AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

4341:SY-Λ88Ⅱ

2018年01月31日 | ノンジャンル
 「ご無沙汰しています・・・・」

 私がPaoさんの携帯に連絡を入れたのは、夜の8時を少し回っていた。BMW523iを自宅の駐車場に停めた時に、ふと思いついたのである。

 「もしかしたら、Paoさんが以前使われていたAurexのSY-Λ88Ⅱをまだ持っているかもしれない・・・」

 Paoさんは、2年ほど前にプリアンプをMark LevinsonのNO.26Lに替えた。その前はAurexのSY-Λ88Ⅱを長く使われていた。

 AurexのSY-Λ88ⅡにはLo-DのHMA-9500MKⅡが組み合わされていた。このペアで25年以上、長岡鉄男氏設計のスピーカーを鳴らされていた。

 そのスピーカーはバックロードホーン式のキャビネットを持ち、「D-55」という型番を持っていた。そのスピーカーも1年ほど前に新たなスピーカーに替わった。

 そのスピーカーはYAMAHAが新たに出したNS-5000であった。スピーカーを新調された1年ほど前に、Paoさんのお宅にお邪魔して、その雄姿を眺めたが、ピアノブラックの艶やかな姿がまぶしかった。

 プリアンプをSY-Λ88ⅡからNo.26Lに替えられた後しばらくしてパワーアンプもHMA-9500MKⅡから、Mark LevinsonのNO.27.5に替わった。

 この数年でPaoさんのお宅のシステムは随分と変わった。「退職金がドカンと入ったのでね・・・扶養家族もいないし・・・冥途の土産だよ・・・」とPaoさんは笑って話されていた。

 「おう・・・久しぶり・・・」

 「どう・・・お宅のオーディオ・・・まだ骨董趣味でやってんの・・・?」

 「えっ・・・プリアンプがまた壊れた・・・もうやめたら、そんな古いの・・・うっぱらって、Mark levinsonでも買えば・・・」

 スマホの向こうからは相変わらず口の悪いPaoさんらしい言葉が矢継ぎ早に繰り出されてきた。その次々に放たれる言葉の矢を「ええ、まあ・・・」「そうですね・・・」とやり過ごしながら機会を見て、「Paoさん、以前使われていたAurexのプリアンプ、まだお持ちですか・・・?」と伺った。

 「あっ・・・Aurexのプリアンプ・・・まだ動くかな・・・箱に入れてもうずいぶんと物置に入ったままだからな・・・」

 「どうすんの・・・?もしかして、Marantz Model7を手放して、Aurexのプリアンプに替えるのか・・・?」

 「それは良いアイディアだと思うよ・・・もし具合が悪くてもしっかりと直せる業者を知ってるから紹介するよ・・・」

 「そうだな・・・あのプリアンプは意外と人気があるんだよな・・・10万円と言いたいところだけど、3割引きで7万円でいいよ・・・」

 Paoさんはギアを上げて先走った。「そうそう・・・実は我が家にはもう1台プリアンプがあるんだ・・・少しの期間だけ使ったものでね・・・YAMAHAのC2aだよ・・・これも良いよ。そうだな、こっちも7万円かな・・・」

 Paoさんのお宅のオーディオ機器には一つのルールがある。色がブラックであることである。No.26LもSY-Λ88ⅡもC2aもその色合いはブラックである。

 「一度お伺いしますよ・・・プリアンプ出しといてください・・・」と話しながら日程を調整した。

 「もう定年退職して、今は嘱託の身だから時間はあるよ・・・」とPaoさんは屈託ない。Paoさんのお宅は新宿区の西早稲田にある。自宅のすぐ裏には「甘泉園公園」があり、ここが新宿区とは思えないような静かさである。
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4340:ハーレム

2018年01月30日 | ノンジャンル
 パイオニアC21は、1976年の発売である。その頃はまだCDが世に出ていなかった。したがってメインソースがレコードであった時代の製品である。

 現代のプリアンプはフォノイコライザーがついていないのが当たり前で、オプションで装着できる製品ですら少数派であるが、この時代はフォノイコライザーがついていないとプリアンプではなかった。フォノイコライザーこそ、プリンアンプの良否を決める大きな要因であった。

 「では、C21のフォノイコライザーの出来はどうであろうか・・・」ということで、レコードを聴いてみることにした。

 我が家のアナログシステムは、カートリッジはZYX OMEGA、トーンアームがSME Series V 、昇圧トランスがMA COTTTER MK2、そしてターンテーブルがORACLE DELPHI6である。

 1枚のレコードを選択してDELPHI6のターンテーブルに乗せた。プラッターの表面はメチル・アクリレートで、つるっとした硬質な感触である。

 反りのあるレコードをプラッターに密着させるためのレコード・クランプをレコードの上から乗せて回転させると、レコードとプラッターはぴったりと密着する。

 右手の親指でSeries Vを所定の位置まで移動させてから、リフターを下した。カートリッジはゆっくりと下がり、盤面に到着した。

 レコードはドボルザークのヴァイオリン協奏曲。ヴァイオリンはジョアン・フィールド。レーベルはTelefunken。モノラルのレコードである。1950年代の録音である。プリアンプの質感が悪いときつめの音になりやすい。

