AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

5934:駐車場

2022年05月31日 | ノンジャンル

 いよいよ「Mt.富士ヒルクライム」が近づいてきた。本番は6月12日(日)に行われる。受付は前日の6月11日(土)である。昨年同様受付を済ませた後に5合目まで持っていってもらう防寒着などが入ったリュックも預ける。

 一昨年はそのリュックを自分で背負って走らなければならなかった。防寒着や補給食などが入ったリュックはその重さが2kgほどになり、体にも心にも大きな「重荷」となった。

 コロナ禍前は、前日受付の際にはチームメンバーで纏まって現地に向かった。数台の車に分乗し現地に向かい、ロードバイクにまたがって足慣しをしてから受付を済ませ、決まった宿に泊まった。

 今年もメンバー揃っての宿泊はない。受付後は自宅に戻って、当日朝早く車で現地に向かうメンバーと、受付後は近くのホテルに宿を取って、当日の朝はゆっくりとするメンバーとに分かれる。

 私は朝ゆっくりとしたいので、近くのインターの傍にあるビジネスホテルで宿泊する予定である。宿泊費は7,000円ほど。ビジネスホテルであるので必要最小限の広さの部屋であるが、まあのんびりと過ごすのに過不足はない。

 今年は駐車場の受付方法が変更されていた。従来はエントリー時に駐車場も申し込んで、その後事務局の方で各駐車場に割り振った。今回はタイムズの駐車場予約システムを使って、駐車場を各自で予約することになっていた。その駐車場予約に関するメールが来た。

 そのメールによると予約受け付けは5月30日の正午からとのことであった。「早めに申し込んだ方が良いかな・・・」とはそのメールと読み終えて思っていたが、月末であった今日は、3月決算法人の申告業務と事業復活支援金の申請代行業務に忙殺されて、駐車場予約の件はすっかりと記憶エリアから漏れてしまっていた。

 仕事が一段落した夜になってから、ふとそのことを思い出し、「そうか・・・正午から受付開始だった・・・まずい・・・予約しなければ・・・」と、指定された手順にそって作業を開始した。まずはタイムズのメンバー登録が必要であった。

 メンバー登録を済ませて、駐車場予約画面に入った。チーム内では「富士山パーキング」を選択しましょうという事前連絡があったので、「富士山パーキング」の予約画面に進んだが、残念ながら既に予約で埋まってしまっていた。

 「しまった・・・遅かったか・・・」その後、会場に近い駐車場から順に当たってみたが、どれも「空車」はなかった。ようやく「富士ふれあいセンター駐車場」の予約画面で「空き」があった。「まあ、しょうがない・・・ここを予約しよう・・・」と予約作業を終えた。

 エントリー自体は多少遅れても大丈夫な状態であるが、駐車場予約に関しては、早めに申し込まないと会場から近い駐車場は確保できないようである。「まあ、いいか・・・リュックも預かってもらえるし、駐車場もどうにか確保できた・・・」と思いながら、「富士山ふれあいセンターってどんな施設だったかな・・・」とパソコンで検索してみた。

 ホームページによると障害者・障害児向けの福祉センターであった。河口湖インターのすぐそばにあり。場所も分かりやすそうであった。「これで準備は整った・・・」と、一安心しながらパソコンの電源を切った。

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5933:BRAUN

2022年05月30日 | ノンジャンル

 「CELLOの部」の興奮が冷めやらぬなか、場所を2階のリスニングルームに移して「JBLの部」がスタートした。2階の素晴らしいリスニングルームの主はJBL Project K2 S9500である。

 ピアノブラックに輝き、アクリル製のホーンを真ん中に二つのウーファーが上下に挟むバーチカルツイン構成のその名機は、ソリッドな存在感が素晴らしい。現代は性差を不用意に言葉にすることが憚れる時代ではあるが、その重厚にして精悍な外観は「違いの分かる男のスピーカー」とでも評したくなってしまう。その質感は同じ時代の名車であるMercedes-Benz W124 E500が有していた質感とかぶる。

