水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

足らないユーモア短編集 (89)十六日目

2022年09月21日 00時00分00秒 | #小説

 立行司さんが渋い声で『この一番にて、千秋楽にござりますぅ~~~』とかなんとか呼び上げられ、この場所の最後の一番も終わり、『もう、終わりか…』という冷(さ)めた気分で観客や聴衆は土俵上の両力士を見守る。そして、両力士の取り組みが行われ、結果は一差をつけていた力士が破れ、相星の優勝決定戦となる。すると、立行司さんが、『優勝決定戦にござりますぅ~~』とかなんとか、ふたたび渋い声を聞かせてくれる。明日は? と考えれば、十六日目というのはないようだ。誰が決めたのかは知らないが、大相撲は十五日と決まっているらしい。^^ 十五夜の満月はあっても、十六夜(いざよい)の月はない訳だ。欠けるから・・とも考えられるが、今一つ、何かが足らない気分でシックリとはしない。^^
 国技館を出ていく、とある二人の観客の言葉だ。
「明日は十六日目だな…」
「ああ、俺達はな…」
 一般社会は十六日目以降もズゥ~~っと続き、休みはない訳である。^^

                   完


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