AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

1933:納豆車

2011年06月30日 | ノンジャンル


 シトロエンC3は、異次元空間を創出する効果があるようである。そこだけ、ぽっかりと日常とは異なった空気感が占有している。

 今日の午前中、シトロエンのディーラーの営業マンが試乗車を持ってきてくれた。事務所の周囲を約30分ほど試乗させてもらった。試乗車の色は水色・・・その色合いもあって、どことなくりゾート気分にさせてくれる。

 乗り込んで、まずはシート調整。シート調整は前後、座面の高さ、背もたれの角度調整の三要素で行う一般的なもの。比較的容易に調整できる。

 シートの出来は、やはり良い。このへんは国産車とは別次元のクオリティー、優しく体を包むようにホールドしてくれる。表面は柔らかいがしっかりとした芯が感じられ、頼りない感じはない。

 エンジンスタートは、今では多少古臭く感じられるキーを差し込んで回すタイプ。エンジン音は思いのほか静かである。1.6Lの直4エンジンはBMWと共同開発したもの・・・その点では安心感がある。

 足回りのセッティングはまろやか。シートの感触とも相俟って、まったりとした安心感に溢れている。表面的には柔らかいが、ねばりがあり、しっかりと路面を捉えている。角張ったショックをけっして感じさせない懐の深さがある。

 心配された古色蒼然とした4速ATも日常使いの範囲においては、それほど大きな欠点とは思えない。プログラミングも改善され、従来のフランス車のようなギクシャク感は払拭されている。切れのある小気味良さは感じられないが、許容範囲のなかに上手く収まっている。

 ドライバーの頭上にまで延びるフロントウィンドウは、見晴らしがよくて開放感満載・・・しかし、今日のような天気では暑いのでカバーをする・・・すると視覚的にはまったく普通の車になる。

 インテリアは少々チープである。素材もデザインも多少投げやり感が感じられる。突き詰めて吟味されたというよりも、「こんなんでどう・・・」といった軽めのノリで一気に仕上げたという感覚。

 30分乗って、C3のドライバーズシートを後にしたとき「これは納豆車だな・・・」と思った。結構後をひくのである。乗り味やパワートレインには、シャープな切れはない。しかし、全体としてまったりとした開放感・安心感のある乗り味である。切れ者ではないが、妙に心を許せる車である。この味わいこそがシトロエンなのであろうか・・・

 今度の土曜日にはVW POLOを試乗する。こちらはある意味C3とは対照的な切れ者・・・1.2L直噴ターボエンジンと7速DSGの組み合わせが見せるシャープな走りに期待が高まる。
コメント

1932:C3

2011年06月29日 | ノンジャンル


 事務所の営業車として使っているのは、日産マーチ。既にモデルチェンジしてしまったため先代モデルとなった。使用期間は7年半。乗用車の税務上の耐用年数は6年である。減価償却は既に完了している。

 時折、そろそろ買換え時かと思うのであるが、いまひとつこれっといったモデルが見当たらなかった。

 コンパクトな5ドアハッチバックというカテゴリーのなかには、競争力のあるモデルがひしめいている。

 国産車ではHONDA FITがトップをひた走る。デザイン・実用性・価格・・・どれをとっても首位を走っているのが納得させられる内容である。

 そして、そのターゲットを世界へと広げると、このカテゴリーで圧倒的な強さを誇るのがVW POLOである。1.2Lの直噴ターボ・エンジン、電光石火のような7段DSG、素晴らしい燃費、インテリアのクラスレスな質感の高さ・・・まさに王者の風格である。

 国産のコンパクトカーに比べると幾分価格が高くなるが、その質感の高さを考慮すると、その選択は「賢者の選択」と呼べるものであろう。

 そして、POLOと立ち位置が正反対ともいえるコンパクトハッチバックが、シトロエン C3である。こちらはシトロエンらしいやや難解な構造物である。

 全体としてはキュートな姿であるが、アバンギャルドなディテール。個々のラインは統一感なく描かれ、破綻しそうな寸前で取りまとめられている。

 1.6Lのエンジンに4速ATの組み合わせは、POLOに比べると古色蒼然としている。燃費も相当に水をあけられている。ハード的な優秀性では逆立ちしてもPOLOにはかなわない。価格はほぼ同一・・・となると真っ向勝負では勝ち目はない。

