AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

3792:原点

2016年07月31日 | ノンジャンル
 「昼過ぎに雨が降るでしょう・・・」その天気予報がにわかに信じられないほどに、空は青かった。

 朝のうちはまだ猛暑というほどのことではなかったが、集合場所のバイクルプラザまで走っただけで汗がすっと流れた。

 今日の目的地は「時坂峠」に決まった。ロングライドに初参加するメンバーがいることと、天気予報が昼過ぎに雨が一時的に降ると伝えていたことから、短めのコースである「時坂峠」がいいだろうということになったのである。往復距離は80kmほどと短め。上りも時坂峠のみである。

 「時坂峠」は、私が最初にロングライドに参加した時に上った。ある意味私にとてヒルクライムの原点である。

 もう5年も前のことになる。その時はひどく辛かった。どうにか足をつかずに上り切れたが、あまりの辛さに「これはまともな人間のやることじゃない・・・」と思ったことが鮮明に記憶に残っている。

 その後何度もこの峠には上った。単独でのロングライドでも何度か来たことがある。5年の月日が経過して、上れるスピードは上がったが、辛いことには変わりがない。

 「時坂峠」までのコースは先週行った「都民の森」とほぼ一緒である。玉川上水に沿った道を西へ進んだ。

 玉川上水沿いには木々が植わっていて、木陰が多い。強く照り付けてくる太陽光が遮られると走りやすい。



 拝島駅近くのファミリーマートでコンビニ休憩をした。補給食にはバナナ2本を摂った。もう少し曇ってくるかと思ったが、太陽は依然ぎらぎらとしていた。

 コンビニ休憩を終えて睦橋通りに入った。ここは片側2車線の広い道路である。太陽光を遮るものがなく、暑さに体力を徐々に削られながら走っていった。

 武蔵五日市駅の手前を左折して檜原街道へ・・・しばらく続く市街地を抜けると、山間の道に変わる。

 ようやく木陰で涼しいエリアに入り込んでいった。夏はこのエリアが嬉しい。檜原村役場を右手にやり過ごすと、「橘橋」の交差点に到着した。

 先週はこのT字路の交差点を左折して都民の森までの21kmのタイムトライアルをした。残念ながら目標タイムの1時間では走り切れなかったが、いつもとは違うパターンでの全力走行は貴重な体験となった。

 今日はここを右折した。ここから時坂峠の上り口まではすぐである。目印は「ちとせ屋」。有名な豆腐屋である。その左手前を入り込んでいくと、時坂峠の上り口である。
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3791:BRILON 1.0

2016年07月30日 | ノンジャンル
 スマホでヤフオクを見ていた。スピーカーの画面に変えた。それを試しに「ゆみちゃん」に見せてみた。しばし、彼女はその画面を見ていた。しかし、徐々に集中力がしぼんできたようである。

 「良く分からないですね・・・皆同じような感じで・・・」

 彼女はスマホを私に戻しながら言った。

 「それにしても、随分値段が違うんですね・・・凄く高いものもあって、びっくりしました。taoさんも値段の高いスピーカーを使っているんですか・・・?」

 「値段・・・?我が家のスピーカーは全然高いものじゃないんだ・・・数万円はしたけど・・・」私は少しどぎまぎしながら答えた。

 彼女から受け取ったスマホの画面を見た。その画面にはとあるスピーカーの写真が小さく映っていた。その写真に一瞬釘付けになった。

 「ブリロンか・・・」その画面には、AUDIO PHYSIC BRILON 1.0のオークションの写真が映っていた。

 スマホの画面を操作してBRILON 1.0の数枚の写真を確認してみた。とても綺麗な状態である。現在の価格は90,000円ほどであった。

 「終了間際にはさらに上がり、きっと15万円ほどで落札されるのであろう・・・」そう思った


 日本製の古いものであれば、10,000円以下で入手可能なものも多い。しかし、製造されてから相当な年数が経過しているので、コンディションは酷いものが多い。

 「ブリロンか・・・デザインも素晴らしい・・・」その写真をしばし眺めていた。こちらはとても大事に使われていたようで、コンディションの問題はなさそうに思われた。

 レコードプレーヤーはLUXMAN PD444。プリメインアンプはSONY TA-1120。スピーカーはAUDIO PHYSIC BRILON 1.0。

 「この組み合わせってどうよ・・・」心の中でちょっとひとりごちた。しかし、「ゆみちゃん」が当初提示した3万円の予算をはるかに超える。

 「まあ、現実的じゃないよな・・・」そう思ってスマホの画面を下にしてカウンターの上に置いた。

 「ちょっと考えてみるね・・・それはそうと部屋の広さはどのくらい?」

 「狭いですよ・・・普通のワンルームですから・・・6畳よりもちょっと広いくらい・・・」

 「だとするとスピーカーは小さい方がいいよね・・・」

 「そうですね・・・部屋が狭くなるようなものはちょっとですね・・・」

 カウンターの上に置いたスマホの画面をまた覗いた。BRILON 1.0の細身の姿が目に入った。独特の形状は魅力的なものであった。
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3790:LUXMAN PD444

