AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

4539:5合目

2018年08月17日 | ノンジャンル
 富士山の裾野を走り続けいくと、道はやがて「富士山スカイライン」に繋がった。ゴールは「富士宮口5合目」である。一気にそこまでノンストップで走るのではなく、中間地点辺りにある「水ヶ塚駐車場」を目指した。

 7月10日から9月10日までは、マイカー規制があるので、車で来た人は、この大きな駐車場でバスやタクシーに乗り換える必要がある。

 トイレや土産屋、食堂なども併設されているようである。そこで一旦脚を休ませて、ガソリンも補給して、ゴールを目指す予定であった。

 「水ヶ塚駐車場」までは10km以上の距離がある。しっかりとした斜度の坂道を延々と上り続けた。ここまで100km以上の距離を走ってきているので、脚に余力があるはずもなかった。

 残り少ない脚をさらにすり減らしながら、上っていった。異変が起きたのは10kmを過ぎたあたりであった。

 ガソリンタンクの残量が明らかに枯渇し始めていた。いわゆる「ハンガーノック」である。コンビニ休憩時の補給が消費カロリーに比して足らなかったようである。

 「後悔先に立たず」である。こうなると出力がスカスカ状態になってしまう。集団から切れながら、わずかばかりの出力で航行を続けざる得なかった。

 そして、四苦八苦しながら「水ヶ塚駐車場」に到着した。ロードバイクを置いて、すぐさまふらつく足で食料を求めた。

 土産屋や食堂が入っている建物の裏手に露店があった。そこには焼きそばや串にささった様々なはんぺん焼きが売られていた。

 そこで矢継ぎ早に注文した。「焼きそば」「肉巻きおにぎり」「イワシのはんぺん焼き」を次々に胃袋に納めた。

 これでどうにか空っぽであったガソリンタンクが満杯になった。どうにかこうにかリスタートできる状況を作ることができた。

 そして、6台のロードバイクは新たな試練へ向けて走り出した。「水ヶ塚駐車場」から「富士宮口5合目」までは、まだ13kmの距離がある。

 普段のロングライドでのヒルクライムのように200ワット以上の出力で走ることは当然無理である。「170ワットぐらいなら最後までもつであろうか・・・」そう考えて、平均出力がそれくらいになるようにクランクを回し続けた。

 6台のロードバイクはやがて三つに分断された。上級者2名が前を行き、私ともう一人のメンバーが真ん中を走り、そして脚がなくなってきたメンバーとそのメンバーをサポートするメンバーが後方を走った。

 中間地点ぐらいまではそんな具合であったが、やがて私の左足太腿には痛みが出始めた。今度は脚の筋肉が悲鳴を上げ始めていた。

 「まずい・・・攣りそうだ・・・」その痛みは徐々に明確に一つのメッセージを伝え始めていた。「まだまだ距離がある・・・ここで攣ったら大変・・・」と、出力を下げた。

 一緒に走っていたメンバーの背中は徐々に遠ざかり、やがて見えなくなった。左足太腿の痛みはなかなか引かなかった。

 一番軽いギアを選んでなるべく軽い負荷で脚を回した。ゴールまでの残り距離は本当にゆっくりとではあるが少しずつ減ってきた。

 ゴールが近づいてくると、周囲には霧が出始めた。視界が悪い霧の中での単独走は心をぐいと圧しつけるように圧迫した。

 霧のかなたにようやくゴールが見えた。スパートする気力も体力もなくうなだれながらゴール地点に達した。



 一昨年「ふじあざみライン」を自走で走った時のことが思い出された。その時にもゴール地点は霧に包まれていた。そしてゴールしてもしばらくは声も出せない状態であった。今日もその時とほぼ同じ状況であった。
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