AcousticTao

趣味であるオーディオ・ロードバイク・車・ゴルフなどに関して経験したことや感じたことを思いつくままに書いたものです。

3118:ギリギリバトル

2014年09月30日 | ノンジャンル
 正丸峠の頂上で恒例の記念撮影を済ませ、帰路についた。風を切って下り基調の帰り道を勢いよく走っていった。

 帰路で越えるべき峠は二つ。一つは小沢峠、もう一つは笹仁田峠。どちらも小さな峠である。ゆっくりと越えるのであれば、さほどの障壁ではない。しかし、ミニバトルに参戦するとなると話は違う。メインの峠で疲弊した脚と体にさらなるダメージが加わる。

 小沢峠まで軽快にトレインは走った。小沢峠に向かう交差点を右折するとやがて上りが始まる。最初はゆったりと上っていくが、すぐさまペースが上がり始める。

 ミニバトルに参戦するメンバーはトレインの前の方へ移動する。そしていよいよバトル開始である。ペースが上がっていき、ロードバイクの走行音とそれを走らせるエンジンの排気音も高まってくる。

 中盤からリーダーはトップを快走し、私とTさんがそれに次ぐ二番手のポジションを争う形となった。私のORBEA ONIXとTさんのLOOK 566は文字通り横並びになって走った。それぞれの前輪と後輪はぴったりと位置が合わさり、完全にシンクロしながら、坂を進んでいった。

 普段であれば前後に連なり機を見てペースを上げてそのポジションを入れ替えたりするのであるが、今回はぴったりと並走する形で上っていった。

 駆け引きという要素がほとんど入り込まないガチンコ勝負である。「ここは後ろに着けて様子を見て、最後でスパートする・・・」といった考えは沸いてこないようなバトルであった。

 ただただクランクをめいっぱい回し、激しく酸素を吸い込み、その前輪をすぐ隣で勢いよく回る相手の前輪の少しでも前にもっていこうとする・・・単純な意志のみで成り立つ並走勝負である。

 とても苦しかった。まさにギリギリという感覚である。体はほぼ限界・・・でもなぜかしら心の奥底では喜んでいた。「これがしたかった・・・正丸峠では叶わなかったが・・・これこそギリギリバトルだ・・・」

 ゴールが徐々に近づいてきた。ずっと続いていた横並び状態から、ORBEA ONIXが少し抜け出た。「このまま逃げ切れるかも・・・」心のなかには柔らかな安堵の風が少しだけ吹き込んできた。

 シッティングではペースを保てなくなったので、ダンシングに切り替えた。呼吸も心拍もギリギリである。表情は苦悶にゆがむ。

 ゴールが目前に迫った。その時私の右サイドに白い風が後方から強く吹いてきたように感じた。LOOK 566のラストスパートである。「速い・・・やはり来たか・・・」

 一旦LOOK 566の前輪はORBEA ONIXの前輪に並んだ。再度完全なる横並び状態が生じた。私も瞬間的に応戦した。クランクに込めるパワーをマックスに・・・そのまま、もつれ合うように2台のロードバイクは小沢峠の頂上に達した。

 小沢峠での「ギリギリバトル」を終えると、私は上半身をハンドルにもたれさせ、呼吸を整えようとした。これで完全に消耗しきった。最後の最後まで緩むことのないバトルであったので、その疲労度はずっしりと重かった。

 帰路にはもう一つ笹仁田峠が残っていた。「今日は参戦できるであろうか・・・かなり体にきているが・・・」よほどのことがない限り毎回参戦している笹仁田峠での高速バトル・・・棄権はしたくなかった。

 小沢峠を越えて走っていくと、笹仁田峠が近づいてきた。その前にあるほんのちょっとした上りでも息が切れた。

 笹仁田峠の上りに差し掛かった。ここは緩やかな上りで距離も短い。私は密かに「デザート」と名付けている。「デザートは別腹だからな・・・きっと大丈夫・・・」そう自分に言い聞かせながら、上り始めた。

 「デザート」にスプーンを突っ込んだのは私を含めて3名であった。3名がそれぞれ順次先頭を勢いよく引いていき、スピードがぐんぐん上がった。

 やがてハイスピードのまま最後のスプリントポイントへ突入した。「ベツバラ、ベツバラ、ベツバラ・・・」心のなかで密かに叫びながら、ダンシングでペダルにありったけのパワーを注ぎ込んだ。