2016年07月29日 | ノンジャンル
 私はスマホでヤフオクの画面を開いた。「家電、AV」を選び、「オーディオ製品」を選び、「ターンテーブル」、「本体」と進んだ。

 最期はメーカー名を選択できる。オーディオテクニカ 、ケンウッド(トリオ)、ソニー、デノン 、トーレンス、パイオニア、パナソニック(テクニクス)、ビクター、マイクロ、ヤマハ、その他という分類になっている。

 「1960年代後半から1970年代くらいまでの製品を選ぶとすると、どのメーカーがいいかな・・・予算は1万円くらいか・・・」と、一瞬思案した。

 「どんなものがあるか、ざっとした検索でいいか・・・」と思い「その他」を選択した。LINNや
Garrardなど様々なメーカーのものが表示された。

 そのスマホを「ゆみちゃん」に手渡した。彼女は興味深そうに画面を覗き込んでいた。「いろんなものがあるんですね・・・」

 「相当数あるでしょう・・・値段もまちまちだし・・・ここをクリックすると次の画面に行けるから・・・」

 しばらくの間、彼女は画面を展開させて、数多く表示されるレコードプレーヤーの写真を眺めていた。

 そして、しばらくすると「これって変わってますね・・・とてもデザインが良いです・・・ちょっと横長ですけど・・・」と、とあるレコードプレーヤーに興味が湧いたようであった。

 その画面を覗き込むと、そのレコードプレーヤーは「LUXMAN PD444」であった。彼女の審美眼は確かなようで、そのデザインは秀逸であり、独自の美しさに溢れていた。



 「良く分からないんですけど、綺麗な形ですよね・・・とってもモダンで・・・」彼女はそう言って目を細めるような仕草をした。

 「これ、良いよね・・・確か1970年代の後半頃の製品かな・・・アームが付いてないから、アームも別途用意しないといけないね・・・予算オーバーかな・・・」

 「そうですか・・・」彼女はちょっと恨めしそうに眺めていた。ふっと思い付いて「そう言えば、家に使っていないアームとカートリッジがあるな・・・それを使えばいいか・・・」と言った。

 「アンプも1台あるんだよね・・・SONY製だけど・・・デザインがとてもいいんで、衝動買いしたんだけど、棚を飾っているだけで実際には使っていないんだ・・・それを組み込めば、後はスピーカーだけ・・・じゅぶん予算内に納まるんじゃない。」

 「いいんですか・・・?」と訊く彼女に「使っていないで持っているだけだと意味がないからね・・・そのアンプの写真見せるよ・・・気に入ると思うよ・・・」と言って、彼女が手にしていた私のスマホを受け取って操作した。

 「型番はSONY TA-1120・・・1965年の発売でね・・・」私はスマホの画面を彼女に向けた。首を少し前に突き出すようにして、彼女はその写真を眺めた。



 彼女は満面の笑みを浮かべた。「綺麗・・・」そっと呟くように言った。

 SONY TA-1120は、少し前に「オーディオショプ・グレン」で見かけて、そのデザインの良さに思わず衝動買いした。価格は75,000円であった。

 「気に入った・・・?」と訊くと、彼女は2度、3度と首を少し大げさに縦に振った。

 「でも、さっきのレコードプレーヤー表示されていた11,500円で落とせるんですか・・・?」

 「もっと上がるだろうね・・・終了間際で・・・まあ、チェックしておくよ・・・予算を超えるようならパスだね・・・」

 「あとスピーカーも必要なんですよね・・・」

 「そう、スピーカーもね・・・日本製の古いものなら1万円以下でもあると思うよ・・・スピーカーもちょっと覗いてみようか・・・」

 喉が渇いた。時代がかったやや肉厚なグラスに入った水をぐいっと飲んだ。冷たい水が喉を通って行く。その流れが心地よかった。
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3789:レコードプレーヤー

