AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

4189:プラグインハイブリッド

2017年08月31日 | ノンジャンル
 6年間乗り、12万キロ以上の距離を共に走ったMercedes-Benz E350を現在のBMW 523iに乗り換えたのは、昨年の9月末のことであった。

 それからもうすぐ1年が経過しようとしている。納車から1年が経とうとしているので、ディーラーで法定点検を受けることになった。

 東大和市にあるBMWのディーラーに車を持ち込んだ。法定点検とともにボディーのコーティングも依頼した。

 完了するのは明日の夕方になるとのことなので、代車を頼んでおいた。「代車を用意してきます・・・」とサービス担当のスタッフが言って、建物を出ていったので、私は出されたアイスコーヒーを飲んだ。

 アイスコーヒーにミルクとガムシロップを入れてストローでかき混ぜた。真黒であった液体は茶色に変わった。

 アイスコーヒを半分ほど飲んだころに「用意できました・・・」と先ほどのサービススタッフが呼びに来た。

 建物の外に出ていくと、駐車場にはBMWの3シリーズが停まっていた。「代車は、こちらの3シリーズです・・・」とドアを開けてもらったので、その中に乗り込んだ。

 基本的な操作は当然同じメーカーの523iと同じである。フットブレーキを踏んで、ステアリングの左側にあるエンジンボタンを押した。

 しかし、無意識に期待したエンジン音がしない。「あれっ・・・」と思って、改めてインパネを見ているとそこには「E-POWER」の表示があった。

 「あっ・・・ハイブリッドね・・・」

 と、了解した。その3シリーズは330eであった。日本やドイツの各メーカーが今最も力を入れているとも思われるプラグインハイブリッドである。

 その静かな車内に多少の違和感を感じながら、車を進めた。しばらく走りながら、いつエンジンが始動するのかと固唾を飲んで待っていたが、街中を流しているだけでは、全てモーターだけで走るようである。

 バッテリーの残量はインパネの下に表示されている。残量はまだまだ十分にある。その残量が心許なくなるとエンジンの出番が来るようである。



 内装はハイブリッド車だからといって普通の3シリーズと変わりはない。基本的なレイアウトは5シリーズと似ているが、やはりかけられるコストの制約からか、少しづつ質感が下がる感は否めなかった。

 モーターでの発進及び走行は、アクセルペダルの踏み込み方に素直に反応してストレスフリーである。モーターだから力感がないという感じは全くしない。

 信号待ちでのストップアンドゴーにおいて、エンジン車であればアイドリングストップからの発進時にはブルンッとエンジン始動の振動が伝わるが、プラグインハイブリッド車であれば、全く振動がなくスマートに発進する。

 残念ながら初日はバッテリーの残量が十分にあったのと、街中走行だけでアクセルをぐっと踏み込む必要性がなかったので、エンジンが始動することはなかった。

 そのかわりバッテリーの残量は目に見えて減っていった。二日目となる明日はさすがにエンジンが活躍する出番もあるであろうと思われた。
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4188:下山

2017年08月30日 | ノンジャンル
 しばらく縁石に座り込んで休んだ後、ゆっくりと立ち上がった。スタート地点で預けたリュックを取りにバスが数台停まっている地点に向かった。

