AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

3421:茶色のエアコン

2015年07月31日 | ノンジャンル
 「少しお疲れですか・・・?」

 「ゆみちゃん」はさらっと言った。

 「疲れた顔してる・・・?」

 少し心配になって彼女に訊いた。確かに最近体は疲れがちであった。暑さによって体が参っているのか、疲れがなかなか抜けずに、いわゆる「だるおも状態」が続いているのである。

 「少し色合いが・・・」

 「色合い・・・あっ、もしかしてオーラ・・・?」

 彼女は少しばかり特殊な能力を持っている。人の背後に広がるオーラが見えるというのである。その色合いは人によって基本となる色があり、体調や健康状態によってその色合いが微妙に変わるようなのである。

 特殊な機械を使うと、そのオーラは撮影できるのであるが、それが肉眼で見えるという話は聞いたことがない。

 彼女はいつも見えるわけではないと言う。「昼間は見えることはなくて、薄暗い部屋で気持ちが穏やかな時になんとなく人の背後にぼんやりとした靄のようなものが見えて、それに色合いがついている・・・」と言っていた。

 喫茶店「Mimizuku」の中は少ない白熱灯が店内を薄らぼんやりと照らしているに過ぎない。夜の「Mimizuku」の店内は、オーラが見えやすい環境のようである。

 「色合いがくすんでいるとか・・・?」

 「そうですね・・・taoさんの場合、基本の色合いは緑なんですが、その色合いが少しくすんでいますね・・・」

 「いや~最近疲れがちなんだよね・・・夏バテかもね・・・結構、立ちくらみなんかもあって・・」

 「この暑さのなかでも、ロードバイクで走っているんですか・・・?」

 「週一でね・・・この前の日曜日はきつかったな・・・暑すぎて意識がぼっとしてくるような感じで・・・」

 「それで、疲れてるんじゃないですか・・・?熱中症に気を付けてくださいよ・・・日中、外を歩くだけで息苦しい感じですもの・・・」

 「そうだよね・・・」

 苦しげに稼働音を発していたエアコンが「ガクガク・・・」と少しばかり異様な音を発し始めた。それを確認して、女主人はエアコンのそばに行ってその左側を持ち上げるようにして手で2,3度叩いた。すると、その異様な振動音は止んだ。

 「もうそろそろ、取り換え時かしら・・・30年以上頑張っているのよね・・・」

 女主人はそう言った。そのエアコンの色合いは濃い茶色であった。そのクラシックな風合いは古い店のなかに溶け込んでいた。今風の真っ白なエアコンはこの店にそぐわないように思えた。
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3420:ケチャップ

2015年07月30日 | ノンジャンル
 「和歌山県の出身だったよね・・・?」

 時間は夜の7時半ごろであった。午後に物凄い豪雨が通り過ぎたので、今晩はここ数日のなかでは比較的涼しい夜であった。

 「ええ、そうですよ・・・」

 「ゆみちゃん」は美味しそうにナポリタンを口にしていた。

 「和歌山県はケチャップの消費量が日本一なんだって・・・・テレビでやってたよ・・・」

 私は、先日なにかのテレビで放映していたことを話した。

 「そういえば、我が家も結構なんでもケチャップかけてたような気がする。」

 彼女の口の端は、少しオレンジ色に染まっていた。

 「じゃあ、ハンバーグは・・・?」

 「もちろん、ケチャップ・・・」

 「ケチャップとソースを両方かけたりしないの・・・?」

 「それは邪道でしょう・・・」

 「あと、変わったところではなんかある・・・?」

 「アジフライかな・・・アジフライにもケチャップかけてた・・・」

 「アジフライね・・・確かにケチャップをかけたことはないな・・・ウスターソースしか思いつかない・・・」

 「家族みんなそうだったから、不思議じゃなかった・・・」

 「テレビでやってたけど、味噌汁には入れないよね・・・?まさか・・・」

 「ああ、それは我が家ではなかった・・・どんな味になるんだろう・・・今度やってみよう・・・」

 「えっ・・・やってみるの・・・」

 彼女のナポリタン好きは、どうやら和歌山県民のケチャップ好きが影響しているのかもしれない・・・そんなことを思った。

 喫茶店「Mimizuku」のなかでは少し時代がかってしまったエアコンが苦しそうな運転音を響かせながら稼働していた。

 カウンター席には私と「ゆみちゃん」が座っていた。二つある四人掛けのテーブルには客の姿はなく、奥まったところにある二人掛けのテーブルには初老の男性が静かに座っていた。

