小学校から高校まで一緒に遊んだY君から、メールと共に写真が送られてきた。親芋に子芋、さらに孫芋とたくさんの芋がつくことから子孫繁栄の象徴として、お正月や行事などの料理によく使われる『さといも』だ。彼は鎌倉で家庭菜園をやっていて「さといも(里芋)に花が咲いたが”ゆみ氏”経験あるか?もしも何か知っていれば教えてくれ」だった。種芋を頂いた農家の方に聞いたが、今まで見たことがないの返事だったそうな。残念ながら私はサトイモは栽培していない。最近は親類の百姓のプロから、特上の美味しい里芋を毎年のように頂戴しているので、作る気がしない。10年ほど前までは、母親が元気だったので、毎年さといもを送ってもらっていたことが、懐かしく思い出される。
興味がわいてきたのでネットで調べてみた。さといもに花が咲くのは、新聞の地方版に掲載されるくらい珍しいようだ。
送られてきたさといもの花を見れば、原産地は東南アジアは容易に想像できた。あのニョキと出た花の姿は、独特のものがある。日本へは稲作栽培よりも早く、縄文時代に伝わったといわれている。『さといも』と呼ばれるには訳がある。単純な話で、山ではなく里で栽培されたからその名がついた。
江戸時代までは、いもの代表でいもといえば『さといも』を指していた。現代では『いも兄ちゃん』といえばあかぬけしない顔、つまりごつごつした貴兄の顔を指す。これから秋が深まれば、秋の風物詩「芋煮会」が全国各地で催される。私はつい最近まで「芋煮会」の芋はサツマイモと思っていた。サツマイモの入った汁も美味いだけどな・・・。
【豆知識】
1.選び方・調理のポイント: 泥付きで皮に適度に湿り気があり、丸く太ったもの、持った時にずっしり重く指で押しても硬いものが新鮮です。
ぬめりは塩に溶ける性質があるので、皮をむいて塩でもみ、茹でて洗うとぬめりが取れます。けれども、取りすぎるとせっかくの有効成分がなくなってしまうので、きぬかつぎのような食べ方が実は賢い食べ方です。そして、皮をむくときに手がかゆくなるのはシュウ酸カルシウムの針状結晶が刺激するためなので、酢で指先を濡らしておくと、かゆみを抑えられます。
2.保存方法:さといもは乾燥に弱いので、乾燥して古くなると表面がひび割れたりします。保存するときは、湿らせた新聞紙で包むか紙袋などに入れ、風通しのよい室内で保存します。低温・乾燥に弱いので冷蔵庫には入れないでください。
3.さといもの効果:さといも特有のぬめり成分はガラクタンとムチンと呼ばれる食物繊維の一種。ガラクタンは血圧を下げ、血中コレステロールを取り除き、脳細胞を活性化する働きがあります。一方、ムチンは肝機能を保護する効果や消化を促す作用があります。唾液の分泌をよくする働きもあり、消化を助け、胃腸の調子を整えます。慢性便秘の解消など、まさに天然の消化薬です。
4.さといも:taro(英)taro(仏)里芋(和)
(参考:さといもの花)
1.2008年09月19日
◇久喜・渡辺さん
久喜市江面の畑で、サトイモが黄色っぽい花を咲かせ、近所で「珍しい花だ」と話題になっている。
花は、同所の渡辺数子さん(62)が、土地を借りている家庭菜園の一角にある。春に種イモ約30個を植え、花を咲かせたのはそのうちの8株ほど。花は長さ約25センチで、黄色っぽい。数日前、作業中に開花に気付いた。中には1株で数個の花をつけたものもあったが、元気な花は1日しか見られないという。これから開花する細長いつぼみもある。
渡辺さんはサトイモを栽培して3年目で、花を初めて見たという。「サトイモに花が咲くのかと感動しています」
2.平凡社世界大百科によると,「まれに,肉穂花を抽出し」とありますから,このような花が見られることはまれなようです。
さらに,「上部に雌花,下部に雄花を生じる」とあります。この写真は下部なので,雄花でしょう。先の部分は落ちてなくなっています。
結実はしないそうですから,芋で増えていくのでしょう。
3.浜松市北区三幸町の柳瀬廣水(ひろみ)さん(60)の畑では、珍しいサトイモの花が咲いている。
定年退職を迎え、今年から本格的に農業を始めた柳瀬さんだが、兼業でサラリーマン時代からサトイモは栽培していて、親の代から数えると60年以上作っていることになる。
そのサトイモ畑で今、珍しいサトイモの花が咲いている。世間では、めったに咲かないとされるサトイモの花だが、柳瀬さんは「家では毎年、たくさん咲いているよ」と笑う。柳瀬さんによると、その年にできた子イモを次の年に植えるのが一般的だが、親イモを植えると3年ほどで普通に花が咲くという。
お盆の頃が開花のピークで、現在でも畑には何本もの花が咲いている。
柳瀬さん宅では昔ながらの赤イモと、現在主流の品種の白イモ両方を栽培しているが、白芋の方が花が咲きやすい傾向にあるという。
「この方法でやってみれば、誰でも3年後には花が咲くから」と柳瀬さんは話す。
4.足立区伊興本町二丁目で農業を営む田中正次さんの自宅近くの畑で、めずらしいサトイモの花が咲いた。約30㎡ほどの広さでサトイモが栽培されている。花は、サトイモの大きな葉の陰で、薄黄色く筒状の形をして咲き、この筒状の花弁の長さは約30cm程もある。花は9月1日に初めて花を咲かせ、今日また別の花を咲かせた。花の寿命は約1日、今日咲いた花は明日にはもうしおれて枯れてしまうとのこと。
畑の所有者田中正次さんは「私は農業を60年以上やっていますが、サトイモに花が咲いたのを見たのは10年前に咲いて以来2回目です。ちまたではサトイモの花は50年に一度咲くかどうかと言われたりしていますから、花を咲かせると良いことがあるとか縁起がいいといわれます。本当に嬉しいですし、何かいいことありそうですよ」とにこやかに話していました。