リスニングポイントに置かれた3人掛けのソファに座ると視線の先にはMAGICO A3の凛とした姿があった。そしてその2本のスピーカーの間の床には、オーディオーボードの上にうやうやしくセットされたパワーアンプの姿があった。
そのサイズは横幅は480mmぐらいであろうか・・・高さは200mmほど、奥行きは500mm近い。巨大と言うほどではないが、パワーアンプらしいかなりしっかりとしたサイズである。重さもきっとそれなりにあるはずで、一人で持ち上げようとすると腰を痛めるかもしれない感じである。
通常サイズのラックには収まり切らないサイズのパワーアンプを購入した場合、スピーカーの間の床の上にボードを敷いてセッティングすることはよくあることである。私もオーディオを始めた当初、かなり大きなサイズのパワーアンプを使っていたので、そのようなセッティングをしていたことがあった。
私は少し近づいてその型番を確認した。そのパワーアンプはCLASSE CA-201であった。両サイドはブラック、そしてそれ以外はホワイトで横のラインが精悍な感じである。真ん中に丸いスタンバイボタンがあり、その上に黄色く光るパイロットランプと「CLASSE」と記されたメーカーのロゴがある。実に精悍な外観である。
そして、横長の3段ラックには、見慣れないプリアンプの姿もあった。電源部と本体が別躯体になっていて、2段重ねの構造である。こちらもプリアンプとしてはかなりしっかりとした躯体を有していると言えるであろう。やや右側に寄った位置にブラック仕上げの部分がありそこには左右に回す特徴的なボリュームダイヤルがある。
本体の左側にはセレクトしたポジションやボリュームレベルを示す表示板があり、文字は赤く輝いていた。躯体の右端には本体にも電源部にも等しく「Ω」のマークが刻まれていた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/30/55/fe3a45789ffd2f7435a57d5218b436c3.jpg)
「これは、パワーアンプと同じくCLASSEのオメガ プリだな・・・プリもパワーも2000年前後の製品であるはず・・・20年程前の製品か・・・もちろん中古品であろう・・・しかし、前のオーナーが大事に使われていたのであろう・・・傷一つない綺麗な外観を保っていいる・・・・」と興味津々に、それらの試聴機を眺めていた。
従来のレギュラー陣である、COPLANDのプリアンプとパワーアンプもラックの片隅に佇んでいた。その姿は相変わらずの美しさを保っていたが、新たにリスニングルームに侵入してきた「新入り」に対して、少々警戒感を有している「先住猫」のような表情も見せていた。
大川さんはコーヒーを木製のトレイに乗せて運んできてくれた。それらは、ソファの前のテーブルの上に置かれた。
「クラッセですね・・・このプリアンプはその当時のフラッグシップじゃなかったですか・・・?」と私は問いかけた。
「ええ、そうです発売は1999年です。かなり気合の入ったモデルで、コストも相当かかっています。新品の価格は確か200万円近かったですが、中古品ならその4分の1くらいで購入できます。パワーアンプは同じくクラッセのCA-201です。こちらはその当時のクラッセの中堅かエントリー的なポジションのパワーアンプです。これでもそれなりのサイズですが、このプリと純正の組合せとして販売されてていたオメガ パワーだと恐ろしく巨大になり、重量も160㎏ほどにまでなりました。」
「これは、もう購入されたんですか・・・?」
「パワーはヤフオクで程度の良いものがあったので、落としました。落札価格は20万円にいかなかったです。プリは、実はこれ、小暮さんのところの在庫なんです。無理を言ってちょっとお借りしているんです。」
「そうでしたか・・・このパワーアンプが20万円未満なら、良い買い物だったと思いますよ・・・このプリ、小暮さんのところで幾らで販売してるんですか・・・?」
「オメガ プリは58万円です。コンデンサーなどの消耗部品は全て交換されているので、こちらも相当にお買い得だと思っているんです・・・」
「なるほど・・・従前のCOPLANDに比べると、かなりしっかりとした駆動力を有している感じを受けますね・・・特にこのプリアンプ、フラッグシップだけあって、何だが凄いオーラが出ています。電源分も別躯体だし・・・相当なこだわりを感じます・・・」
「論より証拠でですから、早速聴いてみましょうか・・・」
ということで、CDが1枚取り出されて、CDトランスポートであるORACLE CD2000にセットされた。DACはこのトランスポートとペアを組んでいるZanden Model5000である。大川さんのところにはもう1系統KRELLのペアがあるが、トランスポートの具合が悪いようで現在はベンチを暖める存在になっている。