 畳平の広い駐車場はゴールしたローディーでごった返していた。数台並んだバスから、私のリュックを運んでくれたバスを確認して、その前に立った。

 リュックはバスの前に大半のものが出されていた。数多くのリュックの中からようやく自分のものを見つけた。



 それを担いでチームメンバーを探した。2名のメンバーと合流できた。これからゴールするメンバーを待つために奥まったところに場所を定めて、座った。

 体は今までにないくらいに疲労していた。ヒルクライムレースのゴール後は常に出し尽くした感があるが、今年の乗鞍はいくら絞っても一滴も出てこない感じであった。

 ゴロンと横になって体を休めた。直射日光はとても強い。リュックに入っている防寒着は取り出されることはなかった。

 リュックには補給食も入ってるが、それを口にすることはなかった。ちょっとした酸欠状態なのであろうか、少し気分が優れなかった。

 しばしの時間が経過した後、下山のための移動が始まった。しかし、下山渋滞がすごくて、なかなか前に進まなかった。



 ゆっくりと進んで行くと鶴ヶ池が見えてきた。その色合いは空を青を映していた。神秘的とも感じられる風景である。

 ゴール地点まではロードバイクを押して歩き、ゴール地点からはロードバイクに乗って下った。少し下ったところにある大雪渓近くのバス停付近で一旦止まった。

 そこで一旦ロードバイクを降りて補給食を摂った。ここまで下りてくるとスマホの電波が届く。スマホで結果速報が見れる。

 スマホでその画面を開いた。検索を選び、自分のゼッケン番号を入力した。サイコンのタイムは「1:24:27」であった。サイコンのスタートボタンを押したのは計測開始ラインを通過してから1分以上が経ってからであったので、実際のタイムは1時間25分台後半と思われた。

 画面に表示されたのはタイムは「1:25:49」。昨年のタイムよりも41秒遅くなってしまった。残念ながら「Mt.富士ヒルクライム」に続き、「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」でも、昨年出した自己ベストタイムを更新することはできなかった。

 自分の年齢を考えると自然な成り行きではあるが、やはり少しばかり落胆した。これから60歳に向かって体力も脚力も下り坂を転がっていく。

 「それは致し方ないこと・・・」とは思うが、持久系のスポーツの場合、あがきかたによっては多少はその下り坂に抗うことも可能ではないかという気がしている。

 そんなことをぼんやりと考えながら補給食休憩を終えて、下山を再スタートした。下山は2度ほどの休憩ポイントを経て、順調に進んだ。

 途中で落車事故があった。そのすぐ横を通った。男性が横たわっていて、顔面からは血が出ていた。意識はあるようであった。

 Mt.富士ヒルクライムでも下山時に落車事故があった。下りでの落車事故はやはり怖いものである。背筋が少しひやっとした。

 慎重に下り終えて、スタート地点まで戻ってきた。そこで完走証を貰ってから宿に向かった。宿の駐車場でロードバイクを車に詰め込んで、風呂で汗を流した。

 今年の「乗鞍」は天候に恵まれた。青い空はやはり気持ちの良いものである。「乗鞍」が終わると、夏が終わる。一抹の寂しさを心の片隅で感じた。
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4187:ゴール

2017年08月29日 | ノンジャンル
 「残り4km」の表示看板を視界の左隅に捉えて、その前を通り過ぎた。脚の余力はほとんど底をつきかけていた。

 サイコンのタイマーはきっちりと数字を表示していたが、残念ながら正確なタイムは把握できなかった。

 スタートの計測ラインを越えた時に、うっかりしていてサイコンのスタートボタンを押し忘れたのであった。それに気づいて慌ててボタンを押したのは、計測ラインを越えてから1分以上経過してからであった。

 「1分以上は経っていたはず・・・ということは、現在のタイムはこれくらいか・・・」と推測しながら、ここまで走ってきていた。

 前半までは順調であったが、後半からペースはがくんと落ちてしまった。終盤で少し盛り返したいところである。

 森林限界を超えたので、大きな木はなくなり、周囲は素晴らし眺望が広がり始めた。天気はこれ以上ないというくらいに良好である。

 しかし、その美しい景色を楽しむ心の余裕はなかった。「ここから盛り返さないと・・・1時間25分切りは厳しい・・・」と自分に言い聞かせながらクランクを回し続けた。

 「残り4km」から「残り3km」までの1kmは、どうにか踏ん張れた。しかし、「残り3km」から「残り2Km」までの1kmは、気持ちだけが空回りして脚が回らなかった。

 「残り2km」を切ると、少しだけ復活。どうにかこうにか自分が出せる出力を維持しながら進むと、視界の左側に「乗鞍大雪渓」が見えてきた。

 「もう少し・・・もう少し・・・」と、萎えそうになる心を奮い立たせながら進んだ。夏でも雪が残っていてサマースキーが楽しめる「乗鞍大雪渓」地点では、沿道からの声援を受けて、少しパワーを貰った。

