原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

西新宿超高層ビル上階ラウンジでグラスを傾けた遠き日

2015年09月21日 | 雑記
 (写真は、昨日私が娘を伴って訪れた西新宿 損保ジャパンビル内にある 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館 上階から撮影した コクーンタワー。)


 私は連休が嫌いだ。
 何故ならば狭い国土内がそれによって大渋滞を引き起こすし、特に大都会に暮らしている身としては何処を訪れようと人混みを避けられない故だ。

 ただ年末年始やお盆の時期の連休に関しては、その存在を許してもよい感覚はある。 何故ならば、それは日本の昔ながらの伝統・文化に基づき人々が動く慣習が今も根付いていると考察可能だからだ。

 片や、5月の連休(いわゆるゴールデンウイークだが)も許されるべきかとも考察する。 何せ、我が国にとっての最高法規である憲法が制定された日 「憲法記念日」 が5月3日に位置している故だ。 あるいは、かつては5月1日がメーデーだったためその日が休日になる社会人が少なくなった事から間の平日を休日にすることで長期連休化したとの過去の国家思惑にも賛同する。
 その一方、昭和天皇の生誕日であられた4月49日を「昭和の日」として温存した国家の措置には異論がある。 「昭和の日」ではなく「みどりの日」で必要十分だった。 むしろその方が今後の遠い未来に生きる国民皆に支持され続けたのではないかとの感覚が、“もはや戦後ではない”とのスローガンが掲げられた時代に生まれた私にはある。

 一体どうしたの??  と言いたいのが、現在我が身もそれに委ねられねばならない9月の“シルバーウィーク”とやらだ。
 我が記憶によれば、今まで9月中旬に定められていた「敬老の日」を一週間後にずらす措置により「秋分の日」との間隔を縮めその合間の日を「国民の休日」と法整備して、国民皆に大型連休を保障せんとの国家政策だったと記憶している。
 これで誰が喜ぶのか!?!  と国民に問うたところで、現に“シルバーウィーク”期間中の国土は交通網ラッシュ状態とのニュース報道なのだから、国家政策に単純に迎合する国民が多いことのみを再認識させられる事実だ…


 自宅に目を移せば、我が家の“就活落ちこぼれ娘”さえも、この“シルバーウィーク”期間中は企業側が休みを取っている関係で就活もお休み状態だと言う。
 ならば、過去の趣味だった「美術館観賞」でもしようと娘を誘って出かけたのが、冒頭写真内で記述している 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館 にて現在開催中の 「もうひとつの輝き 最後の印象派 1900-20's Paris」 である。
 フランスパリへは私も娘も、お互い時は異なるが訪問している。 私が個人旅行でパリを訪れたのは1970年代終盤の時期だ。 片や娘は5年程前に高校の修学旅行でフランスパリを訪れている。 過去に於いて一時美大進学をも目指していた娘もおそらく今回の美術展に興味を抱いてくれるだろうと想像して、私は娘を上記の美術展へと誘った。

 私本人は、この超高層ビルが「安田海上火災ビル」と名乗っていた1980代当初より幾度も訪れている。
 その身にしての感想を述べるならば、今回の「特別展」よりも当時からの「常設展」内に展示され続けている“ゴッホ作 ひまわり”等の大作にこそ心を奪われる思いだ。 この「ひまわり」を私は今まで幾度観賞したことであろう。 見れば見る程、我が年齢を重ねる程に、この作品が大作として評価されている事実の程が素人ながら少しづつ分かる気にもさせられるのが不思議だ。


 さて美術展鑑賞後、我々親子は西新宿超高層ビル街に出た。

 私が医学関係民間企業に勤務していた頃、退職直前最後の1年間のみ、自分自身の希望で本社勤務を申し出た事がある。 その本社が位置していたのが西新宿某超高層ビルだった。
 何分、一生を通じて“飲兵衛”人生を貫いている私が、仕事終了後に飲み会の誘いに乗らない訳もない。 まさに散々新宿超高層ビル群内の“飲み処”を堪能したものだ。
 それと並行して、当時付き合っていた彼氏とも西新宿超高層ビル上階等々の“スカイラウンジ”を謳歌した。

 その中で私が昨日思い出したのが、80年代当時は新宿駅から一番近かった“センタービル”内上階に位置する某スカイラウンジだ。 
 そのラウンジが今尚存在するか否かをセンタービル内の地図にて確認した。 そうしたところ、経営主体は替わっているかもしれないものの、上階にスカイラウンジが存在する事を突き止めた。 娘に早速、「今夜はここでゆったりと食事をしよう!」と提案したものの…
 「まだ就職が決まっていない身だから、内定を取れたらこういうところで食事したい……」
 まさに自己中心に過去の郷愁に浸った我が身を反省させられる思いだ。  娘が言う通りだ。 「そうだね、そうしたら貴女が内定ゲット出来たら、私の還暦祝いも兼ね時期を改めてゆったりとスカイラウンジで寛ごうね。」
 そして、昨日は下界のイタリアン店舗にて夕食を済ませた我々母娘だった…


 それにしても、2,30年前の経済バブル期に比して、西新宿超高層ビル群の店舗も大幅に移り変わっている事実を実感させられる。
 そのほとんどが大手企業による“チェーン展開”の店舗へと移り行き、バブル崩壊後は大都心にして個性無き時代へと変遷せざるを得なかった昨今の歴史を思い知らされる。

 バブル崩壊以前の一昔前には、「フランス印象派絵画展」を彼氏と観賞した後に西新宿超高層ビルの上階ラウンジにて星空を見上げグラスを傾けつつ、その感想等をお互いにゆったりと語り合えた“勘違い時代”がこの私にも確かにあった。
 そんなバブル期を若気の至りで堪能した世代の責任と懺悔を、今現在まさに「安保法案成立」との歪んだ形で容赦なく叩きつけらている気もする。