原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

庶民目線で楽しめた キエフ・バレエ公演

2017年07月25日 | 芸術
 (写真は、昨日7月24日自宅から程近い大ホールにて開催された「キエフ・クラシックバレエ チャイコフスキー夢の3大バレエ」のチラシを撮影したもの。)


 数多くの世界的スター・ダンサーを生み出してきたウクライナの名門劇場 キエフ・バレエは、2000年初頭頃より毎年日本公演を実施しているようだ。

 そのキエフバレエが、今夏は我が家に程近いホールにまで公演にやって来るというではないか!

 私がこのキエフバレエ公演情報を得たのは、4月初頭新聞の折込み広告だ。
 4月8日午前9時より電話にて前売券発売開始とのこと。 当日は9時より電話に貼り付き発信を繰り返すのだが、つながらない…  またつながらない…  
 まあ、名門バレエ団公演のチケット発売初日とはいつもこの状況なのだが、それでも執念で電話発信を続けたところ午前11時半頃だったか、オペレーターにつながった。
 かなり出遅れたと思っていたら、ラッキーにも1階の舞台上手(かみて)が観賞出来る左寄りの比較的前席をゲットだ!

 これなど、まだ恵まれている方だ。 下手をすると午後を過ぎたり、もう嫌気がさして次の日に電話したら完売御礼だったりの経験もある。


 さて、昨日公演当日を迎えた。
 学校が夏季休暇に入っていることもあり、おそらく大勢の子供連れ客で賑わっているものと思いきや。
 意外と、(私も含めて?)高齢者客が多いのに意表を突かれた。
 それもそのはず。 今回のキエフバレエは、チャイコフスキー3大バレエ「くるみ割り人形」「白鳥の湖」「眠れる森の美女」よりハイライト場面を凝縮した舞台である。
 チャイコフスキーの音楽もスタンダードナンバーばかりで誰でも耳にしたことがあろうし、バレエ自体もコールドバレエ中心の“分かり易い”人気の場面が中心だ。


 今回のキエフバレエ公演の一番の特徴は、ゲストとして日本人ダンサーの二山治雄氏と長澤美絵氏をソリストとして迎え入れていた事だろう。
 ここでご両人の紹介を簡単にしておくならば。

 二山氏に関してはご存知の方が多い事だろう。
 2014年ローザンヌ国際バレエコンクールにて見事第1位に輝いた人物だ。 当時未だ高校生だったようだが、その後2016年7月にはパリオペラ座就職コンクールで入賞して短期契約取得しつつ現在ワシントンバレエに所属しながら、両所でご活躍中との事だ。
 昨日、二山氏を初めて舞台にて拝見した私の感想を述べると。 未だ若き男性ソリストにして、身体の隅々にまで神経が行き渡るかの丁寧かつ研ぎ澄まされた表現力と技術力を備えたダンサーとみた。 必ずや未来有望であることだろう。 ひとつ気になるのは身長がさほど高くないことだが、ペアを組む相手女性ダンサーによれば、十分にバレエ界を渡っていける逸材には間違いない。

 長澤恵美氏は、今回初めて認識させていただいた。
 2005年にワガノワバレエアカデミーを卒業されているということは、ベテラン域のダンサーであられるのだろう。
 正直に書くと、今回のキエフバレエ団公演において唯一日本人女性だった訳だが、自ずとその外見的違いは客席で拝見すると一目瞭然だ。 それでも長澤氏の実力の程は素晴らしかった。 過去にも吉田都氏のごとく世界のバレエ舞台で活躍したダンサーは少なくない故に、今後益々のご活躍に期待したいものだ。


 何はともあれ世界的に著名な諸外国のバレエ団が日本に上陸し国内各地で公演を実施してくれる事とは、子どもにバレエを習わせているご家庭や一般庶民バレエファンにとっても願ってもないことだろう。

 しかも今回のバレエ公演の場合、観賞料金が実に安価なのも特徴だった。
 そもそもキエフクラシックバレエ団体とは、元々「未来ある子供達に本物の芸術に触れて欲しい」との願いのもと、ロシアバレエの著名な演出家や指導者、指揮者などにより創設されたとのことだ。
 そのようなキエフバレエ団体の趣旨と、日本国内のバレエファン及びバレエを見たいと欲する庶民間に共通の認識があってこそ、このような安価観賞料にてのバレエ公演が成立するのだろう。


 舞台の最終場面で、会場からの幾度ものアンコール拍手の後、我が隣にいた高齢女性二人が「来てよかったね」「またこんな舞台みたいね!」と本気で感動しておられた。
 そんなお二人の姿を垣間見つつ、日本にもクラシックバレエファンが根付くのかな、なる希望を得た昨日のキエフバレエ観賞だった。 
 ブラボー!!