 51歳の老いた肉体は、理不尽な脳からの指令を果たそうと懸命に働いた。その理不尽さに抗弁することもなく2本の脚はクランクを回し続けた。

 「ベツバラ」が「バラベツ」と聞こえる頃合いに笹仁田峠の頂上を越えた。惰性で峠の向こう側へ下りながら、「ごちそうさま・・・」と小さな声でぼそっと呟いた。これで完全なる「お腹いっぱい」状態に・・・
コメント

3117:後目線

2014年09月29日 | ノンジャンル
 山伏峠を越えて下りに入った。すると相当差が開いたはずだと思っていたTさんのLOOK566がすぐ前に見えた。下りであるが、めいっぱいのスピードにはのっていなかった。

 「あれ、なんだかおかしな・・・」そう思いながら下りの途中でTさんをかわした。実はこの時Tさんは脚を攣っていた。

 下り終えて右に折れながら正丸峠の上りに場面は移転した。下りで少し体は回復していた。上り始めからハイペースでクランクを回した。

 Tさんの様子が少しおかしいとは思いながらも脚を攣っていたとは分からなかったので、きっとこの上りですぐに追いついてくるだろうと思っていた。

 上り始めるとやがて、バイクルプラザのチームジャージが見えた。先にスタートしたメンバー3名が一緒に峠道を上っていた。

 山伏峠を上りきるまでに先行メンバーを3名かわせたので、前を行く3名を一気にかわせれば、先行スタートしたメンバー全員に追いついたことになる。

 そのエメラルドグリーンのジャージに視線を固定し、引き上げてもらった。やはり前方に目標があると気持ちが楽になる。

 後ろからTさんが追いついてくるのではという後目線だけだと、焦って疲れが募るが、前に追いつくべき目標が設定されると、走りが俄然アグレッシブになるのである。

 心のなかで「良かった・・・」とつぶやいた。クランクを回すペースは落ちることはなくハイペースを保つことができた。徐々にその3名に近づいていった。

 そしてその右側を走り去った。「頑張ってください・・・」まだ声をかける余裕があった。右に一旦膨らんで走り、少ししてからまた道の左側に軌道を修正した。

 正丸峠の上りは終盤に入った。頂上が近づきつつあった。すると、私の右側をぐんとスピードを上げて抜き去るロードバイクが・・・「Tさんがやはり来たのか・・・」と一瞬思った。

 しかし、そのロードバイクはLOOK566ではなかった。さっき抜いた先行スタートしたメンバーの一人がラストスパートしたのであった。

 スパートするにはゴールまで少し距離があったが、そのスパートに反応して私もスピードを上げた。

 正丸峠の上り道は路面状況が悪い。タイヤを凹凸のある路面で少し跳ねさせながら、そのメンバーの右を再度すり抜けた。メンバーがスパートしてくれたので、その勢いを借りることができた。

 頂上が見えた。後方から追ってくる機影は見えなかったが、ダンシングに切り替えてスパートした。ゴールして峠の茶屋の前にORBEA ONIXを立てかけた。

 遅れてゴールしたTさんと話をした。山伏峠の頂上でふくらはぎを攣ったとのことであった。脚が攣ったまま下り、そして正丸峠を痛みに耐えて上り終えた。

 Tさんの脚が攣らなければ、追いつくことはできなかったであろう。あるいは正丸峠の上りの終盤でどうにか追いつき、かなりハードなバトルが勃発したであろうか・・・「ギリギリバトルがしたかった・・・」そういう気持ちが心の奥底にうっすらと沈殿した。

 その思いはすぐさまかなえられることとなった・・・帰りにもミニバトルが待ち構えていたのである。


コメント

3116:秋晴れ

2014年09月28日 | ノンジャンル
 季節は秋の深まりを着実に見せ始めていた。朝の7時にORBEA ONIXに跨って家を出て、集合場所であるバイクルプラザへ向かう遊歩道を走っている時、太陽の照射角度が以前と比べて随分と低いものになっていた。東に向かって走るこのコース、太陽の角度が低くなると太陽光がまっすぐに目に入ってくる。