 その発売は1989年。33年前のスピーカーということになる。1989年と言えば日本ではバブル経済が最高潮に熱していた時代である。この素晴らしいJBLのフラッグシップに注がれていたであろう日本のオーディオファイルの視線も相当に熱かったに違いない。

 その精悍なスピーカーを駆動するのはPASSの巨大なモノラルパワーアンプ。目測で1台60kgぐらいはありそうなマッチョな外観である。プリアンプはMark Levinson No.32L。フォノイコライザーはMolaMola。デジタル系はCH Precision ・・・1階のリスニングルーム同様、2階でも私とハンコックさんはそのオーディオシステムの威容を目にして少々くらくらとした。

 2階ではアナログをメインに聴かせていただいた。アナログプレーヤーはDR. FEICKERT ANALOGUEというドイツのメーカーのもので私は初めて目にするものであった。トーンアームはクラウディオ社のピボット式リニアトラッキング・トーンアームである。見るからに複雑で精巧な構造ののトーンアームは相当に高度な組み立て精度が要求されるのであろう。カートリッジはROKSAN Shiraz 。

 このアナログシステム・・・実にかっこいい。「かっこいい」ということは、オーディオにおいてとても大事な価値観である。その姿形がかっこいいだけでなく、使いこなしも「かっこよく」あってほしいものである。

 私が持参したクラシックのレコードや、ハンコックさんが持参されたJAZZの銘盤も次々に精巧なドイツ製のレコードプレーヤーのターンテーブルに乗せられた。JBL Project K2 S9500とJAZZとの相性は実に素晴らしかった。その質感はE500で高速道路を滑走するかのように飛ばしている快感と同質なものであった。盤石な剛性感・・・ソリッドなスピード感・・・そして安定感抜群の操作性。

 DAVE PIKE、MILES DAVIS、RED GARLANDなどの素晴らしいオリジナルレコードにゆっくりと針が落とされていった。「かこいい・・・実に・・・様になる・・・」二人は唸り続けた。この部屋には「かっこいい・・・」しかなかった。

 リスニングルームの空間が・・・オーディオ機器の全てが・・・そして置かれている椅子やアームチェアの全てが・・・かっこいい。脇に置かれたデスクの上には黒い小さなBRAUN製の時計がさりげなく置かれていた。その小さく精巧な時計に、この部屋のかっこよさのエッセンスが凝縮されているように感じた。バウハウスの精神を小さく体現したBRAUNの置時計に・・・

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5932:K.304

2022年05月29日 | ノンジャンル

 「僕と一緒に悲しんでくれ。夜明けの2時、僕の愛する母が亡くなったことをお知らせしなければならない。神は彼女をお召しになった。」モーツァルトの母親が亡くなったのは1778年7月3日のことである。滞在先のパリよりモーツァルトがザルツブルクの友人宛に送った手紙はこの文章から始まる。

 母親を失った直後、その悲しみを綴った曲と言われているのがヴァイオリンソナタ K.304である。同時期に書かれたピアノソナタ K.310 では、突然の母の死という理不尽さに対する怒りや悲しみが「悲しみの疾走感」とでも言うべき激しい曲調によって綴られているが、ヴァイオリンソナタ K.304 では、もう少しその悲しみを嚙み砕き、情緒的な側面を美しいメロディに転換している。

 アレキサンドライトさんが、CELLOのストラディバリウス・グランドマスターを購入されたのは、2年ほど前のこと。その巨大なスピーカーを調整する際に使われているのが、内田光子のピアノとマーク・スタインバーグのヴァイオリンの演奏によるK.304とのことであった。

 CELLOの4躯体に分かれる巨大なパワーアンプにより駆動されるストラディバリウス・グランドマスターは、目を閉じるとその巨漢ぶりが全く聴覚に作用しないほどにバランスが良く、部屋との一体感が素晴らしかった。

 パワーアンプの前を受け持つのはCELLOのアンコールとパレット。「これぞ、CELLO・・・」と思わずうなってしまうような研ぎ澄まされたその外観から醸し出される精緻なオーラは、「ため息以外出てこない・・・」と思わせるような美しさである。

