AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

6482:テーマ

2023年11月30日 | ノンジャンル

 一通りの検証作業を終えて、グールドさんは再び大理石ボードを元の位置に戻して、四つに折られた布をその上にふわっと乗せた。どちらの色合いも穏やかなものであるので、その外観は地味でシックな質感である。

 Wilson Audio CUBは、サウンドアンカー製の専用スタンドの上にセットされて、平行法でリスニングルームの短辺側に置かれている。専用スタンドの下にはアピトンを素材とする縦長のオーディオボードが置かれている。

 その黒く塗装されたアピトンボードの手前にその大理石ボードは置かれているのであるが、大理石ボードとアピトンボードのと間には5cmほどの空間がある。グールドさんによると、その二つのボードの間隔の具合も音に影響があるようである。

 Wilson Audio CUBは、仮想同軸のユニット配置を採用した大型のブックシェルフタイプのスピーカーである。発売当時価格は100万円ほどしたハイエンドモデルであり、高精細でリアルな音楽再生を得意としている。25年程前の製品であるが、その外観はしっかりとした美しさを保っている。

 その後、ベルリオーズの幻想交響曲から第4楽章、マーラーの交響曲第5番から第1楽章、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番から第1楽章、さらに女性ボーカルも数曲聴いた。

 3時間ほどの時間をグールドさんのリスニングルームで過ごしてから、自宅に戻った。

 自宅に戻ってから、早速インターネットでスピーカー前面の床に置く音響調整アクセサリーについて、いろいろ調べてみた。最初に思いついたのが、サーロジックの製品である。

 「もうカタログ落ちしているかな・・・」と思ったが、まだラインナップされていた。製品名は「Gallery-basso(ギャラリーバッソ)」。値段はそれなりに高い。スピーカーの前に置くので、当然2個必要である。

 さらに、QRDについても調べてみた。製品名は「QRD BAD FLOOR」。こちらは販売が終了しているようであった。「ヤフオクでそのうち出るかも・・・」と、思った。

 大理石のオーディオボードも調べてみた。こちらは、様々雑多なものが出ているようである。値段も様々であるが、その質感も千差万別であり、どれがいいのかは判別できない感じであった。

 スピーカーの前面の床か・・・今まで全然気をつけていなかったけれど、結構音の質感に影響があるということが、今回判別した。今後、我が家でも一つのテーマとして取り組んでいこうと思った。

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6481:検証作業

2023年11月29日 | ノンジャンル

 Wilson AudioのCUBの前面の床には薄いグレーの色合いの大理石が置かれ、さらにその上に大理石の表面の6割ほどを覆うように布が置かれていた。

 大理石のボードの大きさは横幅が40cm、奥行きが30cm、高さは5cmぐらいで、比較的コンパクトなものである。色は薄いグレーでマーブル状の模様が穏やかな表情を見せていた。

 上に乗せられているのは風呂敷のような布を四つに折りたたんだものであり、薄茶色の地にモダンな和の幾何学模様が細かく描かれていた。

 「最初は何気にスピーカの前の床に大理石のボードをそのまま置いたんです・・・すると音のエネルギーが2割増しぐらいになった感覚があったのですが、音が少しキンキンするところがあったので、布でその表面を半分ほど覆ってみました。」と、グールドさんは話された。

 「そうだったんですか・・・スピーカー前面の床に置く音響調整アクセサリーは、過去に何度か見たことがあります。サーロジックはそれ専用の製品を作っています。過去の0ff会でも使われている方がいました。それからQRDのBADでもフロアに置く製品のラインナップが過去にありました。さらに日本音響エンジニアリングの本来はスピーカーの間の壁面に使う小型の音響調整用のアクセサリーをスピーカー前面の床面に置かれていたのを見たこともあります。ということはスピーカー前面の床面は音響調整ポイントなのかもしれませんね・・・」と私は話した。

 まずはその状態で聴かせていただいた。検証用にグールドさんが用意してくれたCDは2枚であった。寺尾紗穂「風はびゅうびゅう」からタイトル曲と、チェチーリア・バルトリの「SOSPIRI」からヘンデルの「オン・ブラ・マイ・フ」を聴いた。

 「確かにエネルギー感がアップしているというか、音が立っている感じがしますね・・・よく上手に炊けたご飯のことを評して『お米が立っている・・・』ということがありますが、そういう感じでしょうか・・・音が立ってますね・・・」と、私は感想を述べた。

 「では、少し検証タイムにしましょう・・・まずはこの布を取ってみて・・・『風はびょうびょう』を聴いてみましょう・・・」と、グールドさんは大理石ボードの上に置かれていた布を取り去ってから、先ほど聴いた女性ボーカル曲を再度かけた。