2016年07月28日 | ノンジャンル
 時間が止まったような喫茶店「Mimizuku」のカウンターの上にはSONY製のラジカセが置かれている。そのラジカセからはバッハのゴールドベルク変奏曲が流れていた。

 「taoさんは、レコードプレーヤーを持っているんですか?」

 「ゆみちゃん」は、ほぼナポリタンを食べ終わっていた。アイスコーヒーをストローで2,3度かき混ぜながら、そう訊いた。

 「持ってるよ・・・」

 私は最近メニューに加わったフレンチトーストを頼んでいた。その柔らかい食感と、滋味深い味わいは癖になる美味しさである。

 シナモンを少し振りかけるとまた格別な味わいの複雑さが加味される。それをナイフとフォークを使って食べていたが、一瞬その動きを止めた。

 「私最近、レコードに興味があって・・・でも、レコードプレーヤーって使ったことがないんです・・・」

 「ゆみちゃん」は少し変わっている。30歳という年齢からすると不釣り合いなほどに古いものが好きである。

 その服装もそうであるし、自宅には1970年代に製造されたラジカセが置いてあり、カセットテープで音楽を聴いていたりする。そんな彼女の古いもの好きがレコードにも食指を伸ばし始めたのであろうか・・・

 「『ねこ』のメンバーのTwitterによくレコードの話が出てくるの・・・」

 「ねこ」は彼女が応援しているインディーズバンドである。そのメンバーのTwitterで時折レコードのことが書かれているようであった。

 「それで、一度聴いてみたいなって・・・」

 「あっ・・・そう。でも、レコードプレーヤーだけ買っても音が出ないんだよ・・・アンプとスピーカーもないとね・・・」

 「そうなんですか・・・結構高いんですか・・・」

 「新品を買うと高いけど、古いものなら、安く売っているものもあるよ・・・それこそ、レコードしかなった時代の古いものなら・・・」

 「3万ぐらいでレコード聴けますか・・・?」

 「予算は3万円・・・?」

 「そのくらいです・・・」

 「そう言う時は、ハードオフかヤフオクかな・・・古いものなら一式3万円くらいで揃うよ、きっと・・・」

 「ヤフオクってそんなものも扱っているんですか・・・?」

 「でも、古いものだから、ちゃんと動くか心配だけど・・・」

 「選ぶの手伝ってください・・・ちんぷんかんぷんだから・・・でも、デザインは良いものがいいな・・・」

 「じゃあ、1960年代か1970年代のものが良いよね・・・出来れば60年代・・・80年代になると急に質感が下がるんだ・・・」

 ラジカセのカセットテープが終わった。「キュー・・・」という音がした後、オートストップ機構が働いて、PLAYボタンが軽い音をたてて、元に戻った。
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3788:帰路

2016年07月27日 | ノンジャンル
 この時期としては比較的過ごしやすい気候に誘われたのか、都民の森の駐車場は満車であった。多くのローディーも来ていて、バイクラックには様々なロードバイクが並んでいた。

 この季節、意外と怖いのが蜂である。先日もチームメンバーが風張峠を単独で上っていた時に蜂に右脚の太腿を刺された。

 都民の森の売店で応急手当を受けたが、その後腫れてしまって少しの間ロードバイクに乗れなかった。

 走っている最中では注意していても、なかなかその災難をかわすのは難しいかもしれないが、蜂には要注意である。

 記念撮影を済ませてから、下り始めた。下り始めて強い風を体に受けると、汗が冷えて少し肌寒く感じた。やはり標高が高いのである。

 重力の盛大な手助けを受けてどんどんと下っていった。しばらく下ったところでメンバーの一人のロードバイクに何らかのメカトラブルが生じたようで、かなり遅れていた。

 ちょうど「数馬」の少し手前であったので、「数馬」でロードバイクを降りて、待つことにした。目の前には茅葺屋根が特徴の温泉宿があった。



 しばらくすると、トラブルが解消したようで、メンバー数名が下ってきた。また再び隊列を組み直して下っていった。

 「橘橋」の交差点に達すると、右に曲がって檜原街道を進んだ。檜原街道は日陰が多く、比較的涼しい。



 武蔵五日市駅まで来たところで、駅前を右に曲がり睦橋通りに入っていった。猛暑日であるとここからの行程は結構辛いものとなる。今日は汗は流れたが、茹だるような感じではなかった。

 睦橋通りを走りながら、いつか単独でのロングライドが出来る時があったら、もう一度「橘橋」交差点から都民の森までの区間のタイムトライアルに再チャレンジしてみよう・・・と、考えていた。
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