シトロエンC3は、異次元空間を創出する効果があるようである。そこだけ、ぽっかりと日常とは異なった空気感が占有している。
今日の午前中、シトロエンのディーラーの営業マンが試乗車を持ってきてくれた。事務所の周囲を約30分ほど試乗させてもらった。試乗車の色は水色・・・その色合いもあって、どことなくりゾート気分にさせてくれる。
乗り込んで、まずはシート調整。シート調整は前後、座面の高さ、背もたれの角度調整の三要素で行う一般的なもの。比較的容易に調整できる。
シートの出来は、やはり良い。このへんは国産車とは別次元のクオリティー、優しく体を包むようにホールドしてくれる。表面は柔らかいがしっかりとした芯が感じられ、頼りない感じはない。
エンジンスタートは、今では多少古臭く感じられるキーを差し込んで回すタイプ。エンジン音は思いのほか静かである。1.6Lの直4エンジンはBMWと共同開発したもの・・・その点では安心感がある。
足回りのセッティングはまろやか。シートの感触とも相俟って、まったりとした安心感に溢れている。表面的には柔らかいが、ねばりがあり、しっかりと路面を捉えている。角張ったショックをけっして感じさせない懐の深さがある。
心配された古色蒼然とした4速ATも日常使いの範囲においては、それほど大きな欠点とは思えない。プログラミングも改善され、従来のフランス車のようなギクシャク感は払拭されている。切れのある小気味良さは感じられないが、許容範囲のなかに上手く収まっている。
ドライバーの頭上にまで延びるフロントウィンドウは、見晴らしがよくて開放感満載・・・しかし、今日のような天気では暑いのでカバーをする・・・すると視覚的にはまったく普通の車になる。
インテリアは少々チープである。素材もデザインも多少投げやり感が感じられる。突き詰めて吟味されたというよりも、「こんなんでどう・・・」といった軽めのノリで一気に仕上げたという感覚。
30分乗って、C3のドライバーズシートを後にしたとき「これは納豆車だな・・・」と思った。結構後をひくのである。乗り味やパワートレインには、シャープな切れはない。しかし、全体としてまったりとした開放感・安心感のある乗り味である。切れ者ではないが、妙に心を許せる車である。この味わいこそがシトロエンなのであろうか・・・
今度の土曜日にはVW POLOを試乗する。こちらはある意味C3とは対照的な切れ者・・・1.2L直噴ターボエンジンと7速DSGの組み合わせが見せるシャープな走りに期待が高まる。