 真冬の頃になるとその角度はとても低くなり、サングラスをかけていても視界の確保が難しほどである。徐々に下がるその角度に秋の深まりを実感した。

 朝のうちは肌寒く感じるほどであった。昼頃には27度ほどまで気温が上がると天気予報では言っていた。その頃には無用の長物となる可能性が極めて高かったが、ウィンドブレーカーを着こんで走った。

 今日のロングライドの目的地は「正丸峠」に決まった。チームでのロングライドにおける定番峠である。道も行き慣れた道である。

 爽やかな気候のなか、緑色のトレインは颯爽と進んでいった。西武多摩湖線に沿って走っている遊歩道を今度は来た時とは逆に西へ向かって走る。そして旧青梅街道へ入りしばらく進んでから岩蔵街道に入った。

 今日の爽やかな天候に誘われたのであろう、道すがらいつもよりも多くのローディーを見かけた。「この天気なら走りたくなるよな・・・」家でくすぶっているのが精神衛生上悪いような素晴らしい秋晴れである。

 やがて最初の休憩ポイントであるファミリーマートに着いた。ここでトイレ休憩を済ませ、エネルギー源を補給した。

 ここには店の前にベンチが数個置いてある。皆そこに腰を降ろし冷たい飲み物や補給食を口にする。南向きのそのベンチには陽光がさんさんと降り注いでいる。その太陽光を浴び続けていると暑くなってくる。もちろん真夏の日差しのように強烈ではないが、まだまだ力強さを秘めた陽光である。

 しばしの休憩後、山伏峠の上り口を目指した。周囲の景色はどんどん鄙びた雰囲気を纏い始める。空気はより清涼なものとなり、所々で川のせせらぎの音が響く。そのような穏やかな風景のなかを進むロードバイクの乾いた走行音は、人工的なものではあるが、自然な音のように響く。風の音の親戚か何かのように・・・

 山伏峠の上り口には今日も多くのローディーの姿があった。ここで一息入れてから皆上り始める。ゴールは正丸峠である。一旦山伏峠を上り切り、少し下る。途中で右に折れて正丸峠の上り口へ入り込んでいく。山伏峠の上りは4kmと少し、1kmほど下って、正丸峠までの上りは1.5kmほどであろうか・・・

 今日の参加者は11名。ゴール地点にほぼ同じ頃合いに着けるよう、先行して数名のメンバーが順次スタートしていった。

 最終組は5名。数分遅れでスタートした。少し行くと工事のために片側交互通行になっている区間があった。タイミング悪く直前で自動的に切り替わる信号が赤に変わった。2分そこで待たされる破目に・・・これで先行したメンバーにさらなるアドバンテージが与えられてしまった。

 120秒の待ち時間が終わり、信号が青に変わった。5台のロードバイクはいつもよりも速めのペースで坂を駆け上っていった。「正丸峠に着くまでに先行メンバーを全員かわさなければ・・・」少し焦りもあった。

 山伏峠は所々斜度がきつくなるが、激坂系ではない。中盤辺りから5台のロードバイクはその出せるスピードの差異によって縦に伸び始めた。

 山伏峠の上りで脚を使いきってしまうと、正丸峠の上りで失速してしまう。しかし、安全に行きすぎると、前を行くメンバーに完全に取り残されてしまう。その兼ね合いが難しい。

 山伏峠の中盤は少し抑え気味に、そして後半へ向けて少しづつペースを上げていった。山伏峠の頂上を越えた時、最終組の5名のうち2名のメンバーが私の前を走っていた。リーダーは相当前を行っているはずである。LOOK566を駆るTさんも相当速いペースで山伏峠を駆けあがっていったので30メートルほどの差がひらいているはずだと思った。

 しかし、正丸峠の上りに入ればもしかしたらゴール直前でTさんに追いつけるかもしれないとかすかな期待を抱いていた。そして、山伏峠の頂上を越えて、下りに入った。するとそこには意外な光景が・・・
コメント

3115:第二勢力

2014年09月27日 | ノンジャンル
 バイクルプラザRTで他を圧倒する一大勢力を有しているメーカーがORBEAである。先週のヤビツ峠へのロングライドに参加した9台のロードバイクのうちなんと5台までがORBEAであった。

 ORBEAはスペインのメーカー。特にメジャーなメーカではなく、一般的な知名度はそれほど高いわけではない。しかし、その優れた性能とCP比の高さが隠れた人気となっている。

