AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

6179:ドライバー・オリエンテッド

2023年01月31日 | ノンジャンル

 「試乗車の準備が整いました・・・」と男性営業マンが呼びに来たので、ショウルームを出て駐車場に向かった。ショウルーム内の展示車は鮮やかなグリーンであったが、試乗車は渋いグレーであった。「この色も、良いな・・・」と思いながら、ドアを開けてドライバーズシートに収まった。

 インテリアは従来のアルファロメオのデザインを基本的に踏襲しているもので、がらっとその印象を変えるということはなかった。ドライバー・オリエンテッド思想に基づいて設計されていて、シートに座って、ハンドルに軽く手を添えるだけでなんだか気分が高ぶるのを覚えた。

 エンジンは1.5Lの直列4気筒エンジン。最高出力160馬力であるので、それほどパワフルなエンジンではないが、マイルドハイブリッドにより電動モーターがサポートする。発進時、加速時などにはモーターがじんわりとトルクを加えてくれる。

 ディーラーの駐車場から甲州街道に出て、しばらく市街地を走った。さらに調布インターで中央道に乗って府中・国立インターで降りて、戻ってくるという試乗コースであった。時間にして40分ほどである。

 走り始めての第一印象は、「思っていたよりも剛性が高いな・・・」というものであった。しっかりと4輪が踏ん張って路面を捉えている感覚があって、アルファロメオらしさを感じた。さらにステアリングフィールがとてもシャープで「これぞ、アルファロメオ・・・」といったスポーティーさを感じた。このへんの味付けは「SUVであっても、アルファロメオ・・・」という作り手の想いがしっかりと感じられた。

 決してパワフルなエンジンを積んでいるわけではないけれど、ボディーの剛性感やハンドリングのクイックさはスポーティーな感覚で溢れていた。インテリアの造り込みは細かいところを見ると多少の粗さは散見されるが、全体として纏まっていて目に心地いいものである。

 「これは絶対に成功する・・・ドイツ勢のライバルたちとも十二分に戦える・・・」と思えた。当面の間、日本で販売されるラインナップは2グレードである。ベーシックな装備の「Ti 」が 524万円、ブラックアウトされたグリルなどの多くの特別装備が奢られる「 Edizione Speciale 」が 578万円である。 

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6178:TONALE

2023年01月30日 | ノンジャンル

 アルファロメオ調布を訪れるのは10年ぶりぐらいであろうか・・・前回はMitoを試乗した。あれから随分と年月が流れた。しかし、ディーラーの駐車場に車を停めて、ショウルームの中に入ると、「そうそう、こんな感じだった・・・変わってないな・・・」と思った。

 今日のお目当ては、トナーレである。トナーレはアルファロメオにとってはステルヴィオに続く2台目のSUVである。サイズはステルヴィオよりも一回り小さくなっていて、コンパクトSUVのセグメントに属する。

 ライバルはMercedes-Benz GLA、Audi Q3、BMW X1といったところである。トナーレの試乗車がディーラーに入ったということをディーラーのHPで知り、試乗の予約を事前にしたうえで、指定された時間の10分ほど前にディーラーに着いた。

 今日は午前中は事務所で仕事をこなしてから、昼食を摂り、その後BMW iX3に乗ってアルファロメオ調布に向かった。事務所の駐車場からアルファロメオ調布までは車で30分ほどである。

 要件を伝えると、受付の女性がテーブル席に案内してくれた。テーブル席でアンケート用紙に必要事項を記入した。「試乗車の準備が整いましたら、ご連絡いたします・・・」と若い男性営業マンは一旦席を離れた。

 アルファロメオ調布のショウルームには、トナーレが展示されていた。色はモントリオールグリーン。鮮やかなグリーンで、いかにもイタリア車らしい艶やかな色合いである。席を立って、展示車の傍まで行った。そして、人気が出ることがほぼ間違いがないであろう新型のSUVを間近で眺めた。

 日曜日の午後、この新たなSUVはとても人気があるようで、多くのアルファロメオファンがしげしげとコンパクトなSUVを眺めたりスマホで写真を撮ったりしていた。

 迫力があるフロントフェイス・・・この一目でアルファロメオと分かる造形美はとても素晴らしいものであると感じられた。3連LEDヘッドライトは、アルファロメオの159やSZを連想させるもので、こちらを睨みつけるかのような目力がある。そして盾をモチーフとした逆三角形状のグリルが表情をより引き締めている。

 リアビューは、最近のカーデザインの潮流である横一直線の横長のもので、よく見るとフロントと同様に3連のテールランプとなっている。真ん中にアルファロメオのエンブレムがあり、そのエンブレムの下には「TONALE」というモデル名が流麗な筆記体で記されている。「粋である・・・」と思わず唸った。

