水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

足らないユーモア短編集 (78)愛想(あいそ)

2022年09月10日 00時00分00秒 | #小説

 男は度胸(どきょう)、女は愛嬌(あいきょう)、坊さんお経(きょう)と言うが ^^、愛想(あいそ)が悪い女性は気分が悪い。ハラスメント的な話をするつもりは毛頭ないが、感じが悪いのだから仕方がない。^^ 今日も女性の店員がジロリッ! と何度か私を睨(にら)んだような目つきで見ていたが、見られた私はいい気分がしなかった。何も悪いことはしていないのだから、睨まれる筋合いはない訳だ。商売っ気(け)のない出来の悪い店員だな…と思ったが、気短な人なら、喧嘩(けんか)になるだろう。愛想が足らないと、商売にならないことをお忘れと見えた。平和的でないこういう人は戴(いただ)けない。^^
 二人の植木職人が庭の刈込みをしながら話をしている。
「急に暑くなったねぇ~」
「いや、このくらいだろ…。今までが涼(すず)し過ぎたんじゃないか?」
「ああ、それも言えるな…」
 そこへ、現れなくてもいいのに愛想が悪いこの家の奥さんが現れた。
「あんた達っ! 口を動かさないで手を動かしなさいよっ! 高い手間賃、払ってんだからっ!」
「どうも、すいませんね…」「どうも…」
 口では謝った二人の職人だったが、心の中では、『このクソ、ババァ!!』と思った。奥さんが引っ込んで、しばらくすると一人の職人が、ボソッ! と愚痴った。
「ったくっ! 口の足らねぇババァだっ! お得意じゃなかったら、言い返してるとこだっ!」
「まあまあ…そう言いなさんなっ! 見てくれの悪い大木だと思やいいじゃねえかっ!」
「ああ。そう思うことにするっ!」
 機嫌を損(そこ)ねた職人は、もう一人の職人に宥(なだ)められ、ようやく留飲(りゅういん)を下げた。
 愛想が足らないと、人のご機嫌を損なうようだ。^^

                   完


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