原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

近年の「流行語大賞」のお粗末さに辟易とする…

2015年12月02日 | 時事論評
 毎年この年末の時期になると、メディアにて発表されるのが「今年の流行語大賞」とやらだ。

 昨日(12月1日)これに関する報道をNHK夜7時のニュースにて見聞したのだが、どうしたことか、聞かされる方が恥ずかしいがごとく俗人も好まないような、ろくでもない言葉や表現ばかりが羅列されているではないか…。


 「流行語」と称するからには、私としてはその年に発生した事件・世論や世俗・世相を“その一言で的確に反映した言葉”を選出して欲しいものだ。
 にもかかわらず、ここのところそれらとは一切無関係の、くだらないお笑いタレントの醜態を取り上げたものがランクインしている事実に、ウンザリとさせられてばかりいる。

 もしも私が流行語大賞選出審査員であったならば、今年の大賞としては 是非とも「安保法案強行採決絶対反対!」をまず最初に選出したかったものだ。
 安倍政権による当該法案強行採決に際し、9月には東京・永田町の国会議事堂前でそれに対し抗議の声を上げる人たちが集結した。 「いますぐ廃案!」、「絶対反対!」のプラカードを掲げた約1万5千人が参加した。 残念ながらアンチ自民党政権派としては望まぬ結果となってしまったが、この反対運動こそ我が今年の世論の盛り上がりの確固たる1位!として推薦したかったのだが…

 あるいは沖縄県知事 翁長氏が今年1年間に渡り国政に対決して訴え続けた 「イデオロギーよりアイデンティティー」(この言葉自体は昨年翁長氏が選挙戦にて発表したものだが)も推奨したかったものだ。 自らの身の危険も顧みず、翁長知事が沖縄県民のアイデンティティを取り戻そうと、「辺野古移転阻止」に向け国政相手に果敢に闘い続けたその勇気ある姿勢に拍手を贈りたい。


 昨日発表された、「流行語」の中で、私も同意できる言葉が二つあった。

 その一つは 「五郎丸」 である。
 何せ、今年開催されたラグビーワールドカップでの 五郎丸歩選手 の活躍の程は、ラグビーをほとんど知らない私の目にも確かに素晴らしかった。 
 しかも五郎丸選手の場合、外見もいけてる!  強い男が外見的魅力も兼ね備えているとなると、女として惚れない訳もない。 
 ただ原左都子が一点思うに、もしも五郎丸氏の苗字が「鈴木さん」や「佐藤さん」だった場合、これ程までに国民の間で人気を博しただろうか?? とふと思ったりもするのだ。  稀にみるご本人のラグビー能力と偶然にしての“印象的な苗字”が絶妙にマッチして、国民の人気をさらったものと解釈している。

 あるいは、マイナスイメージから 「エンブレム」。
 今年は2020東京五輪準備段階にして、2020東京五輪組織委員会は大きな墓穴を二つも掘ってしまった。  その一つが競技場建設に於ける幾度にも渡る費用の見直しであり、そして五輪エンブレムデザインに関する不祥事である。
 これらに関しては、東京を住居地としここに今後も住み続けようと志している我が身にとって、他人事でないけしからぬ失態と今でも捉えている。
 特に「新国立競技場」建設に関してこの度政権と都知事の間でその経費負担の合意を見た様子との報道だが、一体全体、舛添知事は十分な議論を展開出来た上で国との合意に至ったのか?との疑問を今尚抱いている。 


 ところで、この「流行語大賞」とは、1984年に創始されメディアを通して発表されるようになったらしい。
 以下にそれに関する情報をウィキペディアより引用しよう。

 候補となる言葉は『現代用語の基礎知識』(自由国民社・刊)の読者アンケートによってノミネートされ、その中から新語・流行語大賞選考委員会(選考委員7名)によってトップテンと年間大賞が選定される。
 創始当初は、新語部門と流行語部門に分かれて、それぞれ金賞を筆頭として各賞が選ばれていたが、8回目の1991年(平成3年)からは年間大賞が設けられ、11回目の1994年(平成6年)からは両部門を合わせて選定されるようになった。 2003年(平成15年)には株式会社ユーキャンと提携し、翌2004年(平成16年)より現代用語の基礎知識選『ユーキャン新語・流行語大賞』に改称された。 日本漢字能力検定協会の『今年の漢字』、第一生命の『サラリーマン川柳』、住友生命の『創作四字熟語』、東洋大学の『現代学生百人一首』と並んで、現代の世相を反映する一つの指標として取り上げられている。
 選考委員に関してだが、(おそらく現在の選考委員は) 姜尚中(作家・聖学院大学学長)、俵万智(歌人)、鳥越俊太郎(ジャーナリスト)、室井滋(女優・エッセイスト)、やくみつる(漫画家)、箭内道彦(クリエイティブ・ディレクター)、清水均(『現代用語の基礎知識』編集長)の7名からなる選考委員会によって選出されが、選考委員が左翼系文化人に偏っているとの批判がある。
 (以上、ウィキペディア情報より一部を引用。)


 最後に、私論でまとめよう。

 何もこの私が、世間が欲する娯楽の一端でメディアが報道している「流行語大賞」に異論を呈する必要もないとの事実など重々認識している。

 まさにこの種のメディア情報とは、「娯楽」範疇以外の何でもないのだろう。

 ただ、過去に於ける「流行語大賞」の中には、世界の動向をも揺るがした言葉が存在するのだ。
 例えば1988年に発表された 「ペレストロイカ」など…

 今後の日本国内の「流行語大賞」の発展を目論んだ場合、初心に戻って世界を意識してもよいのではないかとも考察する。
 安倍政権が勝手な「安保法案」を成立させたとは言えども、何分、日本が現在置かれている世界規模での存在力の程は、80年代と比して低下の一途を辿っていると私は認識かつ懸念している。

 「流行語大賞」という一種の単なる“娯楽”が、もしも若者世代の感覚をくすぐる“働き”を果たす役割を期待しているとしたならば…。
 むしろ、今後は世界に通用するグローバル観点からの引用用語を、80年代のごとく復活させる事を奨励したいものだ。