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6177:フルレンジ

2023年01月29日 | ノンジャンル

 「想像していたよりも大きいですね・・・結構奥行きもあります・・・これならかなり重いでしょう・・・」、ハートレーの25cmのフルレンジが入ったスピーカーのキャビネットの大きさを見ての第一声であった。そのプロポーションは、SpendorのSP-100を思わせるようなサイズ感であった。

 Spendor SP-100は、30cmのウーファーを擁する3ウェイスピーカーである。こちらは25cmのフルレンジ1発。「蕎麦はたっぷりのお湯でゆがけ・・・ということであろうか・・・」などと思いながら、その堂々たる体躯を眺めた。

 今日は「一時預かりですが、ハートレーのスピーカーがリスニングルームにありますので聴きに来ませんか?」とのshanshanさんからのお誘いにのって、2時間ほどその由緒正しきスピーカーを聴かせてもらった。

 オーナーはshanshanさんではなく、別の方である。従前からハートレーの25cmのフルレンジユニットをお持ちの方が、そのキャビネとを作製する際に、shanshanさんが2度ほどキャビネットの作製を依頼をされた方に依頼したいとのことで、shanshanさんが間に入ってその手配などをしたことで、一時的にそのスピーカーがshanshanさんのリスニングルームに鎮座することとなったのである。

 ハートレーというと「コンサートマスター」が有名である。何種類かある「コンサートマスター」のユニットとしても活躍していた「220 MS」がこのスピーカーの唯一のユニットである。サランネットを外してその姿を見せてもらった。

 真っ白で、清楚ないでたちである。25cmのフルレンジユニットと言うと、ついついアクシオム80を連想するが、あちらは少々厳つさが先立つ顔付であるが、この220 MSは実に優しい表情をしている。

 キャビネットの素材はアピトン。キャビネットの仕上げはとても美しい。同じ素材で専用に作製されたスタンドとともに「良い仕事してますね~」と中島誠之助のように呟きたくなる優れた質感であった。

 ジャズのレコード、クラシックのレコード、さらにはCDも聴いた。このスピーカー、その巨体に似合わない小気味の良いフルレンジユニットらしい活きの良い音がためらうことなく出てくる。

 「キャビネットの大きな外観からすると、ゆったり、まったりとした質感の音が出てくるのかと思ってしまいますが、やはりフルレンジらしいストレートな音ですね・・・古いジャズや、バロックなどの小編成のクラシックなどは相性が良いですね・・・どこかしら同じ25cmのフルレンジであるアクシオム80の音に似ています・・・」というのが、私の口をついて出た感想であった。

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6176:オーガニック

2023年01月28日 | ノンジャンル

 Paoさんのお宅にお伺いするのは1年ぶりであった。リスニングルームの風景は1年前と変わったところはなかった。Paoさんのリスニングルームは8畳ほどの広さである。もともと和室であったものを洋間にリフォームした部屋で、リスニングポイントにはKarimokuの3人掛けの古いソファが置いてある。

 システムの要となるスピーカーはYAMAHA NS-5000。往年の銘機であるNS-1000Mを思わせるようなプロポーションの3ウェイスピーカーである。ピアノブラックの塗装が美しく、専用のスピーカースタンドにセットされた姿は、どっしりとしていて存在感がある。

 全てのユニットの振動板に、日本生まれの新素材「ザイロン」を使用しており、音色の統一を図っているとのことで、フルレンジスピーカーのような自然な音のつながりのよさを追求したYAMAHAの意欲作である。

 このスピーカーを駆動するのは、Mark LevinsonのNo.26LとNo.27.5のペアである。「オールド・レビンソン」と総称される時代の製品であり、そのデザインは素晴らしものがある。「コクがあるのにキレもある・・・」と評したくなる音を奏でるセパレートアンプである。

 Paoさんのオーディオシステムで一番変わっているのが、送り出しのCDプレーヤーである。メーカーはCarry Audio。アメリカのメーカーで真空管アンプが主たる製品である。型番はCD306 SACD。その存在はとてもレアであるが、ブラック仕様であるのでさらに珍しい。

 そのデザインは独特で、印象深いものである。特に天板に丸いガラス版が仕込まれていて、そこからCDが回転する様子を覗き込むことができる。

 これらの機器が自作の頑丈な木製のラックに収まっている。ラックはスピーカ間の後方にセットされている。センターラック方式なので、リスニングポイントに座ると視界に全てのシステムが収まる。

 「実は大きく変わったところがあるんですよ・・・」と、Paoさんは開口一番おっしゃられたが、ぱっと見は何が変わったのか全く分かならなかった。「特に何かが変わったようには見えませんね・・・スピーカーの位置も前回と変わったようには見えませんが・・・」と私が呟くと、「ケーブル・・・ケーブル・・・」と含み笑いを浮かべながら、Paoさんは答えた。

 「ケーブルですか・・・」と、私は立ち上がってラックの裏側を覗き込んだ。するとCDプレーヤーからプリアンプ、さらにプリアンプからパワーアンプと音楽信号を送るケーブルがオレンジ色の細めのRCAケーブルに変わっていた。従来はJPS Labsの淡い青色のRCAケーブルが使われていた。

