AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

4533:RCAケーブル

2018年08月11日 | ノンジャンル
 音が出た瞬間、「音か軽く飛び出してくるな・・・」と感じた。口径のそれほど大きくないフルレンジユニットにツイーターを追加したという、比較的シンプルな構成と、いたって単純なネットワーク、そしてエージングが完了状態にある軽量なコーン紙などの相乗効果であろうか・・・もったいぶった感じがまったくない。

 「軽く乾いた感じの音ですね・・・響きは明瞭で、すっと空間に消えていく・・・イギリスのスピーカーの方がもっと暗い感じの音色ですね・・・」

 私は、ベルリオーズの「幻想交響曲」第1楽章を聴き終えて、そう感想を述べた。WB60はヨーロッパ製のスピーカーという先入観からすると、随分とさっぱりとした音の質感であった。

 コンパクトなサイズのスピーカーであるので、量感たっぷりの低域を望むのは酷と言うものであるが、低音感はほどほどに感じさせてくれるので、このバランスに耳が慣れてしまば、違和感はなくなるであろう。

 普段TANNOY GRFという、WB60の容積の何倍も大きなスピーカーを聴いている私の耳には、やはり高域寄りのバランスに聴こえた。

 「じゃあ、ここでRCAケーブルを替えてみて、その音の変化を聴いてみましょう・・・今のは、ウェスタンの古い単線を使ったケーブルだったけど、テレフンケンが恐らく第2次世界大戦前に作ったと推定されるケーブルを使ったものに替えてみると・・・」

 そう言いながら、小暮さんはMC昇圧トランス Ortfon T20とプリアンプの間を接続していたRCAケーブルを手早く取り換えた。

 そして、再度ROKSAN XERXES Vのターンテーブルの上に乗っているクレンペラー指揮の「幻想交響曲」のレコードに、MC20の針先を降ろした。

 再度「幻想交響曲」の第1楽章がテレフンケンの2ウェイスピーカーから流れだした。ウェスタンの単線を使用したRCAケーブルを使っていた時に比べて、テレフンケンの古いケーブルを昇圧トランスとプリアンプ間に使った場合は、音の質感がやはり変わった。

 より温度感や密度感が高くなった。それ故か、演奏者に対するピントが正確に合ってきたような印象を受けた。

 「これ、良いですね・・・少なくともクラシックにジャンルを限定するなら、テレフンケンのケーブルの方が印象が良いです・・・」

 私はそう伝えると、小暮さんは「ウェスタンのものを長年愛用してきたけど、このテレフンケンのものは、音楽の持つエネルギー感を上手に引きだすようなところがあって、これに替えようかと思っているところなんだ。」と言った。

 「これ、私も欲しいですね・・・」と、思わず漏らすと、小暮さんは「もう1セットあるけど、要る・・・?」と応じた。「要ります・・・要ります・・・」と二つ返事で私は答えた。

 そういった経緯で、「オーディオショップ・グレン」を辞して、フォルクスワーゲン ポロを停めているコインパーキングに向かう私の手にはそのRCAケーブルが握られていた。  
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