原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

安倍政権のずさんな国家省庁地方移転失策の顛末

2018年09月22日 | 時事論評
 2018.09.20に実施された自民党総裁選にて辛くも勝利した安倍晋三氏だが。
 何だか“風前の灯”感が否めない。 次の参院選後安倍氏は退陣するとの噂もあるが。

 それにしてもこの安倍勝利を受けたメディア映像を通しての、特に若い世代の反応が私は許せない!
 何だって、「安倍氏が勝利してよかった」だって!??
 チコちゃんじゃないが、「ボーッと生きてんじゃねえよ!!!」と叫びたくもなる!

 この6年間安倍氏が首相の立場で何をしでかしたのかを、その若き視点でしかと見ての発言なのか!?!
 何らの誠意もない無人格者であり、森友・加計問題に関して大ぼらを吹き通している。
 アベノミクス経済政策の大失敗により国民間での貧富の格差は広がる一方。 社会保障政策は相変わらず出遅れ、選択制だとはいえ今後80歳まで年金を先延ばしすると公言する始末。
 我が身を守りたいがためだけの目的で、無責任に北朝鮮拉致問題を何度も持ち出すし…。
 憲法に自衛隊を明記すると高らかに詠うが、憲法論議に関し、どれ程のポリシーがあってものを言っているのか未だに不明。 
 国家債務は巨大に膨らむ一方。 その巨額債務を未来に向けて負担させられる若き世代が、何故安倍を支持するんだ??


 さてそんな安倍政権の数々の失策の中から、本日は表題の「国家省庁地方移転失策」問題を取り上げよう。

 それでは早速、「『徳島へ島流しはイヤ』、消費者庁移転は官僚の抵抗で結論3年先送り 本当に移転させる気ある?」と題するネット情報を以下に引用しよう。

  試験移転でも官僚は問題点を再三強調
 徳島県での試験移転は3月と7月にあった。 3月は板東久美子長官(当時)ら10人が神山町の神山バレー・サテライトオフィスコンプレックス、7月は板東長官、全9課の課長級ら40人余りが徳島市の徳島県庁で勤務した。
 通常の業務をテレワークで進めるだけでなく、ウェブ会議システムで東京・霞が関の消費者庁記者会見室と結び、報道陣とのやり取りを実験した。 さらに、徳島市のホテルと東京、鳥取県庁をテレビ会議システムで結び、人や環境に配慮した消費行動「エシカル消費」に関するパネルディスカッションも行った。
 しかし、3月の記者会見ではしばしば音声が途絶える深刻なトラブルが発生、東京の報道陣と板東長官の間でスムーズなやり取りができなかった。 情報の漏えいを防ぐ保秘システムが未整備なこともあり、板東長官ら官僚側は慎重に言葉を選びながら、移転に問題が多いことを繰り返し強調した。
 官僚側の抵抗と歩調を合わせたように、消費者庁の外郭団体や消費者団体が移転阻止を訴える抗議行動を相次いで開催した。 国会対応や各省庁との連携が難しく、行政処分の対象となる悪質業者が圧倒的に関東に多いことなど、考えられるありとあらゆる理由を掲げている。
 河野前消費者担当相が退任会見で「反対のための反対が相次ぎ、消費者行政と地方創生の中身の議論がなかなかできなかった」というほど抵抗はすさまじかった。 官僚にとって徳島はまるで島流しだったのかもしれない。
 政府の方針が官僚の抵抗で掛け声倒れに終わるのは、竹下内閣の政府機関地方移転や橋本、小渕、森の3内閣が進めた省庁再編でも見られた。そのたびに政府は国民から強い批判にさらされている。移転判断の3年先送りには、現時点で見送りと結論し、世論の批判を受けるのを避ける思惑が透けて見える。
 政府が地方移転の範を示せなかったことで、民間企業の本社機能移転にもブレーキがかかる可能性は否定できない。 政府は本気で地方移転を進めようとしたのか、そんな疑問が生じても不思議でないほど今回の地方移転は中途半端な結果に終わった。
 (以上、ネット情報より引用したもの。)


 話題を変えよう。

 NHK総合テレビに「サラメシ」なる娯楽食番組があるが、それを私は好んで視聴している。
 少し前のその「サラメシ」に、おそらく消費者庁試験運営のために徳島県庁に出向していると思しき複数の国家職員が出演していた。
 その国家職員達が曰く、「庁舎の近くにランチ処が一つもないため、昼は庁舎内で自炊している、ナンタラカンタラ…」と言いつつ、その自炊場面と食事場面が映し出された。
 私見だが、「ちょっと待ってくれよ」だ。 その自炊の燃料等はもしかしたら、県民の血税によるものじゃないのか? 県庁側も何でそれを認めているんだ?? 相手が国家省庁の人間だから、やめろと言い出しにくいのか??
 しかもその消費者庁の職員達の仕事中の様子も映されたのだが、失礼だが何をしているのやら分かりにくい。 もしかしたらろくろく仕事が無くて、単に時間を潰しているだけの風にも見えた。(だからこそ、仕事中に昼飯自炊などしているのだろうが…)

 確かに徳島県庁本庁近辺は、ヨットハーバー以外に何も無い場所だ。 主要駅である徳島駅より徒歩なら25分程で行ける場所だが。 何分交通網の発達がほぼ無いに等しい徳島県民の普段の生活は、皆が皆マイカーに依存していて、県庁まで歩く人間は旅行中の私だけだろう。

 我が実母が県職員だったが、幾度もの転勤をずっとマイカーで乗り切っている。 
 我が娘がほんの一時だが徳島県上級地方公務員採用試験を目指そうとした時期があったが、実母からの「車の免許が無いと絶対に務まらない」の“鶴の一声”ですぐさま取りやめた経歴もある。


 安倍政権のずさんな「国家省庁地方移転政策失敗」に話題を戻そう。

 過疎地が置かれている厳しい現状を露知らず、よくぞまあ無責任にぬけぬけと「徳島へ消費者庁移転」などと高らかに掲げたものだ。

 過疎県である徳島県内の僻地に「神山町」なる山地があり、そこに何故か光ファイバーを張り巡らし、IT産業を誘引しているとの実績があるにはある。  
 私はかの地へ後にも先にもただの一度も行ったことが無いため、論議する資格は無いのだが…
 ただ想像しただけで、風景は見えてくる。 
 古い民家を改造してオフィスにしたり、現地の高齢者達がランチをサービスしたりと、県外から転入して来ているIT技術者達を日々温かくフォローしているとの報道を見聞きする。
 それは良しとして、その種の“サービス”には必ずや限界というものがあろう。 
 古民家は一見綺麗にリノベーションしているとて、台風21号レベルの巨大台風が通過したり震度7の大地震に見舞われると倒壊の危険性が否めないだろう。 現地の高齢者が温かいと甘えていられるのも、後数年ではなかろうか。
 その後神山町を誰が支えるのかと言えば、移転者達となろうが。 交通網をマイカーのみで生き抜かねばならない僻地で、神山町を支える側に回りそれを守り抜く士気が若きIT技術者達にあるのだろうか???

 まさにこの問題、国家職員達が言う通り「徳島への“島流しはイヤ」の一言に終結するだろう。

 京都府への文化庁移転は成功しているらしいが、何と言っても京都は大都会だもの。
 それと過疎地徳島とを一緒くたにする過ちを犯し、失敗した安倍政権の責任の大きさは測り知れない。