 「これはカナダのLuna Cablesというメーカーのもので、知人からこのケーブルが良いよと教わって2本試しに買ってみてね・・・これに、繋ぎ替えると確かにこちらの方が音が自然で優しい感じになる・・・」とPaoさんから教わった。

 「Luna Cablesですか・・・全く聞いたことのないメーカーですね・・・この被膜、変わっていますね・・・天然素材ですね・・・」と私は、そのケーブルをしげしげと眺めた。

  論より証拠とばかりに、早速音を聴かせてもらった。最初にかかったのはマーラーの交響曲第5番の第1楽章である。トランペットのソロで始まるこの楽章は、マーラー自身によって「葬送行進曲」と題されている。「厳格な歩調で」と指定されたこの楽章は、柩を担いで教会に向う荘厳な葬列を連想させる。

 「確かに印象が違う・・・音楽がゆったりと聴こえるような気が・・・」と思いながら、その葬送行進曲を聴き進んでいった。抽象的な表現でしかないが、音が有機的になったような気がした。

 その12分ほど続く、重く沈鬱な楽章を聴き終えた。「なるほど、このケーブルの色合いと同じように、音がオーガニックな印象ですね・・・人工的な感じがなく、より自然な響きに感じられます・・・」と私がその印象を話すと、Paoさんは「そう、ケーブルってやはり怖いよね・・・アンプを変えたくらいのインパクトがあって・・・ケーブルに嵌るマニアがいるのも分かるな・・・でも、あまりケーブルに拘り過ぎると本質を見失うような気もするけどね・・・」と話されていた。

 その後、モーツァルトのピアノ協奏曲第24番、シューベルトの四つの即興曲D.935も聴かせてもらった。やはり、印象は同じで、「このケーブル、やはり良いものですよ・・・」との結論となった。

 「RCAケーブルの印象が良かったので、スピーカーケーブルも変えてみようか検討中でね・・・」と、Paoさんは話されていた。

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6175:水稲荷神社

2023年01月27日 | ノンジャンル

 「せっかく、ここまで来たのだから・・・」と思って、回遊式の庭園公園である「甘泉園」の日本庭園をゆっくりと歩いた。大きな池があり、それを取り囲むように遊歩道が整備されている。

 ここは、新宿区内であることが全く感じられない程に静かで穏やかな時間が流れている。この庭園の歴史は江戸時代まで遡る。江戸時代には、清水徳川家初代・徳川重好(清水重好)の下屋敷であったそうである。明治維新後まで清水家の邸宅であったが、その後早稲田大学や東京都の所有と変遷を経て現在は新宿区立の公園となっている。

 「甘泉園」という名前の由来は、この庭園の湧水がお茶に適していたということから名づけられたとのこと。すぐ隣には水稲荷神社があり、こちらも静かで穏やかな時間を提示してくれる。

 庭園を巡った後に、水稲荷神社にも立ち寄って参拝した。昨日は昼間でも気温が3度くらいまでしか上がらず恐ろしく寒かったが、今日は昼には10度近くまで気温が上がり陽光も降り注いでいたので、それほど寒さは感じなかった。

 平日の午後、境内には人の気配はなく、ひっそりとした時間が流れていた。参拝を済ませて、Paoさんのお宅に向かった。Paoさんのご自宅は、ここからすぐである。

 Paoさんのお宅に訪問するのは、1年ぶりくらいであろうか。Paoさんは長年勤めた区役所を数年前に定年退職し、2年間程嘱託職員として働いてから完全にリタイアして、今は「毎日が日曜日」という生活を送られている。

 前回お邪魔した時に「時間を持て余しませんか・・・?」と尋ねたことがあった。「それが心配で、趣味を増やしたよ・・・」との返答であった。

 「オーディオ以外に、ということですよね・・・」

 「そうそう、オーディオはどちらかと言うと根暗な趣味だからね・・・これだけじゃ・・・人生暗くなっちゃう・・・」

 「ということは、アウトドアの趣味ですか・・・釣りですか・・・それとも最近流行っている登山・・・もしかしてゴルフ・・・?」

 「全部はずれ・・・」

 「もしかしてテニス・・・」

 「それも違う・・・」

 といった会話が続いた。「降参ですね・・・なんですか・・・?」と、クイズの回答権を私が放棄すると「社交ダンス・・・」とちょっと照れ臭そうに小声でPaoさんは答えた。

 「社交ダンスですか・・・それは良いですね・・・高齢になっても続けられますからね・・・良い趣味ですよ・・・」と返答し、私は笑顔になった。

 Paoさんの自宅に辿り着いて、いつものように引き戸式の玄関の脇にある白く小さなチャイムを鳴らした。「ピンポン・・・」という昭和の時代を香らせる長閑なチャイム音が響くのが聞こえた。

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