原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

職員採用は「第一印象」を優先するのが効率的かも?

2012年02月15日 | 仕事・就職
 昨日、高校卒業前休暇に入っている高3生の娘と共に東京・吉祥寺に出かけた。


 原左都子は30歳に差し迫った独身時代に、JR中央線沿線に位置する吉祥寺に2年半程居住して青春の一時を過ごした経験がある。 自宅の最寄駅は西荻窪だったのだが、当時より若者に人気の吉祥寺にも歩いて行ける距離に居住地があったため、ショッピングに飲食に習い事にと頻繁に出かけたものだ。

 その後年数が経過して子どもを産んだ後に、井の頭公園池のボートに娘を乗せてやりたい気分になって、井の頭方面には行ったことがある。
 
 今回吉祥寺の繁華街方面を訪れたのは、私にとってはまさに20数年ぶりのことであった。

 原左都子にとっての30代直前頃の吉祥寺繁華街の印象と言えば、若者に人気があるとは言えどもやはり“東京都下”に位置するが故のその種の特異性があったことを記憶している。
 何せ吉祥寺繁華街に繰り出している人の数が“鬱陶しい程の多数”ではないのだ。 これは当時既に30代を迎えようとしている私にとっては“命拾い”の感覚すらあったものだ。
 例えば「新宿」などに出かけると、(今でもそうだが)その人混み喧騒に嫌気がさす。 かと言って自分の欲するファッションや飲食は楽しみたい。 そういう場合に当時の「吉祥寺」とは程々に人が多過ぎず、少し落ち着きたい年頃の私の希望を満たしてくれる街だった記憶がある。

 その後年月を経て、昨日私が訪ねた「吉祥寺」は一見して“様変わり”していた。
 駅周辺(駅内)に商業ビルが建ち、駅からの出口が何処だか分からない程に大勢の人々で混雑している。  昨日は(運悪く?!)バレンタインデーではないか?  それだからという訳でもないのだろうが、とにかく駅ビルはチョコレートの販売合戦が繰り広げられ混雑していて出口を探すのにも一苦労の有様だった。

 やっと出口を発見して外に出た我々は、本日の目的地の美術館への道程である「サンロード」を見つける作業に入る。 幸いこれは直ぐに見つかったのだが、30代直前頃私が訪れた「サンロード」とはやはり様子が異なり、若者を中心とした大勢の人々で溢れている。

 今回我々の吉祥寺訪問第一目的の 吉祥寺美術館 を訪れる前に昼食を取ろうとの段取りとなり、時代が変遷し店舗が大幅に入れ替わっている商店街で食事場所を探した。
 その結果、娘の希望によりイタリアン系の(前金制セルフサービス)ファーストフード店で食事をしていた時の事だ。


 (いつもながら前置きが長くなった点をお許しいただくとして……)

 そのファーストフード店の我々の隣の席にやってきたのが、なんと今回の「原左都子エッセイ集」のテーマに掲げた “「職員採用の面接」のために訪れた採用者とその求職者のカップル”だったのだ!

 何故“カップル”と表現したかと言うと、原左都子の目には上記2人はこの種の店舗の顧客にしてさしずめ“カップル”と映ったからである。
 ところが2人が着席して会話を始めた段階で、こんな場で「就職面談」を開始した事をすぐさま見抜いた私だ。

 “カップル”の(私と同年代と思しき)ちょっとお洒落な男性側が、もう一人の(娘くらいの年代の)若い女性に対して 「まず履歴書から見せていただけますか」 と切り出すではないか!
 相手の若き女性は“黒のリクルートスーツ”に身を固めている。 (そうなると、どう考察してもこの2人は「就職面談」のために初対面同士でこの店舗を訪れていることが証明できたと言うものだ!)

 娘と会話しているふりをしつつも、隣の「就職面談」が大いに気に掛かる私である。
 
 どうやらこの「就職面談」は、男性側が近隣で経営する(アパレル系かファッション雑貨系?)店舗の店員アルバイト募集のようだ。 (ならば、こんなファーストフード店でなく店舗内の事務所で面接すればいいものを…。 男性が経営する店舗が手狭で事務室すらないのか??) との要らぬ心配も我が脳裏に巡る……

 それにしても大学生らしき女性は返答が静か過ぎる。 もしかして「面談」の場がファーストフード店である故言いたい事が言えないでいるのかもしれないが、それにしても私の目からはこの女性はどうも販売員向きではないように映る。

 店舗店長と思しき男性は、もの静かな面接者に対し次々と質問を繰り出している。 例えは「我が店舗では制服はなく私服で勤務していだたくことになりますが大丈夫ですか?」等々…。  何分この女子学生の返答の声が聞き取れない程に小声であるため残念ながらどう回答したのか不明だが、店舗販売員アルバイトの求人に際して“黒のリクルートスーツ”で面談に及んでいることから推測しても、この女性はもしかしたらその種の自己表現が苦手なのではあるまいか?

 結局、近隣の店舗店長と思しき男性側が若き女子大生相手に比較的紳士的に10分間程質問を繰り返した後、「それでは明日中には採用の可否について電話をしますが、都合のいい時間を教えて下さい」等々と最後の言葉を交わした後、この2人は店を出た様子だ。

 昼時の食事のために偶然訪れたファーストフード店の隣の席で、偶然展開された上記「就職面談」の様子は我が娘も把握していたようだ。
 4月から大学生になる娘に、あえて私は尋ねた。 「さっきのお隣さんは、どうやら大学生のアルバイト先の面談だったようだね。 あなたもあの面談を聞いてたと思うけど、どう感じた??」  娘曰く「う~~ん。あの女子大生が面接先のお店の販売員をするのは何だか無理があるように思う…」

 さてさて、上記店舗の店長氏は本日アルバイト志望女子大生に対して如何なる返答をしたのであろう?


 それにしても、世の中(特に就職の世界)とは“ミスマッチ”であることを実感させられる吉祥寺に於ける昨日の“事件”であった。

 現在の吉祥寺にはアパレルやファッション系店舗の店員アルバイトに相応しいようなギャル達が、原左都子の目から見ると“より取り見取り”状態に闊歩している。
 誤解を恐れず言うならば、店舗経営者たる者はその種のギャルこそを巷でスカウトして「面談」して採用すれば手早く済んだ話であるようにも思えてしまったのだ。 その方が販売アルバイトとしてより適任人材を雇えたのではあるまいか??

 ところが、過ぎ去りし過去の時代のようにはその種の軽薄行動をとれない経営者の実情も理解できそうだ。
 今時“スカウト”で人材を集められるのは、巷のギャルを“美味しく使ってポイ捨てすればよい”芸能界だけという事であろう。

 巷の商業経済社会は厳しい不況を煽られている現実である。 
 大勢の若者で賑わっている東京都下の 吉祥寺 とは言えども、店主とは少しでも確実な人材を確保したい意向であろう事も理解可能だ。 そのためには、たかが一店舗のアルバイト募集とて広く世間に求人を出した上で応募対象若者に“個人情報満載の履歴書”を提出させることにより、適性よりも“信頼性”を重視した採用策を取るのが今の時代の経営者側にとって得策ということなのであろう。 (それ故、人の採用とは多額の費用が発生する事も理解している。)


 娘とファーストフード店を出た後、「あの女子大生よりも年季を積んだこの私こそがその店舗に勤めた方が、よほど店の売上に貢献できそうな気がするよ」といい加減な気持ちでホザいた原左都子に対し、我が娘が冷静に発した一言に“一本”取られた思いだ。

 「自分の適性を考えると、私はそんなアルバイトは一切したくないよ」  (我が娘としてご立派な回答です…)