代役アンドロイド 水本爽涼
(第197回)
「おはようございます!!」『おはようございます』
「孫がいつもお世話になっております! 私、祖父の長左衛門でございます!」
「…いえ、こちらこそ…」
但馬は長左衛門の威勢のいい声に、たじろぎ、委縮して立ち上がっていた。じいちゃん、いらんこと言うなあ…と保は苦笑いした。
「まあまあ、そう気にされず…」
「はあ、どうも…」
但馬は長左衛門に促され、ふたたび座った。完全に主客転倒である。客に席を勧めるのを忘れてしまっている。
「おはようさんです」
偶然にしては上手いタイミングで、そこへ後藤がアフロ頭を揺らせ、ドタドタと入ってきた。但馬を助けた形だ。
「うわぁ~~、今朝はえらい賑やかですなあ」
後藤は保達を見て無遠慮に言い放った。歯に衣(きぬ)きせぬ、とはまさにこの男のことだ…と保は思った。
「おはようございます。孫がお世話になっとります!」『おはようございます』
「いやぁ~。…まあ、おかけやして」
応接セットを片手で後藤が示した。但馬は、そのことにやっと気づき、視線を下げると頭を掻いた。
「ふぅ~、今朝は混んで困ったよ。おやっ! …」
いつも最後に入る山盛教授がドアを開けた。
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