あんたはすごい! 水本爽涼
第三十回
「どんな人だろうな…。機会があれば一度、会ってみたいな」
早希ちゃんの方を向いてそう云うと、彼女は聞いていない風で、何やら一生懸命、していた。
「ちょくちょく通ってくれれば、そのうち会えるわよ…」
聞いていないと思ったが、実はちゃんと聞いている早希ちゃんだった。ただ目線は私にはなかった。
「何してるんだ?」
「ああ、これよ。最近、買ったタッチパネル式…」
そういや巷(ちまた)ではどんどん携帯の新機種が出回っていて、私の携帯などは既に過去の遺物にでも認定されそうな骨董であった。それに比べ、最新型に買い換えた早希ちゃんは、それを弄(いじく)っていた訳で、たぶんメールでも打っていたのだろう。私などは携帯はシンプルで、電話の機能さえ果たせればそれでいい、と思っている部族だから、私自身も、もう過去の歴史的存在なのかも知れない。まあ、それは兎も角として、そんなことを思いながら飲んでいると、店のドアが開いて一人の客が入ってきた。
第三十回
「どんな人だろうな…。機会があれば一度、会ってみたいな」
早希ちゃんの方を向いてそう云うと、彼女は聞いていない風で、何やら一生懸命、していた。
「ちょくちょく通ってくれれば、そのうち会えるわよ…」
聞いていないと思ったが、実はちゃんと聞いている早希ちゃんだった。ただ目線は私にはなかった。
「何してるんだ?」
「ああ、これよ。最近、買ったタッチパネル式…」
そういや巷(ちまた)ではどんどん携帯の新機種が出回っていて、私の携帯などは既に過去の遺物にでも認定されそうな骨董であった。それに比べ、最新型に買い換えた早希ちゃんは、それを弄(いじく)っていた訳で、たぶんメールでも打っていたのだろう。私などは携帯はシンプルで、電話の機能さえ果たせればそれでいい、と思っている部族だから、私自身も、もう過去の歴史的存在なのかも知れない。まあ、それは兎も角として、そんなことを思いながら飲んでいると、店のドアが開いて一人の客が入ってきた。