 そこで、パノラマミックな開放感を味わせるビジオドライブ-コンセプトをまとい、足回りの味付けはハイドロっぽく仕上げた。

 わかり易い価値観ではないが、ONLY ONEの味付けがあるのは確かである。今日の午後、田無の顧問先を訪問した帰りに、小平市にあるシトロエンのディーラーに寄った。目的はC3である。あいにく試乗車は出払っていたので試乗はできなかったが、展示車をしげしげと眺めた。運転席に乗り込んでみたり、周囲をぐっと回ってそのエクステリアを検証したりした。

 この小さな車には、ドイツ車にはない難解な文法に基づく価値観がしっかりと根付いていた。「これに乗ったら、理屈を超越した愉悦感を感じられるかもしれない・・・」そんな気がしてきた。そこで試乗の申し込みをして帰ってきた。その魅力の一端を味わいたくなったのである。
コメント

1931:真夏ゴルフ

2011年06月28日 | ノンジャンル
 今日のラウンドの最中に何度「暑い・・・」という言葉を発しただろうか・・・恐らく18回以上はその言葉を発したはずである。

 朝のうちは曇っていたので、それほど気温の上昇具合は激しくなかった。しかし、ラウンドを始めると、すぐに晴れ渡ってきた。太陽が顔を出すと気温が一気に上がった。すぐさま30度を超え、ピーク時には芝の照り返しも加味すると35度以上にはなっていたはずである。

 湿度も恐ろしく高いなか、不快指数は大胆な数字をたたき出していたであろう。まだ6月であるが、ほぼ真夏並みの気候であった。攻略すべきは、コースだけでなく、暑さも大きな敵となったラウンドであった。

 武蔵丘ゴルフクラブは名門コースのひとつである。比較的広く、距離もある。戦略性に富んだコース設計がされていて、それなりの技量がないと、簡単には攻略できない。

 出だしは静かであった。ボギーが6ホール続いた。グリーンはあまり短く刈ってないようで遅かった。いまひとつその遅いグリーンに距離感が合わず、パーパットがことごとくはずれた。

 我慢比べのような様相を呈してきたが、7ホール目でアプローチショットのミスからダブルボギーが来てしまった。結局前半はパーなしに終わり「46」であった。

 昼食休憩の後、OUTのスタートホールへ向かった。その頃から気温は完全に真夏仕様。水分補給をこまめに行わないと熱中症の危険があるような天気である。水に濡らして首に巻くと涼しいというバンダナのようなものを購入して、後半に臨んだ。

 後半はパーが二つ先行した。暑さに茹だりながらもどうにかこうにか崩れずに進んでいたが、最終ホールに落とし穴が・・・最終ホールはロングホールであった。

 ティーショットはやや左方向へ・・・深めのラフにすっぽりとボールは埋まった。この時期のラフは結構強い。相当なパワーがないとクラブが負けてしまう。セカンドショットは強いラフに負けて右方向へ力なく飛び出すだけであった。

 まだグリーンまでは200ヤード以上残った。ユーティリティーで打った第三打は、グリーン右のガードバンカーにつかまった。

 バンカーショットは、いわゆる「ホームラン」となり、グリーンを大きくオーバー。ようやく第5打でグリーンに乗せたが、その後スリーパット・・・結局このホールをトリプルボギーとしてしまった。

 最後に貯金を吐き出し「45」となってしまった。トータルで「91」。悪いスコアではないが、80台は出なかった。身体にはこの暑さによる疲労ばかりがのしかかった。

 図らずも「真夏ゴルフ」を例年よりも一足早く体験した。梅雨時なので雨に降られなかったことは良しとすべきであるが、この茹だるような暑さは、結構過酷なコンディションであった。
コメント

1930:検証

2011年06月27日 | ノンジャンル
 ロードバイクで100km近い距離を走り、峠を一つ越えると、その翌日には、それなりの疲労が体に溜まっているものである。

 それでなくても、月曜日というのは、もともとウィークエンドの連休の後であるだけに、すぐには体が仕事モードに切り替わない。午前中は慣らし運転的な時間の過ごし方をすることが多い。

