水本爽涼 歳時記

日本の四季を織り交ぜて描くエッセイ、詩、作詞、創作台本、シナリオ、小説などの小部屋です。

疲れるユーモア短編集 (4)補給

2021年02月13日 00時00分00秒 | #小説

 とある銭湯である。風呂上がりの二人が脱衣場で衣類を身に着けながら話をしている。
「さぁ~て、これからどうするっ?」
「どうするも、こうするもねぇ~だろうよっ! 怖(こぇ)~かかあが待つご自宅へご帰還(きかん)あそばすだけさっ!」
「おめぇ~も、やっぱり怖ぇ~のかいっ!?」
「そりゃ、怖ぇ~さっ! おめえだって、そうだろうよっ?!」
「ああ、まあな…。どうでぇ~、これから一杯(いっぺぇ)、ひっかけて帰(けえ)るってのはっ!」
「おっ! いいねぇ~~! 補給かっ!?」
「そうよっ! 湯だけじゃ疲れは今一、取れねぇ~だろっ!?」
「ああ。もう、ひと押し、ってやつだな?」
「そうよっ! 幸い、明日(あした)は遅番(おそばん)だしなっ!」
「ははは…昼前(ひるめえ)にゃ~、どう考(けえげ)えたって酔いも覚めちまうかっ!」
「馬鹿野郎っ! そんなに飲みゃ~~ぁ、破産しちまわぁ!」
「違げぇ~~ねぇ!」
「それよか、かかぁにどやされ、疲れるかっ!」
「だなっ!」
 二人は小笑いしながら銭湯を出ると、そそくさと行きつけの店へ補給に向かった。
 予想外に疲れる場合も発生するから、この世は油断がならない。^^

                  完


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