AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

2451:痕跡

2012年11月30日 | ノンジャンル
 「地獄は外にあるのではなく、内にあるんです・・・ここに・・・」

 そう言って「寧々ちゃん」は自分の胸を指差した。ダブルベッドに横たわり、薄手の羽毛布団に二人はくるまっていた。空調の乾いた音は静かな室内に吸い込まれるように浸透していった。

 その言葉を聞いて、彼女の目を覗きこんだ。そして、その独り言にも似た彼女の言葉に返答した。

 「心の闇を深く覗きこんだ者の目にはその痕跡がはっきりと残るそうですよ・・・」

 彼女は眩しげに私の視線を捉えた。そして、静かに微笑んだ。その笑みはどことなく悲しげでもありながら、達観したような淡い光を含んでいた。

 「じゃあ、私の目にはきっと残っていますね・・・その痕跡が・・・傷跡とでもいうべきでしょうか・・・」

 彼女は私の左側に居た。彼女は体を横向きにさせ、まじまじと私の顔を見た。私の視線を吸い込み、吟味するようにしてから、言葉を継いだ。

 「taoさんの目にもその痕跡があるようですね・・・私の目の中にあるものと同じような痕跡が見えます・・・」

 私は少々不意を突かれた。私の過去についてはほとんど彼女には話していなかった。無意識的に隠してきたのかもしれない。軽々しく話すことができる内容ではないし、それを話すこと自体、私にとっては心を押し潰すばかりに重いことである。

 表情が少し硬くなった。彼女の視線をさっとかわした。BGM用の有線放送の電源スイッチを入れるために体勢を変えてそちらに手を伸ばした。そのスイッチを軽く押すと、軽快な音楽が部屋の天井にかけられている小さなBOSE製のスピーカーから流れだしてきた。その音楽が部屋の空気を柔らかなものにしてくれた。

 「地獄なら、私もときどき見ますよ・・・こんどの日曜日にも、地獄の茹で釜で散々苦痛を味わう予定です・・・」

 「箱根ですか・・・」

 「ええ、箱根ターンパイクをロードバイクで上るんです・・・14kmに渡る厳しい坂です。」

 「この週末はすごく寒いって天気予報で言っていましたよ・・・」

 「箱根はとても寒でしょうね・・・真冬対策で行きます・・・」

 二人はすぐいましがた官能の一時を過ごしたばかりである。リズミカルな高揚感の後の一種の虚脱感に包まれていた。そういったぽっかりと空いた時間には人間の素の情態がさらけ出される。私の瞳にも隠し通すことのできない何かが表面に浮いてきていたのかもしれない。彼女はその海の表面に浮かぶ油のような心の沁みの存在にすぐさま気付いたようである。

 心の中で「過ぎさったことだ・・・全て過ぎ去ったこと・・・今更どうすることもできないことだ・・・時計の針を逆戻しにすることはできない・・・」そう呟き続けていた。

 「シャワーを浴びてくる・・・」そう言って、ベッドからはい出た。浴室へ向かう私の背中に彼女は優しげに語りかけた。

 「話す気になったら、話してね・・・」

 浴室のシャワーの栓を軽く回すと勢いよくお湯が出た。その水流の束を顔に浴びた。顔に当たったお湯は体を伝わって床に流れ落ちていった。しかし、心の中には決して流れ去ることのない痕跡が残ったままであった。
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2450:紅葉

2012年11月29日 | ノンジャンル


 青梅ゴルフ倶楽部の上空は青く晴れ渡り、風もあまりなく、気温もここ数日と違い暖かかった。所々紅葉も鮮やかな色合いを見せてくれていた。この時期のゴルフとしては、絶好と言えるコンディションであった。

 今日は来週の水曜日に行われる予定の事務所主催のゴルフコンペの下見ラウンドであった。スタートは9時45分と遅め。朝のうちの気温は低かったが、スタートする時には上着がいらないほどに暖かかった。

 中コースからスタートした。6ホールが終わったところで、パーがひとつ、ダブルボギーが一つ、残りはボギー。ということはボギーペース。残り3ホール全てボギーなら「45」。一つでもパーが来れば「44」。そう思った時、少々欲が出た。いわゆる「取らぬ狸の皮算用」を頭の中でしてしまったのである。