 その音を聴いて「C21はフォノイコライザーも優秀である・・・」と思った。発売当時の価格が5万円と聞いて、少し上から目線で接していたC21であるが、その実力は予想を凌駕しているものがあった。

 どこかしら平謝りしたい気分でパイオニア C21を眺めながら、ドボルザークのヴァイオリン協奏曲を聴き終えた。

 C21は、こちらの心境の変化を知ってか知らずか、さらっとした無表情を変えることはなかった。

 「この時代の日本製のプリアンプは優秀だな・・・」ほかの機種も試しに聴いてみたくなった。
 
 「以前Paoさんが使われていたAurexのSY-Λ88Ⅱなんて、どうだろう・・・?」とふと思いついた。

 そのデザインはどことなくC21と共通するテイストを感じる。さっそくスマホで検索してみた。すると人気がある機種なのか思っていたよりも高い値付けであった。



 「いけない・・・いけない・・・」本妻が不在の間につかの間のハーレム状態を夢見たが、首を2,3度左右に振って、その誘惑を退けた。
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4339:ウッドケース

2018年01月29日 | ノンジャンル
 ショスタコーヴィッチの交響曲第8番第3楽章が終わった。3回聴いたのであるが、飽きることがないのは凄いことである。

 途中から音のことなどどうでもいいような感覚に陥ったが、MIT MI330のオリジナルバージョンとマイナーチェンジバージョンの違いは、やはり多少あったようである。

 マイナーチェンジバージョンのほうがパワフルな感覚であろうか・・・オリジナルバージョンは表情が穏やかなものになり、肩の力が抜ける。

 ジャズなどのジャンルに関してはマイナーチェンジバージョンのほうが向いているかもしれない。シンバルの金属音など音がきりっと立ちそうである。クラシックに関してはオリジナルバージョンのほうが広がり感があって向いているような気がした。

 MIT MI330のオリジナルバージョンは、先日アメリカの中古市場で見かけたので、購入した。1,2週間すると、我が家に届く予定である。

 RCAケーブルは2ペアあれば足りるので1ペア余ってしまうが、O-DAC PRO MK2とプリアンプ間は、60cmのMI330 ショットガンで固定して、プリアンプとパワーアンプ間については、オリジナルバージョンとマイナーチェンジバージョンのMI330を気分で替えることになりそうである。

 パイオニア C21は電源投入から時間が経過するに従って、徐々にその能力の片鱗を見せ始めたようである。

 「これはこれで良いかも・・・」

 と、あくまでMarantz Model7が退院するまでの「中継ぎ」ではあるが、C21は期待以上の音を紡ぎだしてきた。

 そして、その見た目の良さは気持ちをすっと和ませてくれる。「パイオニア C21」と入力してインターネットで画像検索してみると、気になる画像が見つかった。



 ウッドケースに納められたC21である。メーカー純正のウッドケースなのであろうかと、元箱に一緒に入っていたカタログや取扱説明書を見てみたが、それらしいものの記載はなかった。

 きっと、C21に合わせてオーナーが木工所に特注したものであろう。ウッドケースに納められたC21は、その表情が一段と穏やかなものになり、一気に癒し系キャラに変身していた。
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4338:ショットガン

2018年01月28日 | ノンジャンル
 ショスタコーヴィッチの交響曲第8番の第3楽章は約6分ほどの演奏時間である。ムラビンスキーの指揮によるレニングラード管弦楽団の1982年の演奏は凄みが半端ない。

 ぐっと下がった重心は一瞬たりともグリップを失わない強固な意志に溢れていた。巨大な音楽の塊がロシアの大草原を疾駆しているようなイメージは、第2次世界大戦で活躍したロシア軍の戦車T-34を連想させる。

 1982年の名演奏は、フィリップス盤の西ドイツプレスがこれまで一番良いとされていたが、それを超える音質のAltus盤は、奇跡の演奏をよりリアルに再現する。
 
 C21は少しづつこなれてきた。完全なる目覚めには、まだ2,3日必要であろうが、時間の経過とともに表情の硬さが取れ始めた。

 そこで、とあることを思いついた。DACであるO-DAC PRO MK2とパイオニア C21を接続していたRCAケーブルは、一時的にお借りしているMIT MI330であるが、これをアメリカから届いたばかりのMI330 ショットガンに替えてみようと思ったのである。

 そのMI330 ショットガンは、長さが60cmと短い。O-DAC PRO MK2とC21は同じGTラックの下段と上段に設置されているため、60cmでもちょうど届く。