 「確かに少し反射が強すぎるというか、音が硬くなりますね・・・大理石らしい反射ですね・・・エネルギー感はぐっと上がって、ハードロックなんか相性が良いかもしれませんね・・・」と、私は反応した。

 「ではこのボードそのものを取り外してみましょう・・・」と言って、グールドさんは大理石製のオーデイオボードを持ち上げてリスニングポイントの後方に片づけた。コンパクトなものであるが重さはそれなりあるようであった。

 そして再び試聴・・・こちらは穏やかな表情で安心感のある音の質感である。「素の状態」という感じで,化粧っけのない良さがあり、これはこれで問題がないと思われた。

 「三者三様ですね・・・何もなくでも問題ないという質感ですが・・・最初の音がオーディオ的には一番魅力的に感じられました・・・」と私は、その検証結果について、個人的な感想をグールドさんに述べた。

 「私も同じ感想だったんです・・・さらにこの床面の1次反射に関する調整は意外と繊細で、スピーカー前面の床面のどこに置くかによって結構差があるんです・・・」と話された。

 「スピーカーの前面の床に置くのですが、スピーカーからの距離が問題で、ぴったりと寄せるのか、ある程度スピーカーから離して置くのか・・・離して置く場合にもその離し具合で、変わるんですよね・・・」と、グールドさんは苦笑された。

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6480:大理石

2023年11月28日 | ノンジャンル

 11月30日は9月決算の会社の申告期限である。9月決算の会社の数は比較的多い。月末近くの日曜日は休日出勤をせざる得ない状況となっていた。

 朝の8時に事務所に着いて、夕方の5時まで必死に仕事をこなして、どうにかこうにか3社分の申告書の作製を終えた。ほっと一息ついてから、事務所を後にした。

 車に乗り込んで、国立市にお住いのグールドさんのお宅に向かった。コインパーキングに車を停めて少し歩いた。

 グールドさんからメールが来たのは、つい先日のことであった。「今回はちょっとした思いつきでセッティングに関する実験をしてみたのですが、思いのほか変化があったので、一緒に検証してみませんか?」と、その中に記されていた。

 グールドさんのお宅に着いたのは5時半ごろであった。辺りは既に暗くなっていた。早速リスニングルームに案内された。

 グールドさんのリスニングルームは縦長の形状で、広さは8畳ほどである。スピーカーは短辺側にセットされている。2台のスピーカーの後方真ん中に3段ラックがセットされていて、オーディオ機器が縦に綺麗に並んでいる。

 使用されているスピーカーはWilson AudioのCUBである。専用スタンドにセットされたCUBを駆動するのはKRELL製のアンプ。プリアンプはKSL-2で、パワーアンプはKSA-150である。

 CDプレーヤーは、KRELLのCD-DSPを長年愛用されてこられたが、KRELL初の一体型CDプレーヤーであるCD-DSPは、現在何度目かの修理に出されていて、不在である。

 その間の「代打」として、MUSIC TOOL製の3段ラックの最上段には、GOLDMUND MIMESIS 39DAが設置されている。GOLDMUND MIMESIS 39DAは1996年に発売された。

 CDトランスポートであるMIMESIS39をベースに、D/Aコンバーターを搭載した一体型のCDプレイヤーである。メカニズム部はトップローディング式を採用している。その姿はGOLDMUNDらしい、流麗で整然としたクールさに溢れていた。

 前回との違いは部屋に入ってすぐに分かった。平行法で設置されている2台のWilson AudioのCUBの前の床にとある物体が置かれていた。スピーカーの前面の床に設置する音響調整アクセサリーは、幾つかのメーカーから発売されている。それらの多くは木製で、音を拡散するための工夫が凝らされている。

 しかし、グールドさんのリスニングルームにあるものは、そういったメーカー製のものではないようであった。「これは、もともと持っていた大理石だったんですけど、ちょっとした思いつきでスピーカー前の床に置くとどうなるんだろうと思って・・・」と、さらりと話された。

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6479:一日二毛作

2023年11月27日 | ノンジャンル

 午前中は、shanshanさんのお宅でのOFF会であった。昼の時間帯になったので、持参したサンドイッチを食べながら、新たにshanshan邸に導入されたJBL D130/077のスピーカーシステムについての感想を話し合った。

 まだ導入されたばかりであるので、今後セッティングなどを煮詰めていくと、さらに良くなっていくはずである。

 部屋の片隅には現在は使われていないオーディオ機器が数多く収納されていた。shanshanさんが自作してこられた真空管アンプやヤフオクなどで購入したアンプ類である。

