原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

人は何故 “ひきこもる” のか?

2019年06月04日 | 時事論評
 本日2019.06.04 昼のNHKニュースを視聴していると、やたら派手目のアロハシャツを着た根本厚生労働大臣が登場して、(私に言わせて貰うとその趣旨不明の)“奇妙な”発言をした。

 そのニュースを先程ネット上にて発見したため、以下に引用しよう。

 先週、川崎市で起きた小学生らの殺傷事件で容疑者の男がひきこもり傾向があったとみられていることなどについて、根本厚生労働大臣は「事実関係が明らかでなく、安易に事件の原因をひきこもりなどと結び付けるのは厳に慎むべきだ」と述べた。  先週、川崎市で起きた小学生ら20人が包丁で刺され、死傷した事件では、自殺した容疑者について親族がひきこもり傾向にあると自治体に相談していたことが明らかになっているほか、農林水産省の元事務次官が44歳の長男を刺したとして逮捕された事件では、元事務次官は、警察の調べに対し「長男はひきこもりがちで家庭内暴力があった」と供述している。
 これらの事件について根本厚生労働大臣は、閣議のあとの記者会見で「大変痛ましい事件が続いている。さまざまな方が意見を表明しているが、事実関係が明らかではなく、安易に引きこもりなどと結び付けることは厳に慎むべきだ」と述べました。
 一方、根本大臣は「ひきこもりへの対策は個人の状況に寄り添い、きめ細かく支援しながら、社会とのつながりを回復することが重要だ」と述べたうえで、ひきこもりなどが原因で社会的に孤立したり、家庭内の問題が複雑になっているとして、引き続き誰もが相談しやすい体制の構築などに取り組む考えを示した。
 (以上、ネット情報より引用したもの。)


 一旦私見だが。

 上記ネットニュース内の根本大臣発言に関してだが。
 後半部分はよしとして。 何故、前半部分で川崎事件の容疑者及び農林水産省元事務次官にて殺害された長男に関し、「事実関係が明らかではなく、安易に引きこもりとなどと結びつけることは厳に慎むべき」との“大臣発言”を成したのだろう?
 これら二つの事件に関しては、関係者が「引きこもり」であった事実に信憑性があると私は捉えている。 要するに、彼らが「引きこもり」であった事実“こそ”が今後の事件解明のキーポイントであろうとも判断している。 
 この根本大臣の発言は、要するに特に後者事件の殺害者である元事務次官が国家関係者である事実を重く受け止めた上に、国として擁護せんと企てた結果ではなかろうか? 
 そうであるとすれば、大きな勘違いではなかろうか? 事実を正確に捉える事こそが、事件解決に際し最大の方策であろうに。 


 ここで、私事に入るが。

 後者の“農林水産省の元事務次官が44歳の長男を刺したとして逮捕された事件”を最初に見聞した時、私は実に驚かされた!
 何故ならば、当該事件が発生した元事務次官の自宅が我が家から徒歩圏内に存在する故だ。
 長男を殺害する少し前に「運動会の雑音がうるさい!」と長男が叫んだという公立小学校前を通り過ぎる事が少なからずあるし、その近くに区役所出張所があり、そこへ各種手続きに出かける用もある身だ。
 確かにあの辺は閑静な住宅地で、その一角に元国家事務次官である容疑者の自宅が存在するのだろう。 私としてはこんなに身近な地で起きた事件なのだと、何だか他人事ではない複雑な思いを抱かされたものだ。


 我が家に話題を移すと。

 幸い、我が家には“ひきこもり”素質のある人物は存在しない。

 一番心配だったのは我が娘だ。 何分、多少の事情を抱えてこの世に誕生している。
 特に娘の場合幼少の頃より“特異的寡黙症状”が顕著だったため、その対策にはサリバンとして万全を尽くしてきた。
 とにかく特に子供時代は、娘を外に連れ出す事に専念した。 雨が降ろうが槍が降ろうが、とにかく人間とは外に出て活動する動物だ!と言わんばかりに、娘ベビーカー時代より率先して娘と共に外出した。
 小学校入学後も下校後には必ずや習い事を負荷したり(送り迎えが大変だった)、それが無い日もサリバンの私が近くの公園へ娘を連れ出して、楽しく一緒に遊んだり運動したりした。
 その成果か、どうやら我が娘は学校で誰にいじめられようが、どんな辛い目に遭おうが、次の日には必ずや学校へ通ってくれた(高校など“3年皆勤賞”で卒業式にて表彰されたものだ!)。
 それは大学卒業後就職している現在も続き、我が娘は決して欠勤するようなことは一日も無く、朝が来たら眠い目をこすりつつ起きて仕事場への道程をまっしぐらだ!

 いや、それはもしかしたら我がサリバン教育指導力によるものではなく、単に娘が持って生まれたDNA資質の賜物かもしれない。


 何分、他人の資質の程は測り知れない。
 
 それぞ冒頭の根岸大臣の“奇妙発言”が物語っているのだろうか、どうなのか……

 “元農林水産省の元事務次官が44歳の長男を刺したとして逮捕された事件”に於ける犠牲者である、長男氏の成育歴の程を想像する事は不可能だ。
 もしかしたら、元国家事務次官との恵まれた環境下に生育したにもかかわらず(大変失礼な発言ではあるが)“親の育て方が悪かった”のかもしれないし。(みだりに甘やかしすぎた等々…)
 はたまたそうではなく、長男氏が持って生まれた“DNA資質”が「ひきこもり」の結末をもたらしたのか??


 ただ娘のサリバン業を“自己実現意欲満載”の我が身を犠牲にしても、徹底的に成し遂げた自負ある原左都子の結論として。

 我が子と共に誠実に歩めた自覚と実績が親にあるならば、子どもが持って生まれたDNA資質にはかかわりなく、その子を「ひきこもり」に導くすべもないのかと、少しだけ思ったりもする……