 7番はショートホール。ワンオンすればパーの可能性が高い。ここで、欲望が剥き出しになった。ティーグランドに立ってアドレス、ちょっと速いテンポでテイクバック、ダウンに入って、その欲望に押し出されるように上体が突っ込んでしまった。遥か左に飛び出したボールは斜面に当たり、全くのショート。続く2打目はグリーン手前のバンカー。バンカーからは一発では出ず、結局4オン2パットのトリプルボギー。

 これですっかりリズムが狂った。8番、9番をどちらもダブルボギーとしてしまった。この結果、ボギペースから遥かに下降してしまい、結局「49」。ぎゃふんな前半となってしまった。

 午後は東コース。悪かった前半から気分を変えて挑んだ。すると1番、2番が連続パー。幸先が良い。その後はボギーが続き、7番でパーが来た。9番でティーショットをミスしてしまいこのホールをダブルボギーとしてしまったが、どうにか「43」で回れた。

 この後半は未来に繋がるハーフであった。少しばかり復調の兆しを感じることができたのである。中山プロの先日のレッスンも効果が出たようである。

 90切りはかなわなかったが、来週の本番には少々期待が持てる。本番までにもう1回、中山プロのレッスンを受けよう。久々の90切りを実現するためにも・・・
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2449:メンテナンス

2012年11月28日 | ノンジャンル
 QUAD22の電源スイッチも兼ねているボリュームノブを右に回すと、パイロットランプにオレンジ色の灯りがともる。

 そして、パワーアンプであるQUADⅡの真空管にもオレンジ色の灯りがともり始める。真空管が熱を帯び始める頃、左チャンネルから「ギュイ~ン」と少々意表を突く音が飛び出す。

 その後ハム音のような低く唸るようなノイズが継続する。音楽をかけるとほとんど気にならなくなるのであるが、やはりあまり気持ちのいいものではない。

 QUAD22とQUADⅡの左右の接続を変えてもやはり左チャンネルから出る。ということはパワーアンプが原因である。

 QUADⅡの真空管を左右入れ替えても、やはり左チャンネルから出る。ということは真空管の不具合でもない。左チャンネル用に使っているQUADⅡの内部にある何らかの部品に不具合が生じた可能性が高い。

 こういう時は、メンテナンスに出すしかない。アンプのメンテナンスは横浜市南区にある「クラシック・ガーデン」に出している。

 ここはビンテージ・オーディオを扱うショップ。実際に行ったことはないが、知人の紹介でメンテナンスを依頼するようになった。

 QUAD22・QUADⅡは何度メンテナンスに出したであろうか・・・今回で5,6回目になるであろう。特にQUAD22は不具合が出やすく、家を空けることが多かった。QUAD22の内部を覗いてみると、あんな狭い空間にぎっしりと部品や配線が詰まっている。相当無理のある空間構成である。「これでは故障も出やすい・・・」と思わず思ってしまうような内部であった。

 QUADのアンプはとてもコンパクトであるのが一つの特徴である。QUAD22・QUADⅡの後を引き継いだQUAD33・QUAD303やQUAD44・QUAD405もコンパクトでスタイリッシュな造形である。

 「小さくあること・・・」に対するこだわりは相当強いものがあったのであろう。コンパクトであることに対するこだわりはスイス製のアンプの一部にも見ることができる。

 Stellavox、GOLDMUND SRシリーズ、JOBといった一連の製品もとてもコンパクトである。大きさの割には価格は高めであるが、小さいが故の精緻な感覚に溢れている。

 何故かしらコンパクトなオーディオ製品に心惹かれることが多い。小さいから音が良いというわけではないのであるが、少なくとも腰を傷める心配がないのは良いことである。
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2448:下見

2012年11月27日 | ノンジャンル
 事務所主宰のゴルフコンペは年に3回行っている。毎回20名前後の参加者があり、既に50回以上の回数を数えている。

 そのゴルフコンペが来週ある予定である。場所は青梅ゴルフクラブ。距離があるというわけではないが、楽にはゴルフをさせてもらえないコースである。

 その来週の「本番」を前に、一度「下見」をしませんかと、参加予定者から連絡があったのは2週間ほど前のことであった。

 「行きましょう・・・行きましょう・・・少しでも、良いスコアで回りたいですからね・・・最近調子が悪くて・・・」とすぐさまその提案に応じた。

 その「下見」は11月29日の木曜日で行われる予定である。本番は来週の水曜日。もちろん目指すはどちらも「90切り」。ここのところ、「90切り」は、本当にご無沙汰である。「90切り」どころか、「100叩き」に近い危険水域を航行することの方が多く、そのうち領海侵犯で海上保安庁に逮捕されかねない状況が続いているのである。

