AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

2268:暖気運転

2012年05月31日 | ノンジャンル
 QUAD989は良いスピーカーである。唯一欠点をあげるとしたら、寝起きが悪いことであろうか。QUADのアンプに電源を入れて、レコードプレーヤーかCDプレーヤーから音楽信号を送り込む。

 すると最初の30分ほどは、今一つぱっとしないのである。30分を経過して徐々にその本領を発揮し始める。そして1時間以上経つと、まろやかさがさらに増してくるのである。

 これは、QUAD989が巨体を有するからであろうか・・・広大な面積をもつパネルが音をしっかりとこなし始めるには、それなりの時間の経過が要求されるのであろうか。

 それとも使っているアンプ、QUAD22・QUADⅡの真空管がその熱量の放出を高めるに従って、その音の放流がより上質になり、その質感の違いをQUAD989は如実に表現するからであろうか。

 あるいは、カートリッジ、Benz-Micro RUBYの針先が十分に温まり、レコードの溝を滑らかになぞるには、多少の辛抱強さを要求されるからか・・・

 まあ、いずれにしても助走時間が必要なのである。ある程度、本領を発揮してくると、時間が経過するほど、ESLらしい幽玄さを発揮してくる。

 音出しはじめと1時間以上経過してからとでは、音楽の聴こえ方がずいぶんと違ってくる。ある意味個性的な音の表出であるが、その味わいが好きな者にとっては、やみつきとなる。

 これに対処する方法として、実際に音楽を聴く前に慣らし運転をしておくというものがある。冬場の車のエンジンではないが、乗り込む前にエンジンを始動しておき、エアコンもかけておくのである。すると車に乗り込んだ時には暖かく、エンジンフィールも滑らかである。

 今晩はその方法を使ってみた。家に帰り着き、すぐさまリスニングルームへ向かった。QUAD22の電源をONにする。パイロットランプにオレンジ色の灯りがともり、QUADⅡの合計10本の真空管に電流が流れ始めたことを示す静かな音がふわっと広がる。

 そしてCDプレーヤーから音情報を送り込むのである。ボリュームは小さめにしておき、CDプレーヤーのリモコンのREPEATボタンを押しておく。

 そしてゆっくりと家族と食事をする。その後、たっぷりと温まったアンプや、パネルがほぐれたQUAD989の音の具合を楽しむのである。

 時代の流れは早い。こういった多少手がかかるが、ゆったり感のある装置は時代遅れかもしれない。しかも、節電が謳われている昨今、時代に逆行していると揶揄される可能性は高い。

 しかし、こんなささやかな抵抗であれば、多少の逆行であったとしても、大目に見てもらえるのではと、期待しているのである。
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2267:直線イメージ

2012年05月30日 | ノンジャンル
 「taoさんのお知り合いの方がシュミレーションゴルフのショップをされていると話されていたでしょう・・・今度の週末に、Nさんも一緒に3人で行きませんか・・・」

 「寧々ちゃん」は、少し紅潮した頬をタオルで押さえながら、話した。

 「もちろん、いいですよ・・・あそこはVIPルームがあるんですよ。VIPルームは個室になっていて、ソファも置いてあるんです。なかなか雰囲気が良くて楽しいですよ・・・いろんな名門コースから選択して、実際にラウンドしているような感覚を味わえます。Sさんはどうしますか?」

 「Sさんはまだ腰が悪いようですよ・・・ゴルフは当分無理ってこの前会ったときに言ってました・・・」Nさんが答えた。

 「そうですか・・・じゃあ日程と時間を決めましょう・・・今度の土曜日にしますか?何時頃に待ち合わせます?昼を食べてからにしますか・・・じゃあ、2時ごろの待ち合わせにしますか・・・」

