営業マンが在庫確認のためにテーブル席から離れた。「どうする、どれがいいかな・・・?」私は呟くように言って、VW PASSAT、Audi A4、Audi A6の見積書も取り出して、BMW 523iの見積書と一緒にテーブルに並べた。4枚の見積書がテーブルの上に綺麗に並んだ。
「一番いいと思うものを、『せいのっ!』で指さそうか・・・?」
私がそう言うと、「いいね・・・それ・・・」と妻は軽く応じた。
「せいのっ!・・・」
私はBMW523i、妻はPassatを右手の人差し指で示した。
「やっぱりね・・・そうくるよね・・・」
私がそう言うと、妻は「これが一番安いでしょう・・・」と応じた。
「でも、BMWの値引額凄いでしょう・・・これはお得だと思うよ・・・」
「お得ね・・・そう言われてみればお得かな・・・」
「絶対にお得・・・」
妻は車にはとんと興味がない。しかし、乗り心地に関してはうるさい。運転はしなので、助手席か後席での乗り心地に関して、結構的確な指摘をする。
確かに運転手は乗り心地以外の様々なインフォメーションを感知するので、幾つかの評価指標を総合して車を判断するが、運転しない妻は唯一乗り心地で車を判断する。
結果として「どれも乗り心地が良かった・・・」ということなのであろう。「なら、一番安いものが良い・・・」という判断となる。
二人の間には深い溝が横たわっているような気がした。その溝の深さは確かに深い。しかし、その溝を越えるために、ひょいと飛ばないといけない幅はそれほど広いものではなかった。
私は右の眉を少し上げた。そして、もう一度その動作を繰り返した。
「お得なら・・・BMWにする・・・?」
妻がそう言ったので、ほっとした。
来年にはフルモデルチェンジするBMW 5シリーズをこのタイミングで購入するのは、巨額の値引も大きな要因ではあったが、エクステリアデザインが、私が最初に所有したBMWであるE38を彷彿とさせるものであったことも選択の要因であった。
E38は20年も前の車であるので、細部を見れば現在のBMWのデザインとは大きく異なるのであるが、その全体としてのいでたちのようなものに、523iと共通の風情を感じた。
E38は、ワイド・アンド・ローのプロポーションを強調するエクステリアデザインで、その姿は歴代の7シリーズのDNAを引き継ぎ、流麗であった。
「一番いいと思うものを、『せいのっ!』で指さそうか・・・?」
私がそう言うと、「いいね・・・それ・・・」と妻は軽く応じた。
「せいのっ!・・・」
私はBMW523i、妻はPassatを右手の人差し指で示した。
「やっぱりね・・・そうくるよね・・・」
私がそう言うと、妻は「これが一番安いでしょう・・・」と応じた。
「でも、BMWの値引額凄いでしょう・・・これはお得だと思うよ・・・」
「お得ね・・・そう言われてみればお得かな・・・」
「絶対にお得・・・」
妻は車にはとんと興味がない。しかし、乗り心地に関してはうるさい。運転はしなので、助手席か後席での乗り心地に関して、結構的確な指摘をする。
確かに運転手は乗り心地以外の様々なインフォメーションを感知するので、幾つかの評価指標を総合して車を判断するが、運転しない妻は唯一乗り心地で車を判断する。
結果として「どれも乗り心地が良かった・・・」ということなのであろう。「なら、一番安いものが良い・・・」という判断となる。
二人の間には深い溝が横たわっているような気がした。その溝の深さは確かに深い。しかし、その溝を越えるために、ひょいと飛ばないといけない幅はそれほど広いものではなかった。
私は右の眉を少し上げた。そして、もう一度その動作を繰り返した。
「お得なら・・・BMWにする・・・?」
妻がそう言ったので、ほっとした。
来年にはフルモデルチェンジするBMW 5シリーズをこのタイミングで購入するのは、巨額の値引も大きな要因ではあったが、エクステリアデザインが、私が最初に所有したBMWであるE38を彷彿とさせるものであったことも選択の要因であった。
E38は20年も前の車であるので、細部を見れば現在のBMWのデザインとは大きく異なるのであるが、その全体としてのいでたちのようなものに、523iと共通の風情を感じた。
E38は、ワイド・アンド・ローのプロポーションを強調するエクステリアデザインで、その姿は歴代の7シリーズのDNAを引き継ぎ、流麗であった。