 そこで、先日はレッスンプロのレッスンを受けてきた。PSDのシュミレーションシステムを備えた室内ゴルフ・スクールが小平市にあり、そこでレッスンを受けたのである。

 その際注意されたのは「テイクバックの時にフェイスが開く悪い癖がある」という点と「ダウンスイングの時にためがなく腕で降ろしてくる傾向がある」という2点であった。

 とりあえずこの欠点を修正するために「左手の甲を回さないで、まっすぐにテイクバックすること」と「ダウンスイングの前に左足のかかとを一旦降ろしてから、クラブを振りおろすようにすること」の2点のアドバイスを受けた。

 この2点に気をつけながら、シュミレーションシステムでドライバーショットを打ってみると、それほど曲がらない。若干右にボールは向かうが、フェアウェイに収まる範囲にボールは転がっていく。

 距離も240ヤードから250ヤードと画面には表示される。「まずまずじゃないか・・・」とちょっと嬉しくなった。

 もちろん、シュミレーションゴルフと実際のティーグランドは違う。緊張感も違うし、方向の取りやすさも違う。なので、すぐさま良い結果が出るかどうかは不明であるが、少々期待感を持っている。

 ドライバーショットがラフであっても、とりあえず普通にスイングできる場所に行っていれば、「90切り」は充分可能と踏んでいるのである。どうにか期待外れに終わらないように願っているところである。
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2447:中山プロ

2012年11月26日 | ノンジャンル
 「テイクバックの時にフェイスが開く癖がありますね・・・左手の甲を回さないように気をつけてまっすぐに引くようにしてください。そして、そのまま上げてください。まっすぐに上げても、腰を回すと良い位置にトップが納まります。」

 小平市にある「ゴルフ・プラザ・ウチノ」で、シュミレーション・システムを使ったレッスンを受けた。

 佐藤プロとは違い、架空の存在ではない中山プロがそのレッスンを担当。中山プロは、一見恐そうな感じであるが、実は丁寧。しかも、指摘が的確である。

 まずは7番アイアンで何球が打った。それを見ていた中山プロはすぐさまフェイスが開いてしまう私の悪い癖を指摘。

 最初は、テイクバックに関する指導をひととおり受けた。指導どおりテイクバックすると、結構右脇が開く。「右脇が開いても良いですよ・・・左脇は締めていた方が良いですが・・・ときどき右脇を常に締めていないといけないと思い込んでいる方もいますが、そんなことはありません・・・」とのことであった。

 テイクバックを気にしながら何球か打った。打った都度、モニターでスイングを確認。どうもダウンスイングでは外からクラブが降りているように見える。あまりかっこよくない。さらにフィニッシュでも体重が右足に残っていて、姿勢も猫背気味・・・「いや~やはり、綺麗なスイングとはほど遠い・・・」と少々がっかり。

 「ダウンスイングの時に手で降ろしがちですね・・・ためがありません。腰で降ろす感じが必要です・・・トップの状態で左足のかかと上げて、まずそれを降ろす・・・左足のかかとを降ろしたことを確認してから、ダウンスイングする・・・最初はちょっと違和感があると思いますが、そのタイミングで降ろしてみてください・・・かかとを降ろした時の音を耳で聞いてからクラブを降ろします。」

 中山プロの指導に従って、やってみる・・・最初はぎこちないが、このドリルをやると、ダウンスイングでのためが少しばかり出てくる。

 モニターで確認すると、スイングもリズムが良くなってきたような気がする。まだ、フィニッシュの形はかっこ悪いが、「最初よりもかなり良くなりましたね・・・2ケ月程レッスンを受けたら、かなり良いスイングになりますよ・・・」との中山プロの言葉に勇気付けられた。週に一度、レッスンに通ってみようかという気になった。
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