原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

営利組織は商品・サービス価格設定根拠を消費者に明示せよ

2015年12月16日 | 時事論評
 私の住まいである集合住宅物件が現在第一回大規模修繕中である事は、バックナンバーにても公開している。
 その修繕工事に先立ち、我が家のバルコニーに個人的に設置しているタイルを除去する必要がある事を管理会社から聞き、その取扱いに関し“オプション(別料金)”にて除去及び再設置を実施する段取りと相成った。
 当該工事が完了した後に管理会社側が通達して来た「工事代金」が、予定額と食い違い安価となっている。
 それは喜ぶべきものの、私としては合点がいかない。 何故予定額より安価になったのかの説明責任が工事提供業者(長谷工だが)にはあるはずだ。 もしもその説明責任が果たせない場合、元より“どんぶり勘定”にての工事予定額を提示したものとの結論になろう。 大手企業にそんな事をさせてなるまい!との我が意気込みで、自宅まで集金に来た現場監督氏に質問をした。
 そうしたところ、現場監督氏より即時に明確な返答が来た。 「今回の工事に関しては下請け会社に依頼しましたが、元々予定していた時間より再設置作業が早く終了しました。 そのため低額となりました。」 私としては重々納得だ。 特に再設置作業は時間を要するであろうと考えていたところ、職人氏の素晴らしきプロ技により、予定より短時間で終了した事実を私も室内から見定めていた。


 話題を変えよう。

 先だって、義母の介護旅行に出かけた私だが、その際に購入するJR新幹線のチケット代金設定の多様性にも不信感を抱かされた。
 パソコンにてネット検索していると、ネットから購入すれば“格安”となるシステム(“駅ネット”とやら)を発見したのだ!  それはよしとして、そんな事は私にとっては単なる偶然に過ぎない話だ。
 しかも、それを利用可能な人物とは限定されるであろう事が歴然だ。 要するにパソコンを自由に操れるとの“少しばかりの乏しい能力”があれば、格安チケットを発券するとのシステムと考察出来よう。
 確かに、それを実行可能な顧客がそのルートでチケットを入手してくれたならば、駅員氏達の労力が多少は軽減する事だろう。
 ただこのシステムが社会的に容認されるのか否かに関して、私は大いなる疑義を抱いている。
 救うべく国民はむしろ“パソコン扱い”に手慣れていない弱者人民達ではなかろうか!?!


 冒頭に掲げたテーマに戻そう。

 本日(2015.12.16)のNHK昼のニュースによると、今まで不透明感が強かった携帯電話利用料金に関して、新たな料金体系を求める報告を総務省の有識者会議が取りまとめたとの事だ。
 以下に、その内容を要約して紹介しよう。
 上記有識者会議によれば、多額のキャッシュバックを行って新たに契約する利用者を優遇している今の販売方法を見直すことなどで、多くの利用者の通信料金の値下げにつながる新たな料金体系を求める報告をした。  この中では、大手通信各社に対して、通信の利用量が少ない人を対象に割安な料金プランを設けるよう求めている。 また他社からの乗り換えを促すため、スマートフォンの端末の価格を実質0円としたり、商品券などを提供して多い場合で十数万円に上るキャッシュバックを行ったりする、今の販売方法は著しく不公平だとして、多くの利用者の通信料金の値下げにつながるよう新たな料金体系を作ることを求めている。 さらに、割安な通信プランを提供するいわゆる「格安スマホ」の利用者を増やす対策や、中古のスマートフォンの市場拡大が必要だとすることなどが盛り込まれた。
 総務省はこの報告を受けて、電気通信事業法に基づくガイドラインを作る方針だ。

 自民党政権も何を今頃になって、庶民からの選挙票取り作戦に出たのか!、時既に遅しだよ…、  との感が否めない私であるが…。
 しかもスマホが主流化した現在に於いては、いわゆる旧式携帯電話使用者(原左都子もその一人だが)は“ゴミ扱い”されていると言って過言でない程に、携帯会社より虐待を受けている感が否めない。
 最近その“ゴミ扱い”に拍車がかかった印象がある。 どうやら今年1月頃よりEメール着信時の通信料金も徴収し始めた様子なのだ。 今までは発信時のみの通信料金徴収だったのに、何故か 1月から大幅にパケット料金が増大しているのだ。 私の場合、Eメールは発信よりも着信の方が格段に多い。(と言うのも、携帯の文字入力が未だ苦手で、発信のすべてをパソコンからのタッチタイピングで行っている実態故だ。)

 そんな“スマホ出遅れ”人種の一人である原左都子が、ほぼ6年前 2009.8.18 に綴ったバックナンバーエッセイ 「携帯の料金体系を明瞭化せよ!」の一部を以下に要約して紹介しよう。

 先だって、月々の携帯料金をより格安なプランに変更する目的で携帯電話を買い換えた私だが、この料金体系が“煙に巻かれる”ごとくに不明瞭だ。
 新しい契約内容に納得した上で契約変更に臨みたい私は、新契約プランの料金システムについて携帯ショップの係員の説明を耳の穴をかっぽじって聞き、重々質問もした上で契約変更に踏み切った。
 自宅に持ち帰った「登録内容確認書」の内容を再確認して契約約款の必要箇所も熟読し、さらにその後3度携帯ショップに足を運んで不明瞭な点を確認したのだが、今尚料金体系について“煙に巻かれている”感が否めずにいる。 (中略)
 日々脳が老化の一途を辿っている私ではあるが、今現在はまだ我が消費生活においてほとんど興味も実益も乏しい存在である携帯電話に関しても、ある程度の情報把握力は有している。
 携帯業者にお願いしたいのだが、携帯電話の本来の機能に立ち戻った場合、お年寄りをはじめとする社会的弱者こそがその恩恵に与って欲しいものである。 加えて未成年者等世間を未だ知りもしない若者が携帯を利用する事により被る被害に関しても少しは思いを馳せて、未成年者の健全な育成のために携帯使用制限に業者自ら乗り込んで欲しいものでもある。
 大企業たるもの、弱者を守るべく社会的責任も多少はあろうに、現在の携帯電話の契約における法的手続において、顧客が明らかに不利と解釈できるアンバランスさが否めない歪んだ契約を顧客に押し付けて平気な顔を貫いているとは一体どうしたことか??
 携帯会社とは今の時代膨大な営利を享受していることであろう。 が、「殿様商売」に安穏として企業倫理を置き去りにするのではなく、どうか初心に立ち戻って上記のような弱者保護の観点も忘れずに、携帯料金体系においても利用者誰もに平等で分かり易く、しかも家計の管理もし易いシステムの構築をお願いしたいものだ。
 (以上、「原左都子エッセイ集」2009.8.18 バックナンバーより一部を引用。) 


 まさに営利法人団体とは、全国民に対して自社が提供している商品・サービス価格設定の根拠を明確に提示し続けるべきである。

 今時は消費者側が価格根拠を追及しない時代となった事実をよしとして、商品やサービスが“低価”であったならばそれで消費者が安易になびくものと信じる社会風潮なのだろうか??
 その消費者側の乏しい消費行動実態に決して甘んじる(あるいは“調子に乗る”)こと無く、経営者側には初心に戻って根拠ある商品・サービス価額設定をし、その価格根拠こそを消費者に明示して欲しいものだ。