 そして、送り出しはMETRONOME TECHNOLOGIEのAQWO。METRONOME TECHNOLOGIEの伝統とも言えるトップローディング方式にこだわったCDトランスポートと、旭化成エレクトロニクスのDACチップを採用したDAコンバータの組合せ。

 1mmの隙も無い完璧なラインナップに、一緒にお邪魔したハンコックさんと私は少しくらくらとした。アレキサンドライトさんは幅広いジャンルの音楽を聴かれる。ビルエバンスの銘盤「ワルツ・フォー・デビー」のなかの1曲から始まったOFF会は、その後様々なジャンルのCDの曲が流されたが、そのいずれもが密度感のある美音系の素晴らしい音で、頭の中は「!」の感嘆符で満たされ続けていた。そして「CELLOの部」の最後を締めくくったのが、モーツァルトのヴァイオリンソナタ K.304であった。

 母親を急な病で失った悲しみが、やがて浄化されて澄み切った時間の中に溶け込んでいくかのような移ろいの感覚が、CELLOの巨大なスピーカーから手に取るように如実に聴きとることができた。「音楽性が高い・・・」高度なオーディオ性能と高い音楽性・・・その両立は稀有なものであるが、アレキサンドライトさんのこの部屋では、それが成し遂げられていた。

 「CELLOの部」のみで既に十二分にお腹いっぱいであったが、後半の「JBLの部」に向けて、2階に移動した。2階のリスニングルームの扉を開けると、そこにはアレキサンドライトさんの「オーディオの夢」がこれでもかといったくらいに積み込まれていた。

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5931:玉虫色

2022年05月28日 | ノンジャンル

 まずは、ゲイン切り替えから試してみた。これは使うスピーカーの能率との関係が大きい。能率が90dBを超えるような高い能率のスピーカーであれば、ゲインは26㏈でいいであろうが、Guarneri Mementoは能率が88dBと平均的な能率のスピーカーである。そういう普通の能率のスピーカーの場合、ゲインは32㏈の方が良いと言われている。

 試しに切り替えながら比較試聴してみた。当然同一の音量で聴こうとする場合、プリアンプであるCHORD CPA5000のボリューム位置が変わる。32㏈ではいつも聴く音量レベルであれば、9時から10時くらいに収まる。一方26dBにした場合、12時から1時くらいに移動する。精神衛生上、プリアンプのボリューム位置は10時あたりであってほしいので、32dBの方が安心感ある。

 また音の印象も、32㏈の方が躍動感があるように感じられる。パワーアンプのゲインが大きくなるということは音に対する支配力の按分がプリアンプよりもパワーアンプの方が強くなるということであろうから、Model2の音の潜在的な質感は、その見た目とは裏腹に結構熱いものなのかもしれない。

 背面にあるもう一つの小さなトルグスイッチは入力インピーダンスの切り替えを行うものである。上にあげると「Hight」下に下げると「Low」との表記がある。数値的には「Hight」は36kΩで、「Low」は600Ωである。

 これは組み合わせるプリアンプの出力インピーダンスとの関係が大きい。プリアンプの出力インピーダンスに比べてパワーアンプの入力インピーダンスは高い方がよく、できれば10倍以上の数値が望ましいと言われている。

 CHORD CPA5000の出力インピーダンスの値は100Ωである。「Low」の600Ωでも6倍であるので、音質的には問題がないはず。「Hight」の36kΩなら36倍である。高ければ高いほど良いというものでもないであろう。「過ぎたるは及ばざるがごとし・・・」という可能性もある。

 この入力インピーダンスの切り替えで音はどのように変わるのか・・・一言で言うとコンサートホールのどの席に座って聴くのかといった変化と同じような変化を感じた。

 「Low」では1階の後方の席、あるいは2階席に座った印象である。音楽全体を落ち着いた精神状態で俯瞰できる。長い時間聴いていても疲れないので、2時間通して聴いていても大丈夫な感じである。

