原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

「正社員」は結婚の条件だよ

2009年08月02日 | 仕事・就職
 朝日新聞「声」欄投書者男性には申し訳ないが、「正社員」が結婚の条件、のニュアンスに私も同意するのである。

 7月30日(木)朝日新聞「声」欄に掲載された30歳「派遣社員」男性の投書 “えっ「正社員」が結婚の条件!?” を、早速以下に紹介しよう。
 先日会社の先輩から、結婚を考えている知り合いの看護師の女性を紹介され、ありがたいお話だったため会う意思があることを伝えた。 ところが、その女性は「その人は正社員?」とたずねたそうだ。(その女性が)望む人物として、自分と同じだけの収入があって正社員であることは絶対条件との回答だったそうだ。また、出産と子育てを考えると少なくとも2年間は専業主婦として生活していく考えで、その間、今の収支レベルを維持できる収入がないと結婚は考えられない、との返事だった。それを聞いて半ば納得しつつも愕然とした。今は男性、女性共能力や仕事の有無も多様な時代だ。生活資金が必要であれば貯金や節約をしてやり繰りすればいい。男女共同参画社会がいわれる時代に、いささか柔軟性を欠くのではないか。(以上、朝日新聞「声」欄より要約引用)


 早速私論に入ろう。

 この投書者の男性は、今流行(はや)りの“草食系”という奴か??
 何たる考えの甘さ、と呆れるばかりで、この男性の結婚の意図こそが摑めない。

 それに対してこの投書内の看護師の女性は、決して相手に対して“高望み”している訳でなく、自分の背丈で理路整然と子育て期間まで計算の上で結婚後の将来像が描けている。 まるで私の独身時代の考え方と瓜二つであり、将来に渡る自立心が人格的背景に確固としてあることが伺える。恐らくこの女性は、結婚しようがしまいが充実した人生を送れる能力を既に備えているのであろう。

 そもそも、恋愛結婚ではなく見合い結婚を自ら好んで選択する女性とは、結婚後の生活に関するポリシーがある程度出来上がっていて、それに相応する条件の持ち主を選抜したいが故に、あえて“お見合い”という手段を選択していると、私自身の経験からも考えるのだ。 (いや、中には自分の能力不相応に高望みして“玉の輿”を狙う女性もいるのかもしれないが、私の周囲を見渡しても“玉の輿”とは結婚後の苦労が大きく概して幸せになれないもののようだ。)

 私の場合も投書の看護師氏と同様の考えだった。 そもそも結婚願望自体が大してなかった私は、もしも結婚する場合でも、それまで自分が築き上げてきた生活レベルを下げてまでもしようとはさらさら思っていなかった。 加えて自分自身の生活パターンを結婚により大幅に変更する気もなかったため、見合いにおいて、それ相応の条件を提示したものである。

 投書者男性には大変失礼で申し訳ない話だが、特に今のこの不況の時代において「派遣社員」とは相当“劣悪”なお見合い条件ではなかろうか? 明日は亭主の仕事はないものと腹をくくれる勇気ある女性のみしか、そのお見合い条件は受け入れられないであろう。
 「派遣社員」男性さん、今の身分のままで結婚したいのなら、恋愛結婚にした方が将来性があるのかと思うのだけど…。

 
 そもそも、見合いで“条件のよい”女性をゲットしようとは、なんという軟弱さであろうか。 今時の若い男性とはそういう選択をしたがる人種が増えているのだろうか?
 しかも、ここで“男女共同参画”概念を持ち出すのは、ルール違反だぞ。
 今の時代、もちろん“専業主夫”も存在してよいのだが、“産む性”はどうしても女性なのである。これは永遠普遍の事実である。 生んだ子の育児を夫が担当するにしても、産むための体のダメージ等を考慮した場合、女性は一定期間どうしても仕事を中断せざるを得ない。その間の万全なフォロー体制を夫である男性が作り出してくれないことには、安心して出産など出来やしない。 この男性の投書を読んだ限りでは自分の利益ばかりが優先されているように思え、出産に際するフォロー能力があるのかどうか疑問である。
 また、投書者は生活資金が必要ならば貯金や節約をしてやり繰りすればいい、と言うのだが、結婚前から何やら“貧乏臭い”発想であるし、それ以前の問題として、この男性に貯蓄能力や節約能力があるのかどうかも疑わしい。 子育て期間中も収支レベルを維持したいとする看護師女性の考えの方ががよほど建設的に思える。こういう人物こそが、貯蓄や節約能力もあると私は見る。


 表題の“「正社員」は結婚の条件…” の表現は少し語弊があろうが、私が言いたいのは、結婚とは双方の“自立心”や“責任感”が伴っていないことには成立し得えず、たとえ成婚に至ったとしても長続きしないのではないか、ということだ。その“自立心”や“責任感”の一環として、収入源の安定性は欠かせない要素であろう。
 ましてや結婚後子どもを設けるとなると、親である夫婦が責任を持って家計の収支レベルを維持し続けないことには、ゆくゆく子どもの授業料さえ支払えない事態となるやもしれないのだ。

 結婚前の若者に提言したいのだが、如何なる結婚においても収入源の安定性は絶対条件である。 男女共に他力本願ではない収入源を確保できる“自立心”や“責任感”をある程度築いた上で、結婚に臨んで欲しいものである。
     
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