 「寧々ちゃん」と二人でスイングアリーナに行ったのは、ずいぶんと前のことになる。VIPルームでのシュミレーションゴルフはとても楽しかった。

 もちろんNさんの前では二人っきりで行ったということは内緒にしておく必要がある。週末はVIPルームが埋まっている可能性があるので、大山さんに連絡を取って押さえておいてもらおう。

 「今年中に100を切るのが目標んなんです・・・」

 「寧々ちゃん」は話のなかでそう言った。彼女はまだ一度も100を切ったことがない。ベストスコアは103である。ゴルフを始めてもう5年ほどになるようであるが、あと一歩のところで100切りができていないのである。

 「あ、そうそう・・・この本読んでみますか?この本に出会ってなんとなく100を切れるような気がしてきたんです・・・とてもシンプルで分かりやすいゴルフスイングの理論なんです。ああでもない、こうでもないといった感じで迷っていたことがすっきりとするんです。」

 そう言って彼女はバッグから一冊の本を取り出して、渡してくれた。

 「Nさんも読んで良かったって言ってました・・・」

 「結構目から鱗って感じのことがいっぱい書いてありますよ・・・」Nさんもお勧めのようである。

 本のタイトルは「スイングイメージは直線」である。著者の名前は中井学。ゴルフスイングはクラブヘッドの動きを見ると円運動であるが、その動きを作るために体を回す必要はない、体の重心を右から左に直線的に移動するだけで、ゴルフスイングは完結する・・・その独創的であるが理にかなっていて、きわめてシンプルな理論が分かりやすく書かれている、とのことである。

 「え、そうなんですか・・・」二人の話を聞きながら、その理論にとても興味を持った。「シンプルイズベストな理論ですね・・・よく読んでみます。」

 「じゃあ、こんどの土曜日にまた会いましょう・・・それまでにこの本を読み切って、シュミレーションゴルフで活用してみます・・・」

 そう言って、二人と別れた。期せずして、手元にはとあるゴルフ理論の本がある。「もしかしたら、低迷する私のゴルフスコアにとって、大きな光明になってくれるかも・・・」その大きくもないサイズの本がなんとなく、頼もしく見えた。
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2266:左手の親指

2012年05月29日 | ノンジャンル
 今日の天気予報は夕方から夜にかけて雨、しかも雷を伴って強く降る可能性があるとのことであった。最近、この手の予報が多い。そして予報通りになることも多い。

 昨日も昼を過ぎて2時ごろであったであろうか、空が急に暗くなり、雷鳴がなったと思ったら、土砂降りの雨が襲ってきた。短時間で止んだが、大気の具合が不安定な日々が続いているようである。

 今晩は7時からゴルフスクールである。ゴルフ練習場は屋根があるので、土砂降りでない限り濡れることはない。しかし、できれば雨は降らない方が良い。

 昭和の森ゴルフ練習場に7時少し前に着いた時、雨はほとんど降っていなかった。若干ぽつぽ
つときてはいたが、本当に小雨であり、気になるほどのことはなかった。

 空にかかる雲もところどころ切れていて「これなら大丈夫そうだ・・・」とほっとした。打席に着いた時には、既に4名のスクール生が来ていた。

 「寧々ちゃん」もNさんも来ていた。笑顔で挨拶を交わし、打席にキャディーバッグを降ろした。7時になり、鈴木プロが顔を見せたときには、私を含め6名のスクール生が打席で素振りをしていた。

 「今日はテイクバック軌道についてのレッスンを前半にします。後方から見てください・・・今日気を付けるポイントはクラブヘッドが手の軌道よりも常に外を通ることを意識するということです。アマチュアの多くはインサイドに引きすぎる傾向があり、それがスウィングを乱す要因になっています・・・・」

 鈴木プロは、スクール生を後方に立たせて、手の軌道とクラブヘッドの軌道を示しながら、注意点を説明した。

 「そう言われてみれば、確かに内側に引きすぎているような気がする。手の軌道よりもクラブヘッドが常に外か・・・そうするとかなり外側にあげていくような意識を持つ必要があるな・・・」