 ようやく「残り1km」の表示を確認した。道は空に向かって続く滑走路のように見える。走っていくための酸素を確保しようとして、私の肺は必死に活動していた。

 緩やかに大きく左に道は曲がっていく。「ゴールまで300m」の表示が見えた。もう残りわずかである。

 そして今度は少し道は右へ曲がる。その道が再度左に曲がり始める辺りに「ゴールまで200m」の表示があった。

 わずかばかりに残っているエネルギーを総動員してペースを上げた。あとはもう突き進むだけである。

 ゴール直前は道が大きく左に曲がる。そのカーブを駆け抜けるとすぐにゴールが見えた。ゴールラインを越えたところで、今度は忘れずにサイコンのボタンを押した。

 サイコンに表示されたタイムは「1:24:27」であった。サイコンのスタートボタンを押したのは計測開始ラインを越えてから1分以上経過していたはずなので、残念ながら1時間25分切りはかなわなかった。

 ゴールすると参加者は止まることなく前に進んでいかないといけない。「止まらないでください・・・」とスタッフは声をかけていた。

 しかし、私は道の左側、コンクリート製の縁石の向こう側に入り込んでロードバイクから降りた。そしてその縁石に座り込んだ。

 スタッフの女性が心配して声を掛けてくれた。「大丈夫ですか・・・救護の方を呼びましょうか・・・?」

 「大丈夫です・・・少し休めば・・・」と俯きながら、声を絞り出した。どのくらいそうしていただろう・・・ふらつきながら立ち上がった。
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4186:ヒルクライムレース

2017年08月28日 | ノンジャンル
 サイコンのタイマーはその数字を刻み始めた。「どれくらい経ったかな・・・1分以上は経っていたはず・・・2分は経っていないような・・・」と心の中で推測した。

 「まあ、いいや・・・」と気持ちを立て直して、負荷がなるべく一定になるようにクランクを回し続けた。

 トラブル続きのパワーメーターはどうにか正常に作動していた。220~230ワットのパワーで走り続けていた。

 「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」のコースは、全長20.5㎞、標高差1,260m、平均勾配6.1%、である。

 距離は「Mt.富士ヒルクライム」よりも短いが、平均斜度はより厳しい。そのため、チームメンバーの両大会でのタイムは、かなり近いものになることが多い。

 私の場合、「Mt.富士ヒルクライム」の方がタイムが良い。身長が181cmと高く、体重が68kgと重いので、平均斜度が緩い「Mt.富士ヒルクライム」の方が体型に合っているのであろう。

 昨年の「Mt.富士ヒルクライム」でのタイムは1時間23分42秒であった。今年は昨年よりも30秒タイムを落としたが、1時間25分は切ることができた。

 一方、昨年の「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」でのタイムは1時間25分8秒。「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」での自己ベストとなるタイムであったが、1時間25分を切ることはできなかった。

 サイコンのタイムは徐々にその数字を大きくしていった。同じく走行距離もゆっくりとではあるが、その数字を積み重ねていった。

 序盤は比較的順調なペースで走れていた。昨年も前半は順調であった。「全日本マウンテンサイクリングin乗鞍」のコースは、前半の斜度が比較的緩い。

 そのため、前半は順調にいくことが多い。試練は斜度が上がる後半にやってくる。スタート地点から、7km地点のCP1までの平均斜度は5.3%とのこと。

 この序盤は少し抑えめに走る必要がある。しかし、斜度が緩めなのと、レース本場でアドレナリンが出ているので、いつもがんばりすぎてしまうことが多い。

 今年も少し速めのペースでCP1を通過した。CP1ではスタッフの方が飲み物を手に持って参加者に渡している。

 CP1をまずまずのペースで通過できた。ここから3kmほど上ると、道の左側に「中間点」と書かれた看板が見える。

 昨年同様今年もこの「中間点」までは順調であった。この前半と全く同じタイムで後半を走ることができれば、とても良いタイムになるのであるが、そうは問屋が決して卸さないことは、既に経験済みである。

 「中間点」からCP2までが厳しい。この区間の距離は約5km。平均斜度は7.8%まで上がる。つづら折りが始まると、時折激坂が挟まる。

 体重が重い私は、この激坂の波状攻撃が大の苦手である。今年もこの厳しい波状攻撃で脚が大幅に削られていった。

 大きなノミで木を勢いよく削っていくかのように、私の脚の余力は目に見えて削り取られていった。「うわ~厳しい・・・スピードが全く出ない・・・」ダンシングで辛うじて越えていくが、サイコンのスピード表示は実に心許ない数字を示す。