 その中にONKYO A927の姿があった。

 その姿はいかにも日本のプリメインアンプといういでたちである。その当時ONKYOは、Sansuiとともに日本のプリメインアンプ界において重要な位置を占めていた。

 「ONKYO A927で、このスピーカーを駆動すると、どんな音がするのであろうか・・・?」とふつふつと興味が湧いた。

 午後からはクラシックのコンサートに行く予定が入っていた。shanshan邸を辞してから、車で小平市に向かった。

 10歳の時にヴィエニヤフスキ国際コンクールで優勝した服部百音がソリストであるシベリウスのヴァイオリン協奏曲を聴く予定であった。場所は小平市の「ルネ小平」。オーケストラは東京交響楽団。指揮者は大井剛史である。

 プログラムの前半はコープランド「市民のためのファンファーレ」とガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」。20分の休憩を挟んでの後半はシベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」で始まった。

 そして、今日のハイライトであるシベリウスのヴァイオリン協奏曲となった。ゆったりと登場した服部百音は、どこかしら特別なオーラを放っていた。そして、素晴らしい演奏が始まり、聴衆を魅了していった。

 服部百音のヴァイオリンは、極めて美しく繊細な音を紡ぐ。クールな表情から繰り出す深遠で張り詰めた緊張感が心に迫ってくる。演奏後は大きな拍手に包まれた。

 今日は「一日二毛作」であった。「JBL」と「服部百音」という水と油のように対照的とも言える二つであったが、それだけに得られた充実度も大きいように感じられた。

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6478:外連味

2023年11月26日 | ノンジャンル

 JBLのユニットは番号で呼ばれることが多い。「ウーファーは◯○○で、スコーカーは◯○○、そしてツイーターは◯○○・・・」と、JBL好きのオーディオマニアの間での会話においては、数字が飛び交うことがある。

 JBLに関する知識の全くない私には、その数字がどんなユニットを意味するのかちんぷんかんぷんである。しかし、今日の午前中、shanshanさんのお宅にお邪魔したおかげで、「D130」と「077」の二つのJBLユニットに関しては、その実態を把握することができた。

 shanshanさんは「流浪オーディオ」を実践されている。スピーカーを含め、システムを構成する機材が数ケ月ごとに変わる。決して一所にとどまることはなく、常に「旅の身」である。前回お伺いした時にはSIEMENSの「鉄仮面」であったスピーカーが、JBLのものに今回変わった。

 まずは、サランネットを外して、そのユニットをじっくりと見せていただいた。キャビネットはJBLの純正箱である。

 「D130」はフルレンジユニット。キャビネットの上に載せられている「077」はスーパーツイーターとして機能しているとのこと。「D130」は38cmの大きさがある。フロントバッフルの幅ぎりぎりに収められている。センターキャップはシルバーの色で精悍な顔立ちである。

 サランネットをすると、そのキャビネットの大きさから、38cmの大きなユニットが収められているとは思わないサイズ感である。これを駆動するのはQUAD 405-2である。プリアンプは真空管式の自作モデル。

 短絡的かもしれないが、JBLというとどうしても「ジャズがベストマッチ!」という先入観を持ってしまう。今日はクラシックも聴かせていただいたが、少し古い時代のジャズを中心に聴かせていただいた。

 「やはりJBLはジャズだよな・・・」と思いながら耳を傾けた。「外連味のない、ストレートな音・・・」と心の中で思った。

 そう思った時、「『外連味』ってどういう意味なんだろう・・・」という疑問がふと心に浮かんだ。リスニングポイントの前のコンパクトなテーブルの上に置いてあるスマホを曲の合間に手に取って、検索してみた。

 すると「外連味とは、はったりを利かせたり、ごまかしたりするようなところ。」と出てきた。つまり「D130」と「077」の組合せが聴かせてくれる音の特徴は、「はったりを利かせたり、ごまかしたりするようなところのない音」ということになるのであろうか・・・

 その文言を目でなぞって「確かにそうだな・・・」と、思いながら、LPやCDを聴いた。その中で気になったLPが1枚あった。そのレコードのジャケットを見せていただくと「CHICO FREEMAN/SPIRIT SENSITIVE」であった。

 ベースが、曲の屋台骨をしっかりと背負っていて、緩やかなテンポのバラードであるが、決してゆるんだ感じがなく、どこかしら凛とした緊迫感があった。CHICO FREEMANのサックスは深い響きで心にじんわりと迫ってくる。

 「再発盤なら常識的な価格であるが、オリジナル盤が欲しい・・・となるときっと相当な価格になるのであろう・・・」と内心で思いながら、その印象的なジャケットを戻した。

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