 ショットガンはRCA端子やケーブルはMI330と全く同じものであるが、周囲を黒いメッシュがケーブルの7割がたを覆っている。

 ショットガンに替えて、同じ第3楽章をもう一度聴いた。想像以上に変わった。音の厚みが増し、音の背後に広がる気配の濃度がアップ。

 これは「ショットガン」という名称がふさわしい変わり具合である。残念ながらプリンアンプとパワーアンプとの接続にはケーブルの長さが1mないと届かなので、試すことはできないが、DACとプリアンプの接続は、MI330 ショットガンで固定することになりそうだ。

 現在、プリアンプとパワーアンプを接続しているのは、MI330のマイナーチェンジバージョン。RCA端子がコレクトチャック式のものになる。

 「これをマイナーチェンジ前のオリジナルバージョンに替えると、やはり違うのであろうか・・・」

 という素朴な疑問から、取り換えてみた。この2本はケーブルは同じように見える。オリジナルは普通のRCA端子でマイナーチェンジ後はコレクトチャック式のRCA端子である。



 コレクトチャック式はしっかりと装着できるメリットがあるのか、最近のケーブルにはついていることが多い。しかし、装着する際多少面倒である。

 リスニングルームには三度ショスタコーヴィッチの交響曲第8番の第3楽章が流れ始めた。フィリップスの西ドイツ盤では、6分17秒であった演奏時間は、Altus盤では6分35秒になる。

 西ドイツ盤はピッチの異常による音程の不安定とテンポの早まりが指摘されていたが、Altus盤では、実際の演奏時間に整えられている。

 その6分35秒の演奏が終わった。演奏の途中からは音のことなどどうでもいいような気分になるほど素晴らしい演奏である。
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4337:音出し

2018年01月27日 | ノンジャンル
 C21はしばらく使われていなかったので、その当時の元箱に入れられて保管されていた。昨日はその元箱からC21を取り出したのであるが、その中に取り扱い説明書とパイオニアのオーディオ機器のカタログが入っていた。

 1970年代のパイオニアのオーディオカタログは懐かしく、しげしげと眺めた。レコードプレーヤー、アンプ、カセットデッキそしてスピーカーなど、オーディオ機器が燦然と輝いていた時代の製品群はどこかしら誇らしげでもある。

 カタログには昭和53年のとの記載があった。昭和53年は1978年である。1978年と言えば、私は15歳である。中学3年生。

 その当時我が家には、四本足の着いた一体型のオーディオがあった。おそらく1960年代の製品で、その当時すでに色褪せた存在であった。友人宅にあったそれぞれの機器が独立しているコンポーネントオーディオに憧れたものである。

 1978年当時のパイオニアのオーディオカタログを眺めていると、当時のことが懐かしく思い出された。

 電源が入れられたパイオニア C21は、淡い色合いのオレンジをそのパイロットランプに灯した。さっそくその音を確認することにした。

 ORACLE CD2000に恭しくCDを一枚セットした。ラフマニノフ ピアノ協奏曲が2曲収録されているCDである。第3番の第1楽章を聴くことにした。

 リモコンのスタンバイボタンを押してCDのデータを読み込ませてから、「4」を押してPLAYボタンを押した。

 CD2000が読み込んだデジタルデータは、O-DAC PRO MK2に送られる。そこでアナログ信号に変更されてからパイオニアC21に送り届けられる。

 O-DAC PRO MK2とC21の間をつなぐRCAケーブルは、MIT MI330である。これは一時的に友人からお借りしているものである。

 そして、C21で整えられた音楽信号は、Marantz Model2に送られてスピーカーを駆動できるまでに増幅される。

 C21とModel2とを橋渡しするRCAケーブルは、先日アメリカから届いた同じくMIT MI330。こちらはRCA端子がコレクトチャック式のものであり、お借りしているMI330のマイナーチェンジモデルのようである。

 そして音の出口はTANNOY GRFである。搭載されている「モニター・シルバー」は、昨年分解清掃されて、その身に付いた錆は綺麗に落とされた。英国で60年前に製造されたキャビネットは鈍い光を緩やかに放っていた。

 Marantz Model7と比較すると、C21はSN比が良い。無音時にGRFから漏れ出るサーというノイズは低い。

 音の傾向は、やや乾いた質感で滑らかさ粘りといったものは少なめで、すっとまっすぐに音を出してくる。

 しばし元箱の中で身を潜めていたことや、電源を入れたばかりでまだまだ暖まっていない状況なので、本領を発揮しているわけではないはず。暖まってくれば、その音のほぐれ加減も良い方向に向かうであろう。

 発売当時の5万円という価格からすると、決して「高級機」ではなかったはず。そのため、部品に関してもコストの制約があったので、際立って高性能ということはないはずである。

 そういったことを考慮すると、「実に頑張っているかな・・・」という感想を持った。確かに音の表情はやや硬めで、もう少しこなれてくると音楽の聴こえが違ってくるはず。

 ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番の第1楽章が終わったので、CDを入れ替えた。ショスタコービッチの交響曲第8番である。

 リモコンの「3」を押して第3楽章を選択した。演奏はムラビンスキー指揮のレニングラード管弦楽団。録音は1982年である。
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