アレが規制でダメ、コレも規制でダメと知り、原島はガックリと肩を落とし項垂(うなだ)れた。つい一週間前、液化石油ガス取締法の法強化により、傷んでもいない風呂が使えなくなっていた。具体的には排気する煙突の形状不備ということで、消防署にも問い合わせたが結局ダメだった。原島がガス屋に電話を入れて訊(たず)ねると、以前のガス屋なら何とかしてくれたものが、大手ガス会社の系列傘下に入り、子会社化したことで、すっかり事務的な電話対応だった。こりゃ、ダメだな…と原島は思った。庶民泣かせの法強化により、原島の雑念は益々、テンションが下がる方向に舵(かじ)を切っていた。
「原島さん、今日まででしたね…」
「はあ、どうも。お世話になりました」
「いえ、こちらこそ…」
派遣会社から出向いていた原島は、明日からの仕事を探さざるを得なくなっていた。
「…生活、大丈夫ですか?」
「はあ、なんとか…。しばらくは失業保険がありますから…」
と、正社員に心配され、なんとか返した原島だったが、まったく当てはなかったのである。労働者派遣法という法強化で原島は生活の安定を失くしていたのである。
こんな雑念が巡る法強化は嫌ですよね。^^
完
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