 彼女はほぼナポリタンを食べ終えようとしていた。その脇にはアイスコーヒが置かれ、そのグラスの表面にはびっしりと水滴がはりついていた。
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3419:Audi A4

2015年07月29日 | ノンジャンル


 Audi A4がフルモデルチェンジされその詳細が公開された。今回のNEW MODELはAudi A4としては5代目となる。一般公開は9月のフランクフルト・モーターショーの予定である。

 そのエクステリアは、現行型と比べて大幅に変わったという印象はない。Audiのデザイン・アイデンティティーであるシングルフレームグリルがよりワイドになり、クロームによる縁取りがシャープで直線的なラインになったことがまず目につく。

 その直線的でフォーマルなラインはフロントライトにも採用されている。より複雑な形状となってはいるが、ラインがきりりとしているので、むしろすっきりとした顔立ちである。

 Mercedes-Benzの新型Cクラスのデザインがどちらかというと曲線を多用した有機的なものであったのとは好対照である。

 Audiにとって今や一番大きなマーケットは中国である。中国人が好むデザインといったものが積極的に採用されるはずでる。Audiの「直線・きりり路線」は中国人好みなのであろうか・・・

 デザインはヴォルフガング・エッガー。2007年にAlfa RomeoのチーフデザイナーからAudiに移ってAudiのデザインを牽引してきた。その彼もジウジアーロに移籍したようである。この先Audiのデザインはもしかしたら徐々に変化するかもしれない。

 ボディ・サイズは全長が4726mm、全幅が1842mm、全高が1427mm。現行型より25mm長く、16mm幅広くなっている。Mercedes-Benz Cクラスと比べると41mm長く、32mmワイドで、13mm低い。

 サイズは現行型より大きくなっているが、車重は逆に軽くなっている、約120kgほどの減量に成功しているのである。ルーフを含む様々な部分にアルミニウムを使用したことが、軽量化に寄与しているようである。

 リアのデザインも現行型からそれほど大きく変わったわけではない。やはりよりすっきりとした造形でまとめられていて、インパクトの強いものではない。


 
 安全システムは最新型らしく充実している。フロントガラス上のカメラモニターが道路状況を把握し、必要な場合には自動ブレーキが作動するシステムも標準装備されるようである。

 すっきりとしたシャープなデザインを纏って登場する予定のAudi A4・・・日本ではうけるであろうか・・・?ここ10年ほどで、Audiは日本でのブランドイメージを飛躍的に高めてきた。その勢いはまだ止まっていない。新型A4はその勢いを強めることはあっても、弱めることはないように思われる。
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3418:豚丼

2015年07月28日 | ノンジャンル
 和田峠を下り終え、陣馬街道を走った。帰りの陣馬街道は下り基調となる。スピードが速いと受ける風も強くなる。

 風を受けると体の熱を飛ばしてくれる。しかし、陣馬街道が市街地に入る頃には、その風はとても暑いものになってきた。道路には車が次第に増えてくる。車が放出する熱とアスファルトが発する熱が合体して、熱気をさらに激しいものにする。

 信号待ちで停車する時には日陰を探した。運良く見つけると信号から離れていてもそこで停車・・・信号が青になるのを待った。

 陣馬街道、浅川サイクリングロードを経て八王子市を北上した。その途中で休憩をする。普段はコンビニで休憩するのであるが、今日はコンビニではなく、「駿河」という店名の豚丼の店で昼食休憩することとなった。

 この店は信号のそばにあり、普段から信号待ちで止まった時に目についていた。「いつかここ行きたいですね・・・」と話していた店である。

 店の駐車場の脇に8台のロードバイクを重ねて、ワイヤーでロックした。運良く店はそれほど混んでいなかった。

 冷房が効いた店内は別世界である。早速メニューを見た。豚丼が中心であるが、いくつかの種類があるようで、鳥のから揚げ付などのセットメニューもあった。

 迷った末、から揚げ付の豚丼を選択した。しばし待っていると、店員さんが運んできてくれた。豚丼は甘辛いタレがかかっていて美味である。から揚げもからっとしていて及第点・・・