 そんなことを考えながら、テイクバックの練習を繰り返した。鈴木プロがよく言う言葉に「テイクバックが上手くいけば、スウィングの6割は上手くいったようなものです」というものがある。

 つまりボールを実際に打つダウンスウィングよりもテイクバックの方がスウィングの成否を決める比率が高いということである。

 打席の後ろには大きな窓がある。夜はそれに自分のスウィングが映る。その後方から見たスウィングをゆっくり確認しながら、テイクバックの練習をしばらく行った。

 その後、今日のワンポントレッスンを参考にしながら、実際にボールを打ってみた。全て上手くいくわけではないが、感触は良かった。

 テイクバックにおいてクラブへッドを引いていく軌道を意識することは重要なようである。鈴木プロは「その際、もうひとつ意識するポイントは、左手の親指です。左手の親指を斜め上に上げていき、手が腰の高さに来たところからは、その親指を真上に上げていくような意識を持てばクラブヘッドが手の軌道よりも内側に入ってくることは少なくなります・・・」ともアドバイスしてくれた。

 「左手の親指か・・・今まで意識したことがなったな・・・手が腰まで来たら親指を真上に上げるか・・・」そう心のなかで呟きながら、スウィングすると、持ち球とは違うフェード系のボールが出る。

 「フェードの方がリスクも少ないし、スコアの安定には良いかも・・・」高く打ちだされたボールが落ち際で右に曲がって行く軌道を目で追いながら、そんなことを考えた。

 スクールが終わって、いつものように休憩コーナーでスポーツドリンクを飲みながら「寧々ちゃん」とNさんと3人で少しの時間談笑した。

 「そうそう、taoさんに頼もうと思っていたことがあったんです・・・」「寧々ちゃん」は何気に思い出したように言った。

 「えっ・・・何ですか・・・」彼女の何気ない様子に合わせるかのように、私も軽めのトーンで答えた。
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2265:早朝リスニング

2012年05月28日 | ノンジャンル
 全仏オープンテニスが開幕した。まだ始まったばかりで、WOWOWでの試合中継もまだ1回戦である。9時過ぎに帰宅すると、ちょうどジョコビッチの試合を放送していたので、テレビの前のソファに座り、その試合中継を観た。

 男子テニス界は、現在ビッグフォーを呼ばれる4人の選手が引っ張っている。ジョコビッチ、ナダル、フェデラー、マレーの4人の選手が、他の選手よりも頭一つ二つ抜きでた実力を有していて、グランドスラムの決勝はほとんどこの4人にうち2人によって争われる。

 その中でも昨年全仏オープン以外のグランドスラムを征したジョコビッチは、実力がNo.1である。その世界ランキングNo.1のジョコビッチの1回戦であったので、仕上がり具合がどうかと思って観たのである。

 第1セットは、想像以上に接戦であった。ジョコビッチの強力なストロークが時折相手コートに炸裂するが、スペインのベテランであるスタラーチェはクレーコートのスペシャリストらしい上手い試合運びで、ジョコビッチを苦しめていた。

 全仏オープンはレッドクレーと呼ばれるレンガを砕いた粉を使ったクレーコートで行われる。球足が比較的遅いコートなので、1ポイントが決まるのに時間がかかることが多い。何本ものラリーの末、ポイントが決まるのである。

 球足の速い芝のコートで行われるウィンブルドンのようにサーブのみでゲームが終わってしまうというようなことはまずない。

 このような全仏オープンでは、ナダルのようにトップスピンで粘り強く戦う選手が勝ち残ることが多い。ハードコートを得意としているジョコビッチにとって、このサーフェスはあまり好きなものではないのであろう。

 第1セットが終盤に入ったころから、私はついうとうとし始めてしまった。試合は接戦であったので面白かったのであるが、1ポイントが長く、試合時間が延びるに従って、体の疲れからか、執拗な睡魔が襲ってきたのである。

