原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

2016夏 左都子の台北旅行 失敗編 -2-

2016年08月23日 | 旅行・グルメ
 (写真は、今回の台北旅行で訪れた台湾一を誇る超高層ビル“101” B1フロアーにある スーパーマーケット入口にて撮影した映像。 本文とは一切無関係です。)


 今回の台北旅行は準備不足とは言え、台北にても日本に負けず劣らずの猛暑が予想される事態程度は事前に調査済みだった。
 しかも、娘の短期夏季休暇を利用しての今回の夏旅の場合、半年前に訪れたイタリア旅行程の日程的な余裕がない事も承知済みだ。
 更には、台湾より帰国後すぐに娘が職場へ勤務せねばならない状況をサリバン母の立場で考慮した場合、娘が疲労しない旅程を組むべきと目指すのは親心として許して欲しい。

 そこで集団嫌いな私があえて選択した一つのスケジュールとは、台北当地をとりあえず8時間のみバスツアーで一覧するスケジュールだ。
 娘にも同意を得て、出発前に8時間限定の当該バスツアーを予約しておいた。


 さて、台北到着後2日目にそのバスツアーを利用する事態と相成る。
 (参考だが、前夜に私はバスタブに後頭部の首の付け根を強打した状態だ。
 予約時には他外国人も多いとの触れ込みだったが、バスに乗車してみると日本からの観光客ばかりでウンザリ‥…。 と言うことは、これら日本人観光客と丸一日バスで過ごすという事か…… とゲンナリさせられる始末だ。

 ただ、観光バスを予約しそれに乗ったのだからしょうがない。 ここはバスガイド氏や周囲の日本人観光客と行動を共にするべきだろう。
 
 で、どうしたの?  と言いたいのは、日本人観光客達は顧客である日本人をバス内で盛り立ててくれるバスガイド氏には迎合しはしゃぐものの、観光現地にて自由行動になった時点で、現地の人達に一切の挨拶もせず勝手気ままな行動をとるのだ。(単に語学力の問題か? と思いつつ、台北ではこと観光に関しては日本語が十分に通じ、現地の人達とある程度の交流が可能だ。)
 自由行動時にこそ個々が礼節を弁えて欲しいと思う私など、何故このような行動を日本人観光客達が取るのかとのテーマを突き付けられる思いだ。 

 例えば、某博物院を訪れる。 日本人達が真っ先に訪れるのはバスガイド氏が指南したお勧めスポットだ。
 我々母娘はそのスポットがゲロ混みになる事を想定し、敢えて別フロアーを観賞する。 案の上そのフロアーは空いていて博物院の係員氏が個別対応してくれ、我々母娘に展示物の十分な説明をして下さる。 その御礼を申し上げつつ、実に得をした気分だ。

 バスツアーとて、自由時間は自分自身で判断し満喫すれば結構楽しめるものだ。
 が、バスに戻ればまた日本の民放番組のごとく、日本人観光客どもが場を盛り立てるバスガイド氏に迎合しケラケラ笑い転げる。
 それを耐えるべきだろうが、テレビを見る趣味がない我々母娘にとっては白けるばかりで辟易とさせられる。

 何でこんなバスツアーに参加してしまったのだろう、との無念の思いを募らせつつも、一応台北の観光名所を一覧出来た事に感謝するべきだろう。
 まさにバスツアーも便利に使いこなせば、短期間旅行に於いては役に立つものだ。


 今回は猛暑時期や娘の短期休暇に配慮した故に不本意にもバスツアーなどを利用したが、以後決して日本人が好むバスツアーなどに依存・同乗するものか!  なる、強靭な思いを新たにした台北にての一時のバスツアーだったとも言えよう。


 次回のエッセイより、いよいよ “失敗ではない” 我が本意の台北旅行記を綴り公開します。 

2016夏 左都子の台北旅行 失敗編 -1-

2016年08月23日 | 旅行・グルメ
 (写真は、今回台北にて宿泊したホテルの近くにて撮影した風景。 本文とは一切無関係です。)

 
 まず最初に紹介する台北旅行“失敗編”は、台湾ならずとも何処の旅行先でも起こり得るトラブルである事をお断りしておこう。

 それにしても、私はこのトラブルにより命を失うかと一瞬本気でおののいた。

 
 旅行出発前より日本は台風7号上陸が予報され、出発が叶うのかどうか気をもまされた。 ラッキーにも7号のスピードが加速し、(東北・北海道の皆様には申し訳ないが)これで我々は成田から飛び立てると安堵した。 成田に到着してみると外は風雨が強まっている様子だ。 それでも、我々を乗せた航空機は台北へ向かって飛び立ってくれた。
 その台風の影響で、出発前頃東京は湿度が高い寝苦しい夜が続いていた。 夜中にクーラーの風で喉が痛むわ寝苦しいわで、疲れ果てての出発だったことを思い起こす。

 旅行初日、台北のホテルに到着したのは19時頃と記憶している。
 「体の疲れもあるし今夜は食事だけして来て寝よう」と娘と話合い、ホテル近くの台湾レストランにて夕食を取った。 
 その後ホテルに戻って、まず私からお風呂に入る段取りとなった。


 ここで、「事件」(「事故」と言うべきだろう)が発生した。

 バスルーム内のバスタブの底がフラットではなく、丸く湾曲している事に私は気付いていた。 湯船に浸かる分には心地よかろうが、シャワー時に足元が不安定だろうと予測した途端!

