの二つのオーディオ機器は新しいものである。

 時代的な整合性が取れていないのかもしれないが、それらは不思議と調和しているように感じられる。



 10年以上前の東京インターナショナルオーディオショウにおけるユキムのブースの雰囲気がほんの少し感じられるのである。

 これからも東京インターナショナルオーディオショウにわざわざ出かけることはないとは思うが、我が家のリスニングルームにも、東京インターナショナルオーディオショウの「残り香」のようなものが、今もかすかに香っているようである。
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5007:幻想曲

2019年11月26日 | ノンジャンル
 巨大な電源部を有する市野式DACの実力はどのようなものなのか、早速検証することになった。リスニングルームには近くにお住いのAさんも来られていた。

 CDトランスポートはSONY NAC-HD1である。これは一旦CDのデーターをハードディスクに読み込んでそのデジタルデーターをDACに送り込む。

 NAC-HD1は250GBのハードディスクを搭載していて、「約380枚のCDデーターを高音質のまま収録できるHiFiジュークボックス」としてかって販売されていたものである。

 最初に聴かせていただいたのはモーツァルトの幻想曲ハ短調 K475。演奏はマリア・ジョアン・ピレスである。

 モーツァルトとしては珍しい「ハ短調」という厳粛な調性のこの曲は、地を這うような低弦の重い響きがら始まる。

 曲は転調を重ね、緩急のテンポを繰り返す。「幻想曲」というタイトルの通り、さすらっているように感じられる。

 当時、「ハ短調」については「愛の告白、あるいは愛する魂の渇望、苦悩・憧れ・ため息」といった説明がなされていたが、まさにこの曲はそうった感情がちりばめられているようである。

 市野式DACを通じてデジタルからアナログに返還された音の質感は、言い古され陳腐化してしまった表現ではあるが「アナログライク」という表現がぴったりとくるものである。

 パワーアンプを思わせる威容を誇る電源部の効果は絶大で、音の抜けきり感が素晴らしい。抑えつけられたような感触が全くない。

 1989年、30年前の録音であるピレスの演奏は、何かが降りてきて彼女の魂に乗り移ったかのようである。とても精神性の高い演奏である。

 その精神性の高い演奏を、市野式DACでは決して矮小化することはない。スムースに等身大で提示してくれる。

 「良いDACですね・・・この巨大な電源部を目にした時からただ者ではないとは分かていましたが、本当にただ者ではなかったですね・・・」

 と、幻想曲が終わった時に感想を述べた。Aさんも感心されていた。Mさんはしたり顔でニヤニヤされていた。

 その後他の曲も聴いた。その印象は変わらなかった。DACは電源部が大事ということは以前聞いたことがあったが、今回の体験はその認識をより強くするものとなった。
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