 何度か船を漕いでは、はっと眼ざめ、頭を横に2度3度振る。そんな様子を見ていた娘に「お父さん、もう寝たら・・・」と言われてしまった。

 「これはもちそうにない・・・」と思い、2階の寝室へ向かった。平日に仕事を終えて、家に帰り着くとそれなりに体は疲労している。

 今日は昨日のロングライドの疲労も残っている。そんな状態でテレビを観ていると、結構眠くなってくる。

 テレビではなく、リスニングルームに入り、オーディオを聴いたならどうなるか・・・睡魔の威力は2倍になって襲ってくる。

 CDであればまだいいのであるが、アナログの場合には、リスニングルームで眠りこけてしまうと、針を痛める危険性もある。

 「今日は疲れているな・・・」という時はリスニングルームには入らない。そういう日は早めにベッドに入り、朝早く起きる。そして、早朝にリスニングルームに入るのである。

 我が家のリスニングルームは東側に窓がある。スピーカーの後方である。音楽を聴きながら朝日を感じる。朝日には心をリフレッシュする効果があるような気がする。音楽との相乗効果で心は生き返り始めるのである。
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2264:不調

2012年05月27日 | ノンジャンル
 先週のMt.富士ヒルクライムの事前走行会の疲れが完全にとれていないからであろうか、あるいは昨日の那須往復400km超の車の運転疲れからか、あるいは25度を超える気温のせいか、今日のロングライドは序盤から体が重い。体にキレがなく足が回らない。

 今日の目的地は山伏峠。往復でちょうど100kmほどの距離。1週間後にMt.富士ヒルクライム本番を控えているせいか、いつもより多く12名の参加があった。

 「体が重いな・・・」少々気分がさえないまま、山伏峠の上り口までどうにか辿りついた。ここは練習用に最適なのか、バイクルプラザR.T.意外にも多くのサイクリストがこの上り口で休憩した後、山伏峠を上がっていった。

 「今日は体調が良くない・・・こういう時にあまり無理をすると、辛い目にあうはず・・・序盤から抑えめに上がろう・・・」



 上り始めは緩やかであるが、徐々に斜度はきつくなってくる。その後は緩くなったりきつくなったりを繰り返す。距離は4kmちょっと。

 「やっぱり、どうにも足が重い・・・」もともとヒルクライムは遅い方なのに、体調がいま一つで、ペースは全く上がらず、ずるずる落ちていってしまう。

 結局、相当なスローペースで上がり終えた。タイムは20分50秒。前回のタイムよりも2分近く遅い。「この歳だし、体調が悪い時には無理は禁物である・・・」自分に言い聞かせるが、あまりに遅いタイムに少々落胆した。

 峠の頂上で恒例の記念撮影を済ませ、下り始めた。半分くらい下ったところで、上ってきたオートバイの一団とすれ違った。下りのときにはスピードが出すぎるとカーブで膨らんでしまうので、オートバイとすれ違う時には気を付ける必要がある。ぶつかると怪我をするのはこちらである。

 すれ違って少し行くとチームメンバーが数名止まっていた。「落車か・・・パンクか・・・」そう思いながら近づくと、メンバーの一人のレーサーパンツの一部が破れ、擦り傷の痕跡が、腕にも傷が・・・オートバイとすれ違う際、避けようとしてタイヤがロックしたようである。

 擦り傷は負ったが、幸い大きな怪我ではなくて済んだ。「下りはスピードが出る。緊張感をもって下らないと・・・」改めて、気持を引き締めた。

 帰り道は下り基調であるが「山王峠」と「笹荷田峠」が待っている。どちらも小さな峠であり、上る距離も短い。しかし、疲れ切った体にはやはり堪える。

 どうにかその二つの小さな峠をやり過ごし、家に辿りついた。シャワーを浴びて汗を洗い流し、ベッドに倒れ込んだ。そのまま数時間、無意識の奥底の旅に出かけた。
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