 まさにボディソープを使用し始めるや否や、私は足を滑らせた。
 転倒事故は2年前にも自宅ベランダにて経験済み(左鎖骨・右手首同時骨折の重傷にて半年程苦しんだ)だが、人は転倒せんとする際、倒れ込むまでの一瞬に無意識に何かを掴んで身を守ろうとするものだ。
 私は今回、咄嗟にシャワーカーテンを掴んだようだ。

 にもかかわらず転倒は防げず、私はバスタブの縁で後頭部の首の付け根あたりを強打した。
 医学関係者の私は、咄嗟に「打ち所が悪い…」事を悟らざるを得なかった……。
 打った箇所である首の付け根が尋常ではなく痛むものの、幸いな事に意識はしっかりしていた。 

 しかも不運には、転倒中に私が掴んだシャワーカーテンの取付けバックル(プラスチック製)が私の重みで根こそぎ破壊され浴室中に散らばった状態でカーテンが外れた。
 (これは、ホテルへの損害賠償費用が発生するな)と腹をくくりつつ…

 とりあえず、娘に「事故」の報告をするべきだろう。 
 部屋にいた娘は、浴室から発生した転倒時の大音量に驚きおののいていた。
 そんな娘に私は告げた。 「今、バスタブで転んで後頭部の首の付け根辺りを強打したが、この通り意識はしっかりしている。 本来なら直ぐに病院で見て貰った方が良いのだろうが、何分ここは外国だ。 しかも夜分のこの時間にホテル内で大騒ぎして病院へ運ばれたとて、何処の国も夜間は専門医が手薄であろうことは想像がつく。 ここは意識がしっかりしている事もあるし、今夜は安静にして様子をみる。 もしも、明日悪化しているようならば一人で病院へ行くから、貴方はせっかくの夏休みなのだから休暇を楽しみなさい。 シャワーカーテンが外れてしまっている事も有るし、バスタブ内では立たずに座り込んで足元に十分注意しながらからシャワーしなさい。」

 そしてベッドに入った私の次なる課題は、“シャワーカーテン破損”に関するホテルへの損害賠償の件だ。
 とにかく明日の朝、ホテルのフロントで「事故報告」をしよう。 破損したのはプラスチック製のバックルだし、おそらく修繕費も含め大した金額ではなかろう。 旅行保険に入っているが、それに連絡していたのでは手間取るし通信費負担の方こそが膨大だろう。 ここは自腹で支払って済ませるべきだ。 などと首の痛みを堪えつつ考えていると、眠れやしない。 出発前からの寝不足に追い打ちをかけ、体が疲労していく‥…

 翌朝、早速私はホテルのフロントへ行った。 首は痛むものの、その行為が可能な程に私は気丈だった。
 フロントが日本語が出来るスタッフを呼んでくれ、事故報告が始まる。
 ところが、スタッフ氏が日本語が出来るとはいえカタコトだ。 観光業の皆さんは観光用語に関してはとても流暢だが、ことトラブル報告となると勝手が違う様子だ。
 英語も交えつつ、両者間でカタコト事故報告をしたものの、要点が通じたかどうか不安感が残る。
 私側としては、自分が転んだ事は自己責任だから自分で処理するとして、シャワーカーテン破損に関しては誠意をもって損害賠償すると伝えたつもりだ。
 が、ホテル側は私がバスタブ内で転んだ事に要点を置いた様子なのだ。 (これはホテル側としては正当な対応かもしれないが)とにかく我々が観光に出ている間に部屋に入り、バスタブの様子を見て対処するとの返事だった。


 そして、ふらつきや視力の衰えを感じるものの(これは事故のせいか寝不足や猛暑による疲れのせいか、あるいは単に自分自身の老化現象か不明だが、帰国した現在も続いている)首の痛みを我慢しつつ、娘と共に観光に出た。 

 夕方、ホテルへ戻ってフロントに結果を確認すると、やはりカタコトの日本語で「今朝の事故報告の件、対応しました。お怪我の方は大丈夫ですか?」と心配して下さる。 私が「大丈夫です、ありがとうございます。 それで、損害賠償額は如何程ですか?」と尋ねると、「必要ありません」との返答だ。
 部屋に戻りバスタブを見ると、その底に転倒防止のマットが敷かれていた。 シャワーカーテン破損に関しては、私が破損したそのままの状態で放置されていた。  
 娘と今一度話し合った。 「これ、ホテル側としては私がバスタブ内で転倒した事にいちゃもんを付けた、と判断したようだね。 ただ、シャワーカーテンを外れたまま放置してあるということは、我々が帰国後修理して、その費用額を日本まで請求してくるのだろうかね???」ときつねにつままれたまま、我々母娘は台北旅行を続ける事と相成る。


 帰国後、未だホテルからシャワーカーテン修理損害賠償請求は来ない。 
 ホテルの親切心に甘えてこの事件を一件落着させてよいものかどうか… と、未だ痛みが残る首を抱えつつ私はバスタブ転倒事故を今振り返っている。

 皆様、ご旅行の際は、くれぐれもバスタブ内で転ばないようお気を付けて!