推理する小説やドラマは真相が知りたくなり興味が湧くところだが、この傾向は次第に増幅するある種の依存症に似ていなくもない。
館川も推理好きで、謎を知りたくなる傾向が強く、この手のドラマや小説にドップリと嵌(は)まり込んでいた。
この夜、館川(たちかわ)が観ているドラマは、ほぼ真ん中辺りまで進行していた。
『いやいや、そう思わせておいて、実は身近な第一発見者が犯人だった・・なんて筋だろう…』
館川はドラマを観ながら、CMで中断している間、パーコレーダーで淹(い)れた焙煎コーヒーを啜りながら、そう思った。ところが、である。新たな人物がどんどん登場し、館川は何が何だか分からなくなっていった。ただ、謎を知りたい気分だけは益々、膨れ上がっていた。
『Bは、ほぼ白に近いから関係がない。Bの友人のCもタバコを吸わないから関係がない。となれば、店員のDか、あるいは会社の同僚でAに恋人を盗られたEということになるが…』
犯人を絞り込んだ館川は深いため息らを吐(つ)きながら焙煎コーヒーを飲み干そうとしたが、少し残した。その後、ドラマは新展開し、犯人はまだ登場していないFで終結したのである。
謎はどう展開するか分かりませんから、余り深読はしない方がいいようですね。^^
完