『いや、なに。ははは…』
口から零(こぼ)れた自分の失言に、ぺチ巡査は苦笑して誤魔化した。ツボ巡査にしてみれば、なんか知りたい気分になってくる。
『えっ? なんなんです? 気になるなぁ~』
笑いながらツボ巡査はぺチ巡査に食い下がった。
『そうかい? なら、話そう。蛸(たこ)を利用して海老(えび)を獲るんだよ』
『はあ、それが蛸伏せ漁なんですか? その蛸伏せ漁と、どんな関係が?』
『君も鈍(にぶ)いね。君が獲ったタコを利用して海老熊を懐柔(かいじゅう)しようと思ったんだよ、実は。ははは…、馬鹿げてるがね』
ぺチ巡査は思った詳細をツボ巡査に説明した。
『いや、一概(いちがい)にそうとも言えませんよ。ドラの話、この前、聞かせてもらいました』
『ドラの一件か…。確かに、何が有効な手立てになるか分からんからね』
『ええ、そのとおりです。タコで海老熊を獲れるかも知れませんよ』
『そのためには、まず君の中へタコを入れにゃならん』
『壺の中へ蛸を、ですか? まずは、タコ漁ですね。私に上手(うま)く出来ますかね?』
『私の勘(かん)だと、タコは君に弱いように思う。ははは…タコツボ思考だがね』
『まあ、やるだけはやってみますが…。やつの塒(ねぐら)は?』
『それそれ! 私にゃ分からんのだ。みぃ~ちゃん目当てに、また来るのを待つしかないだろう』
『気長な張り込みですね』
ツボ巡査は頷(うなず)いた。
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