 「今度は家族を連れてこようかな・・・」そう思わせる店である。自宅からなら車で1時間程で着く場所にある。

 「もしかしたら、このコースを通る際には定番の昼食休憩ポイントになるかも・・・」そんなことを思いながら、店を後にした。

 店の扉の向こう側は炎熱の世界であった。扉一つを隔てて全くの別の世界が隣接している感じである。

 そんな炎熱の世界を進んだ。「我慢比べ大会」のような「炎熱ライド」の末、我が家に到着した。火照った体を、冷房の効いたリビングルームでしばし休めた後、冷たいシャワーを浴びるとようやく人心地付くことが出来た。
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3417:和田峠

2015年07月27日 | ノンジャンル
 和田峠は上り始めた者を穏やかに迎えてくれる。鬱蒼と茂った木々は峠道に木陰を提供してくれていて、近くを流れている沢により気温は涼やかなものになっている。

 その峠道をしばし進んでいくと、やがて本来の和田峠の姿が見えてくる。斜度が上がり始める。そして一旦上がった斜度は緩むことがない。

 爽やかな空気が流れていた和田峠の峠道を満喫できていたのは最初のうちだけであった。斜度がぐっと上がってくると、余裕は全く無くなってくる。

 心拍数はあっという間に170を超えた。「今日は175以下で抑えていこう・・・」そんなことを頭の中でぼんやりと考えていた。

 体にキレはなく、脚は重かった。前を行くメンバーは3名。斜度がぐっと上がるポイントごとにずるずると遅れていった。

 ギアは最も軽いギアに固定されたまま・・・思わず苦笑したくなるような厳しさの斜度のところはダンシングでこなしていった。

 心拍数は170~175ほどで推移していた。すぐ前を行くメンバーの背中は見えたり隠れたりしていたが、追いつくためにギアを上げる余裕は寸分もなかった。

 3.7km程の和田峠の上りも終盤に入ってきた。残り1kmを切ったあたりで、後方から一人のメンバーが追いついてきた。

 二人は前後になったり、並走したりしながら、残りが少なくなってくる峠道を進んだ。斜度は緩むことがないので、二人ともぎりぎり走行である。

 二人になるとなんだか心持ちが楽になった。そのまま2度ほど急カーブを曲がって上がっていくと、直線の先に峠の茶屋が目に入ってきた。そこが頂上である。

 「スパートしますか・・・?」

 私は並走してるメンバーに話しかけた。

 「3,2,1で行きましょう・・・」

 「3・・・2・・・1・・・スタート!」

 サドルから腰を上げ、最後のスパートをした。厳しかった和田峠をどうにか上り終えた。峠の茶屋は閉まっていた。神奈川側へ下りていく道は崩落により通行止めとなっていて、その影響であろうか・・・

 足場用のパイプで組み立てられているサイクルスタンドにKUOTA KHANをかけて、峠の茶屋の休憩所に腰かけた。

 ペースは上げられなかったが、心拍数は170~175でしっかりとコントロールできていて、走りがだれることはなかった。現状の体調と調子では、まずまずといったところか・・・前回の有間峠の時のように脚が攣りそうになることもなかった。少し安心した。

 峠の茶屋はやっていなかったが、その休憩所でしばし疲れ切った体を休ませた。屋根があって陽光を遮ってくれる。峠を渡る風が通り抜けていき、実に心地よかった。

 和田峠はいわゆる「激坂」である。70kgの体重がある私にとっては一番の苦手科目ではある。しかし、上り切ると独特の解放感がある。

 「たまには『激坂』もいいな・・・」

 そんなことを思いながら、峠の景色をぼんやりと見ていた。その休憩所は居心地が良かったので少し根が生えてしまった。

 「下りたくないな・・・下ってしまえば灼熱が待っているだけだ・・・」

 心の片隅に巣食ったそんな思いが腰をすっかりと重くしてしまっていた。


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