Lo-Dは日立のオーディオブランド。既に消滅している。オーディオブームのさなか、他の大手家電メーカー同様、立ち上げられたブランドである。比較的地味なブランドであったが、その確かな技術力に支えられ幾つかのヒット製品を世に送り出した。
その代表的存在が、HS-500である。K&Kさんは、HS-500に魅了されたオーディオファンの一人である。しかし、特異なのはその魅了され具合の深さである。
フロントはHS-500をスタックしてマルチアンプ駆動。さらにリアにもHS-500が鎮座している。そのリアもマルチアンプ駆動。さらにスーパートゥイーターとサブウーファーが加わる。アンプは全てSANSUI。MOS-FETを素子としている。
前回お邪魔したのは2年程前。その時はリアはマルチアンプ駆動ではなかった。さらにアンプもすべてがSANSUI製には統一されていなかった。
アンプがSANSUI製に統一されたためであろうか、記憶のかなたの音との対比では、音の表面がよりまろやかな質感を有しているように感じられた。
解像度はしっかりと保たれているが、音に硬さがない。柔らかな弾力感が心地良い。これはSANSUIのアンプの特質なのであろうか。MOS-FETという素子がその音の特徴を形作っているのかもしれない。
K&Kさんのリスニングルームは広い。オーディオシステムの横には巨大なグランド・ピアノが控えている。全体ではどれぐらいの広さであろうか、20畳近いような気がする。その広い空間をオーディオとピアノで仲良く半分づつに使っていらっしゃる。
ピアノとの同居はわが家と同じである。さらに石井式リスニングルームにリフォームされている点もわが家と同じである。
しかし、その広さは大きく違う。狭いなかオーディオとピアノが肩を寄せ合っているわが家と違い、のびのびその広い空間を共有している。
SACDマルチの音は、とても自然な空間表現である。微粒子感溢れる繊細な音が空間に広がる。K&Kさんは最近奥さんと一緒にスイスのモンブランを制覇された。リスニングルームには、そのスイスの空気を思わせるような爽快感溢れる音が溢れていた。
K&Kさんのお宅を後にした私は、元町・中華街方面に向かった。PARAGONとG1 GIYAが同居する「竜宮城」にお邪魔する予定が入っていたのである。