 9台のうち5台がORBEAだとすれば、残り4台はどの様な内訳であったか・・・2台がRIDLEY、そして残り2台がBHである。

 RIDLEYはベルギーのメーカーである。実はこのRIDLEYの最軽量フレームであるHELIUM SLは次期フレーム候補の一つに上がっている。

 BHはORBEAと同じスペインのメーカー。このBHの最軽量フレームはUltralight・・・名前からして軽そうであるが、そのUltralightが2015年モデルではUltralight Evoに進化した。フレーム単体で700gを切る重量のようである。フォークと合わせても1kgを超えないとのこと・・・これも良さそう・・・早速次期フレーム候補にピックアップされることとなった。

 2015年モデルからEvoがその名前に加わったUltralight・・・2014年モデルと比べると、見た目だけでは大きな変化はないようである。

 2014年モデルのインプレを雑誌で読んでみると、「単に軽いだけでなくいろんな要素がバランス良く高次元で融合されている・・・」と書かれている。まあ、オーディオ雑誌と同じで、サイクル雑誌のインプレ記事は良いことしか書いていないから、話半分に聞いておいた方が賢明ではあるが・・・



 実は先週のロングライドには参加していないが、チーム内にRIDLEYはもう1台存在し、BHも同じくもう1台存在する。つまりそれぞれ3台・・・二つとも一大勢力のOEBEAに次ぐグループなのである。

 さて、もしも私がRIDOLEY HELIUM SLを次期フレームとして選択すると、チーム内でRIDLEYは4台となって第2位の勢力を有することとなる。

 もしも、BH Ultralight Evoを次期フレームとして選択したとなると、同じくBHが4台となってORBEAに次ぐ勢力を有することとなる。

 「この二つどちらも良さそう・・・さらにScott ADDICT SLも捨てがたい・・・」などなど、心は千々に乱れる・・・まあ、どうでもいいことではあるが、楽しくもある。
コメント

3114:活用法

2014年09月26日 | ノンジャンル
 「弱虫ペダル」のテレビ放送第1期分38話まで観終わった。一区切りあるところで終わるのかと思っていたら、見事にその期待は裏切られた。めちゃくちゃ良いところで終わった。とてもその先が気になる。

 テレビ放送第2期分は10月6日からテレビ東京で始まる。それを待って毎週録画するか、あるいは漫画の単行本を入手して一気にその先の話を読むか・・・現在思案中である。

 YouTubeでの「弱虫ペダル」は、単に観るだけでなく別の活用法もあった。固定式ローラー台でクランクをもくもくと回している時に、観るのである。特に気分が盛り上がるシーンが入っているところを・・・

 「1年生レース」「合宿での1,000kmレース」「インターハイ」などの幾つものシーン・・・それを観ながらローラー台で汗をかいていると、無味乾燥で刺激のないローラー台での練習がけっこう熱の入ったものになる。

 多くの人が感じるであろうが、ローラー台でのトレーニングは退屈で面白みのないものである。風は吹かない(わざわざ扇風機を用意する人もいるが・・・)風景は変わらない、一緒に走っている人は当然いない(ジムでエアロバイクを使っている時は隣の人がダラダラ汗を流す私を怪訝そうに見ている時はあるが・・・)。その状態である程度追い込んだトレーニングを継続的に行っていくには、それなりのモチベーションなり意志の強さを持ち合わせていないと難しいものである。

 私の場合は一日置きなのでそれほどでもないが、なにかしら背中を押す要素がないと一日置きであっても続かないものなのである。

 「今日は仕事が忙しかったから・・・疲れたな・・・」

 「ちょっと風邪気味かな・・・体がだるい・・・」

 そんなことが頭をかすめ、ついついソファにごろっとしてしまって、根が生えて、気付いたらうたた寝していたりする。

 そんな時でも「弱虫ペダル」という餌をまいておけば、無理やり体をローラー台に向かわせることが可能となる。

 そして、退屈で辛いローラー台での練習も惰性でだらだらせずに「行け~」と心のなかで叫んでケイデンスを上げたりする。さすがに「30回転上げ」は無理であるが・・・

 「やっぱ、漫画買おうかな・・・」漫画の方は話が相当進んでいるようである。ド~ンと「大人買い」して一気に読むか・・・じっと待って毎週楽しみにテレビを観るか・・・思案のしどころである。
コメント