 一方「Hight」にすると、席はぐっと前方に出る。1階席の前の方に座った時に聴こえる音の景色に似てくる。全身を音が包む。濃厚に音と接触する。短い時間しか聴けない場合には、こちらを選択したくなるかもしれない。イタリアンローストのコーヒーの味わいである。

 オーディオマニア的な視点でとらえると、高いゲインで、入力インピーダンスはHightという組み合わせが好ましいとの判断になるのであろうが、音楽マニア的な視点からは、ゲインはやはり高い方を選択するが、入力インピーダンスは600Ωを敢えて選択するということも十二分にありうるというのが、私の判定である。

 少々「玉虫色」の判定ではあるが、オーディオにおける2者択一の選択基準というものは一律に正解があるわけではない。見る角度によって色が変わる「玉虫色」の世界なのである。

 Jeff Rowlandのフロントパネルは銀色に輝いている。モデルによってはこのフロントパネル、ブラック仕様があったと記憶しているが、「玉虫色」仕様を出したなら人気が出るであろうか・・・「いや、それはないな・・・」とその思い付きは数秒後に却下された。 

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5930:A7

2022年05月27日 | ノンジャンル

 Jeff RowlandのModel2の発売は1994年であるので、28年前のパワーアンプということになる。ほぼ30年という年月が経過しているわけであるが、そのデザインは古さをほとんど感じない。

 特徴的なフロントパネルの意匠は現在のモデルでもほとんど変わっていない。加工精度の高さを感じさせるその外観はとても美しく、精緻である。真ん中には真四角のスタンバイボタンがあり、淡くオレンジ色に光る。

 そのスタンバイボタンを見ていると1981年に発売されたYAMHAのプリメインアンプのことが思い浮かぶ。Aのあとに数字が置かれたシリーズで、その一連のモデルの中間モデルであったA-7である。

 YAMAHA A7は電源スイッチの意匠が変わっていた。半透明の樹脂製の真四角のボタンになっていてONにすると淡くボタン自体が光る仕組みであった。電源スイッチ以外にも二つ同様のスイッチがフロントパネルに配置されていて、その光る色がそれぞれ違っていた。その独特の意匠はYAHAMAらしい優れたセンスを感じさせてくれた。

 Jeff RowlandのModel2にも同様な意匠のスタンバイボタンがあり、なんとなく嬉しく感じた。YAMAHA A7のサイズは、幅435x高さ133x奥行365mmである。この時代の国産プリメインアンプとしてはスタンダードなサイズ感である。

 Jeff RowlandのModel2のサイズは、幅445x高さ133x奥行362mmである。YAHAMA A7のサイズとほぼ同じである。このサイズ感・・・私にはとても心休まるものを感じる。

 「適切なサイズ・・・」というものがあるか否かは人それぞれの感性によると思われるが、こういったサイズ感は、1970年代から1980年代の日本のオーディオブーム時代の製品を目にしてきた者にとっては、とてもしっくりとくるものである。そして、オーディオラックに収めた際の落ち着き具合がとても良いのも、このサイズならではである。

 そのJeff RowlandのModel2を中古で取得したのであるが、価格は250,000円であった。美しいフロントパネルにはキスなどは一切なく、その輝きにも曇りがない。経過年数を考慮すると非常に良い状態をキープしている個体と言っていいであろう。

 Jeff RowlandのModel2のフロントパネルにはスタンバイボタンがあるだけであるが、背面にはメイン電源スイッチ以外に二つの小さなトルグスイッチがある。

 一つは入力インピーダンスの切り替えを行うスイッチである。36kΩと600Ωとに切り替えられる。もう一つは、ゲインの切り替えである。スイッチを上下することにより26dBと32dBに切り替えることができる。

 この二つのスイッチ。とても小さく目立たない。しかし、その切り替えのによる音への影響力は相当大きなものがある。どちらがより好ましいかは当然組み合わせるプリアンプやスピーカーによって異なる。

 我が家では、プリアンプはCHORD CPA5000、スピーカーはSONUS FABER GUARNERI MEMENTOである。その組み合わせにおいて、二つの小さなスイッチを切り替えてみて、その選択の是非を再検証してみた。

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