 「きつい・・・本当にきつい・・・」

 体が軋み始める。呼吸は全く追いつかない。両脚の太腿の裏側には攣りそうな痛みが散見し始めてきた。

 「まずい、攣りそうだ・・・ここで太腿が攣ったら、それこそ地獄・・・」
 
 そんな恐怖にさらされながら、つづら折りエリアをどうにかこうにかこうにか抜けていくと、ようやくCP2が見えてきた。

 「中間点」からCP2までで、ペースはがくんと落ちた。脚の余力もすっかりとなくなり、スタートから「中間点」までの前半とは全く違った様相を見せていた。

 「これは厳しい・・・昨年よりも余力がない・・・」

 そう感じていた。CP2でも、スタッフの方が紙コップに入った飲料を参加者に手渡ししていた。私はそれを手に取る心の余裕もなく、苦悶の表情のままCP2を通過した。

 CP2を通過するとすぐに道路の左側に「残り5km」の看板があった。ここからは1kmごとに残り距離が表示される。

 この残り5kmの平均斜度は6.8%。森林限界を越えていくので木々が無くなり眺望が開けていく。そして空気が薄くなっていく。

 この5kmは本当に苦しい。昨年もとても苦しんだ。そして今年も苦しむことになった。サイコンに表示される平均パワーをどうにか上げようと心はもがくが、体と脚は極度の疲労のため反応してくれない。

 心はガラスでできているかのように、今にもひびが入ってパキッと割れてしまいそうであった。「諦めたら・・・楽になるよ・・・脚を緩められる・・・」悪魔のささやきが常に耳元で囁く。

 その囁きに、俯き加減に首を振りながら、クランクを回し続けた。ペースは上がらない。下がりそうになるペースをどうにか保つのが精一杯である。

 道の左側に「残り4km」の表示板が見えた。視界に入ってくる空は真っ青である。透き通っている。それを美しいと感じる心のゆとりは微塵もなかった。
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4185:スタート

2017年08月27日 | ノンジャンル
 レース当日の朝は早い。「Mt.富士ヒルクライム」の時と同様、4時起床である。4時きっかりに、メンバーのスマホのアラームが一斉に鳴った。

 身支度を整え、宿が用意してくれた朝食を食べて、いよいよ出発の時を迎えた。宿の駐車場から見える朝の空は綺麗に晴れていた。今日は天気予報通り晴れるようである。



 4台の車に分乗してスタート地点近くへ向かった。周囲の道路にはずらっと参加者の車が並んでいた。車の列が途切れ始めた地点に車を停めた。

 車からロードバイクを降ろし、ゴール地点まで運んでもらうリュックを担いだ。荷物の受付時間は6時から6時半の30分である。



 リュックの中にはゴール地点で着用する防寒着と、補給食が入っている。リュックにはゼッケン番号が書かれたタグが付けられている。

 車を停めた地点からスタート会場までは5分ほど走る。冷たい空気の中ロードバイクに乗って走っていき、ゼッケン番号ごとに区分されているバスにリュックを預けた。

 その後、アップをした。気温は低かった。ウィンドブレーカーを着用していたが、体はなかなか暖まらない。

 私のスタート時間は7時29分の予定であった。アップを済ませ、スタート30分前になったので、一緒にスタートするチームメンバーとともにスタート会場へ向かった。

 スタート会場である「乗鞍観光センター」の広い駐車場は、スタートを待つローディーで埋め尽くされていた。

 参加者は年齢別に300名程度にグループ分けされて、順次スタートしていく。私は50代のグループの2番目であった。

 周囲は当然50代の男性ローディーばかりである。50代と言えば、いい歳である。そんないい歳の「オッサン」達が、これから20.5kmの厳しい坂に臨む。

 普段の安静時の心拍数は50ほどであるが、スタート直前は100近くになった。やはり緊張しているようである。

 私たちのグループのスタートのカウントダウンが始まり、そしてスタート。「Mt.富士ヒルクライム」と違い、乗鞍はスタートゲイトを潜るとすぐに計測開始ラインがある。

 その緑色をしたラインを通過した。いよいよここから始まる。しかし、少しぼうっとしていたのだろうか・・・計測ラインを通過した時に必ずすべきことを忘れた。

 サイコンのスタートボタンを押し忘れたのである。それに気づいたのは1分以上経過してからであった。

 「あれ・・・タイムが出ていない・・・あっ!ボタンを押し忘れた・・・」と気付いて、慌てて小さなスタートボタンを押した。
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