 そこへもってきて、昨日のロングライドの疲労がじわっと表面に浮上してくるのであるから、なかなかエンジンの燃焼効率は上がってこないものである。

 そんな月曜日であったが、どうにかこうにか仕事をこなし、帰路に着いた。ゆっくりと家族と一緒に食事をする。何気ないが、幸せな時間である。こんな何気ない時間も、やがて子供たちが独立していけば、我が家からも消え去ってしまうのである。時間も人生もかぎりがあるものである。

 食事の後は、ロードバイクに乗って近所の坂を次から次に登りまくってトレーニング・・・とも思ったが、疲労成分が体の芯まで達しているようなので、今日は休養日にすることとなった。

 明日はゴルフのラウンドの予定が入っているので、それに向けて体を休めておく必要もある。ということで、2階のリスニングルームに入った。

 1週間ほど前からFeastrex製の電源コンセントをお借りしている。その使いこなしについて検証したいことがあったのである。

 と言っても複雑なことではない。CDプレーヤーのみを接続した場合、アンプのみを接続した場合、そしてCDプレーヤーとアンプ両方を接続した場合の三通りのうち、どれが一番効果的かということを検証したかっただけである。

 ということで順番に試してみた。結果は、アンプのみ>CDプレーヤーのみ>両方接続・・・ということとなった。

 両方接続では、高域は繊細に澄み渡るが力感が細身となる。デジタルのみは、なかなか中庸のバランスで、一般的にはこれを良しとする方が多いはずである。そしてアンプのみは、ぐんと力感がアップする。音楽の生命感が躍動する・・・私の場合、迷わず、これ!

 Feastrexの電源コンセントはその小さな躯体も気に入ったので、SOLIDSTEELの棚板に納まり続けることになりそうである。

 私はどうしても大きなものが嫌いである。人間が小さいからであろう。オーディオ機器もコンパクトなものが好きである。コンパクトといっても、物としての価値が削り落とされすぎた小ささもいけない。両手で持ってちょうどいい納まり感がある機器が好きである。そういった点からもこの電源コンセントは、良識あるサイズをしている。(良識のない人間が言うことであるから、当てにはならないが・・・)
コメント

1929:霧の中

2011年06月26日 | ノンジャンル


 三度目の時坂峠は霧の中であった。この天気なので、峠の頂上には、ハイカーは誰もいなかった。峠の茶屋の主人は手持ち無沙汰な様子で座っていた。その姿はまるで置物か何かのようにずっとそこに固定されているかのように感じられた。

 霧は景色を含め、あらゆるものを消し去る。そのなかでは時間すら通常の一定方向への規則正しい流れではなく、不規則で流動的なものに感じられる。

 時坂峠で霧に包まれた5時間後、私はUNICORNさんのリスニングルームに座っていた。今日はNaruさんと連れ立って、1年数ケ月振りにUNICORNさんのお宅にお邪魔した。



 前回との変更点は、カートリッジがSPU-GTになったことと、左側のスピーカの上に置いてあったランプが震災の際に割れてしまってので、新しいものに変わっていることの2点である。



 前半はクラシック、後半はジャズという2部構成でOFF会は進んだ。SPU-GTはUNICORNさんの熟練の技による調整によりその本来の性能を遺憾無く発揮しているようであった。どこかを強調するようなバランスではなく、正統派と言っていいバランスで、各々のレコードの持つ個性を色鮮やかに提示してくれる。

 特に後半のジャズは、このシステムの本領がまさに全開で発散される。Naruさんは「明らかにジャズ向きのシステム・・・」と評されていた。ティーンエージャーになったばかりの頃からジャズに嵌ったUNICORNさんのジャズにかける情熱が、音にすっかり変換されたかのようである。

 それにしてもその年齢でジャズに嵌るというのは、稀に見る早熟ぶりである。それからうん十年・・・ジャズにかける情熱は途切れることなく連綿と続いている。その時間の累計は、独特の形をした「一角獣」の背後に、しっかりと息づいている。

 部屋は時間の経過とともに薄暗くなってきた。それにつれて、部屋の左右と真ん中に置かれた三つのランプから放たれているオレンジ色の明かりは、部屋のなかを霧のようにゆったりと漂い始めた。そのなかでは、時坂峠の霧の中で感じたように、時間の流れは不規則になり、かくとした意味合いを失ってしまう。熱っぽく鳴り響くジャズの音の背後には、UNICORNさんがジャズに目覚めた頃の、少年らしい無垢な笑顔が、見え隠れしているように感じられた。
コメント