原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

専業主婦の妻から「小遣い」もらってる夫をどう思う?

2012年02月25日 | お金
 「なんで俺だけ稼いで、働かない妻から『小遣い』もらうわけ?」  と素朴な疑問を投げかけているのは、 2月17日朝日新聞別刷「be」“結婚未満”のコラムの中に登場した27歳のヒデトくんである。


 「妻は専業主婦で夫は小遣い制?」 と題する上記コラムを、早速以下に要約して紹介しよう。
 現在28歳で公務員のカナは外資系企業で働くヒデトと合コンで知り合い、優しくマメな彼と結婚したい意向である。 ヒデトがオーブンレンジを買い替えるのに付き合ったカナが言うには、「私、専業主婦になったら毎朝パンを焼くのが夢なんだ。…」 それに驚いたヒデト曰く、「カナは専業主婦になりたいの?公務員なのに仕事を辞めるつもり?」 カナもびっくりして「もちろんだよ」 
 公務員の場合制度が整っているため、職場では結婚・出産で仕事を辞める女性は少ない。 でもカナは料理上手で銀行マンの父を支えた専業主婦の母のような結婚生活を送りたい意向だ。 カナの親友の高校教師であるエイコにそんなヒデトの事を愚痴ったら、エイコから「サラリーマンと専業主婦の夫婦って高度経済成長期以降の特殊な形態だし、このご時世に専業主婦は危機管理的にも勧めない」と言われてしまった。 そんなエイコに対して「主婦には家計の管理だってあるし」と反論したカナに、エイコの亭主イサムまでもが「カナちゃんが専業主婦しながらダンナは小遣い制にすると言うわけ?」と突っ込んでくる。 そこにヒデトも同調して「なんで俺だけ稼いで、働かないカナに『小遣い』もらうわけ?」と言う。  さらにヒデト曰く、「俺は家事も育児もいずれ起こる介護のことも考えているけど、カナは結婚をイメージでしか考えていないんじゃないか?」……
 その後、カナにはヒデトからのメールの返事も少なくなりデートの誘いもない。 カナが母親に泣きつくと「カナのことをもっと大事にしてくれる人と結婚するために、パパに頼んでお見合いをしたらどうかしら?」との母親からの返答である。

 ここで一旦、原左都子の私論に入ろう。

 「原左都子エッセイ集」バックナンバーに於いて、若い男女の結婚問題や「主夫」「イクメン」課題を幾度か取り上げてきている。 それらの我がエッセイに於いては、自立した女性の経済力を頼りたい魂胆が見え見えの若き男性側からの訴えを参考にして、その角度から「主夫」「イクメン」を志向している現代の“軟弱亭主”の心理の側面を取り上げたため、私論としては到底歓迎できない意向を表明している。

 今回の朝日新聞コラム事例の場合、ヒデトの思考はそれら上記の“軟弱亭主”とは明らかに異なって、ヒデトなりの主体的意思が感じ取れるのだ。
 それに対して女性のカナこそが軟弱である。 何故に“専業主婦”を目指すのかがこの記事内では不明である。 母がそうしたから自分もそうしたいとのカナの論理であるようだが、今の厳しい時代に、親友のエイコが言う通りその単純な論理が今後家族を持ち一生に渡って共同生活を営む上で通用し続けるとカナは信じているのであろうか?? 
 どうやら、カナの母親の考え方からして軟弱極まりない。“パパに頼んでカナをもっと大事にしてくれるお見合い相手を探しましょう”との母親の軟弱志向を受け継いでしまったカナのようだが、ここはカナも既に28歳。 もっと視野を広くして今後自分が生きる社会の未来を見つめ、何が幸せなのかを今一度再考するべきであろう。


 朝日新聞よりの引用が長引いたが、今回の「原左都子エッセイ集」のテーマは表題のごとく「専業主婦の妻から小遣いをもらっている夫をどう思う?」である。 これに関して読者の皆様は如何に考え実行されているのかをお聞きしたいものだ。

