原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

私が高校教師を経験したきっかけは、自ら“選んだ”のではなく“突然降って湧いた”のだが…

2023年07月20日 | 仕事・就職
 ただ、そんな“突然降って湧いた”との思いもよらぬきっかけだったからこそ 我が高校教諭生活はあれ程に充実していたものと、後で思えるのだ。


 この話題は、本エッセイ集バックナンバー内にも幾度か既に記載しているが。

 時は、次年度より大学院修士課程生にならんとしている平成4年(1992年)春だった。
 2度目の大学時代よりずっと“勤労学生”を続けていた私は、大学院進学後も当然それを続行する予定でいた。
 特に修士課程大学院生とは、とにかく「修士論文」を作成するのが第一義だったため、授業自体はさほど多くはない。
 これが功を奏して週何日かを丸ごと仕事に当てられるのを利用して、私はそれまで続行していた「医学企業にての業務」を週3日務める契約を既に交わしていた。

 そうしたところ、大学院入学が近づく3月終わり頃のことだ。
 突然、夜遅い時間帯に我が家の電話が鳴る。 出てみると 相手は「神奈川県教育委員会」だった。
 担当者が命令口調で曰く、「貴方は4月から、県立定時制高校にて教諭として商業科を受け持つことが決定しています。」
 “寝耳に水”と言うのか、もっと言うなら“暴力的”な電話ですらあった!

 早速私が反論して、「私は元々医学関係者でもありますが、4月からは医学関係企業にて週3日の勤務が既に決まっています。 こんな時期にそんな電話を頂いても、受け入れる訳にはいきません!」

 そうしたところ 向きになった教委担当者が言うには、「これは教委からの命令です。必ず従っていただきます。 明日あなたの勤務予定高校に出向いて頂いての学校長及び教頭面談がありますので、必ず行って下さい!!」
 教委の無茶ぶりに驚きつつ、私も反論を続ける。「ちょっと話が無茶苦茶過ぎです!  それでは私側から条件を付けましょう。 報酬が多い方を選択させていただいてよろしいですか!?? 明日、勤務予定校へ行って学校長に報酬額を伺った結果、もしも神奈川県立高校教諭の報酬が私が予定している医学業務より高いようでしたら、教員を引き受けるという事でどうでしょうか?」

 教委担当者はかなり呆れつつも、それでも差し迫る4月新学期に教員欠員ではどうしようもないと考えたのであろう。 私の希望条件を承諾した上で、次の日の面談と相成った。

 そして次の日、我が勤務予定校へ単身で行ってみると。
 何とも人が良さそうな学校長と教頭2人が私を待ち構えていて、曰く。「よく我が校へお越し下さいました。 教委は何とも素敵な女性先生を紹介して下さったものです! こんな女性先生が我が校へ来て下さると、子ども達(生徒)が大喜びするでしょう! ナンタラカンタラ…」
 それを遮って早速私曰く、「私は元々医学関係者なのですが、4月から医学関連企業にての就業が決定しております。 それでも教委がどうしても面談を受けて欲しいと言うので本日参りました。 正直に伺いますが、私がこの学校に教員として採用された場合の「報酬額」の詳細が知りたいのですが。」
 どうやらこの話は教委から学校長に伝わっていた様子で、校長自らがさっそく給与体系の資料を開いて詳細を説明して下さった。
 その結果、大学生時代より非正規として採用してもらっていた医学企業よりも、教諭としての採用の高校の方がはるかに報酬が高かったのだ!!😲 

 これはもう、高校教諭の仕事オファーを引き受けるしかない! と即断した私は、その面談時に教諭としての採用を承諾した。
 (参考だが、夜間定時制高校の場合は昼間大学院生として通学しながら同時に教諭の仕事がこなせることが判明していたための、教諭⦅正確には“臨時的任用教諭”との名称だっただろうか。とにかくいずれにせよ、通常の教諭と報酬も業務内容も全く同一だった⦆としての正式採用となった。)


 その後、大学4年時より週2日ペースで派遣医学社員としてお世話になっていた某医学企業には、4月からは高校教諭として採用が決定した旨を告げ退職手続きを取った。 皆さん良き人たちばかりで、拍手喝采で私を送り出して下さった。
 結果として 私は生徒達や教員仲間に大いに恵まれつつ、その後私から「(高齢)出産退職」を申し出るまで、足掛け4年半に渡り高校教諭を充実かつ嬉し楽しく続行できたのは、我が経歴上の貴重な誇り高き過去歴でもある。
 (更に参考だが、その後高齢出産にて産んだ一人娘が5歳時に医学分野業務に舞い戻っている。)



 2023.07.19付朝日新聞、“教育の小径”コーナーに、「教職、なぜ選ばれない」なる記事があった。

 詳述は避けるが。
 これを読むと何故現在の学校教育現場における「教師」という職業価値がこれ程までに低下してしまったのか、虚しい思いにすら陥る… 

 
 私の場合、「医学」「教育」と大きな主柱2本の道程を経験してきた身だが。
 いずれの経験も我が血となり肉となってくれて、現在の我が身を大いに支えてくれている感がある。

 どちらの仕事も(内容、報酬共々)甲乙つけがたい程に、私にとっては“素晴らしい過去”を誇れる職業であることは間違いない!!
 

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