 早速私事に入らせていただくが、原左都子の身内がほぼ1ヶ月後の今年4月に定年退職を迎える。  元々晩婚のため婚姻後未だ18年半程度の短い我が夫婦歴であるが、身内の定年に当たり今後の家計のやりくりに関して先だって身内と再議論をした。

 参考のため、出産退職後現在までは我が家でも私が家計を管理し身内には「小遣い制」を採用してきた。  高齢出産で生まれてきた我が子が若干の事情を抱えていた事もあり、私が「お抱え家庭教師」として娘を支援したいとの事情があったためでもある。 その合間を縫って過去の医学関係の専門力を活かしアルバイトをした経験もあるが、我が独身栄光時代に比して、まさに“スズメの涙”と表現するべく“情けない程の報酬”しか得られなかったものだ…。  そうした場合、職場で無駄な時間を消費して子どもを犠牲にするより、しばらく身内の経済力に頼る方が得策との判断となる。 
 そんな我が家にとっての厳しい時代をくぐり抜け、我が子も立派に成長を遂げてくれこの4月から大学生になる。 偶然時を同じくして身内が4月に定年を迎える事をきっかけに、家計運営に関して再度話し合いの場を設けたとのいきさつだ。

 その結果、身内の定年後は一定条件下にお互い“独立採算制”を執ることと相成った。
 “独立採算制”などと偉そうに言っても、今現在個人的には“不動産所得”の微々たる収入しかない原左都子の場合、日々の必要最低限生活費は身内の“企業年金”を頼ることになる。 それでも身内の定年退職後の“公的年金”に関しては全額身内の自由裁量と決定したのだ! (参考のため、子どもの大学学費に関しては婚姻後積み重ねた預貯金で賄えるからこそ成り立った、我が家の老後“独立採算制”採用結果である。)
 私自身にとっては、4月から発生する「国民年金料」や「医療保険料」そして自らの「小遣い」は、我が微々たる「不動産収入」及び60歳以降は(将来如何程までに減額されるのか不明の)「公的年金」に頼って余生を生き延びることになる。

 それでも、私は身内の定年後の“独立採算制”家計運営事項に合意した。
 何故ならば、第一の理由として、平均的日本市民のごとく30年も40年も身内と連れ添い「専業主婦」として身内に尽くした訳ではないからに他ならない。 しかも私の場合、身内と婚姻する以前の長き独身時代にある程度自分の財産も築き上げていて、それを我が老後に活用できるとの事情もある。
   

 とにもかくにも厳しい政治経済情勢の現在の世の中である。

 こんな時代に於いても、戦後生まれで現在高齢者になっている夫婦間で「奥方は専業主婦、ご亭主は小遣い制」を採用されているご家庭は珍しくもないのであろう。 これに関しては時代背景的観点より多少は許されるのであろかとも思う原左都子である。

 それに比して、今後の厳しい時代に生き抜かねばならない世代である上記のカナちゃんが、未だに“専業主婦志向”だということには疑問符を投げかけざるを得ない思いの原左都子だ。
 カナちゃんのお母上が銀行マンの亭主の加護の下、のんびりと専業主婦を堪能できた時代など当の昔に過ぎ去ったノスタルジーでしかないのよ。
 ここはカナちゃん、その辺をちゃんと未成年時代に家庭や社会から教育されるべきだったね~。 そんな教育がなされないまま28歳にまでなっている公務員のカナちゃんが気の毒でもあるけど、ヒデトくんは思慮深いいい子だと原左都子おばさんが評価するよ。
 
 人に「小遣い」を与えることが許される一種独裁的家計管理者とは、そう易々とこの世には存在し得ないことを再考するべきじゃないのかな~~。  今の時代における人間関係の基本理念として、たかが家庭内においても男女関係なく「独立採算制」を執るべきと原左都子は心得るのだ。
 今現在、専業主婦の奥方から「小遣い」をもらって安穏としている亭主どもも、その安泰感に浸ることなく、奥方の今後の自立のためにも家庭内の金銭の動向を今一度問い直し反撃を起こすべきではないのか!?