「パティシエになりたーい!」ブログ。

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「赤毛のアン」のいいセリフ・49話

2015-11-26 23:37:57 | 赤毛のアン
第49話「曲り角」より
さあ……!来たよ……!!!実質のクライマックス回!「赤毛のアン」という作品が、自分の中でものすごく特別だとはっきり認識したのはこの回です。子供時代のハチャメチャっぷりも大好きだ、大好きだけど……あのアンが、成長してここに至るってのが、すごく、すごくいい……!!
マリラが高名な眼科医の先生に診てもらうためにシャーロットタウンに出かけて、今日は家事をアンが全部やるらしい。オーブンの温度を手の感覚で測り(すげえ)、パンを入れようとしたところで、ノックが。ダイアナだった。そういやあの、突然ダッシュで帰っちゃったのは昨日でした。
「あら、ダイアナ!」
「……その顔を見て安心したけど、昨日はどうしちゃったの、アン?」
「ごめんなさい。あたし急にマシュウのことを思い出して…。」
「そんなことじゃないかと思って、懲りずに今日も誘いに来たのよ。もうそろそろ未来に向かって生きなくちゃ。」
……ここ、ねえ……!いや、何でもないワンシーンかもだけど、ダイアナ大好きな私にはたまらなく泣けてくるシーンなんですよ…。ダイアナ、ノックして、アンの返事にドアを開ける時はまだ無言で、表情も…いやあからさまに「そう」じゃないんだけど、やや緊張してるように見えるんですよね…。笑顔で迎えるアンの顔に「安心した」ってのは心からの本音だと思う。
…昨日はアンが急に帰ってしまった。アンはダイアナのせいじゃないって言ってたけど、自分が何か不用意なことを言ったんじゃないかとか、まだ連れ出したりするのは早すぎたかも、おせっかいだったかなとか……あの後、相当一人で悩んだんだろうなあ。…でも、悩んだ末に、それでも自分はおせっかいを貫こうと決めて、「懲りずに今日も」来たダイアナ……!!アンがまだ泣いていたらどうしよう、自分の顔を見て申し訳なさそうに、誘いを断られたらどうしよう。ドアを開ける瞬間、そんな風に考えないわけがないですよね…。悲しい気持ちを理解してないわけじゃない。だけど、いつかは未来に向かって顔を上げなくちゃならない。それなら自分が手を引いてあげたい……、って考えるダイアナが、大好きです!!大好きです!!!!うちもダイアナみたいな親友でありたい…けど無理だからダイアナみたいな親友が欲しい…いやもうそれはいるわ!(ダイアナのことを考えると必ず最終的にこの一人ノリツッコミになる)(……)
だからこれはセリフピックアップの記事だっちゅーの!!描写のないダイアナの心情を想像してそれに何行も使ってどうする!!
アンは明るい感じでダイアナに家事の手伝いを頼み、ダイアナも「もう昨日みたいなことはないって約束するなら手伝ってあげるわ。」って言って、これで昨日のことは終わり!二人は家事を片付け、今日こそダイアナの家に新型ミシンのお披露目となったのでした…。本当、いいなこの二人って…。
夕方、街から戻ってきたマリラはがっくりと疲れていた。…目の症状は思った以上に深刻で、お医者さんからは読書も縫い物も(なんと泣くことも!)、目に負担になることは全部やめないと半年以内に失明すると言われたらしい…。頭を抱えて嘆くマリラを必死に励ますアンだけど、マリラが早めに寝床に入るのを見送って、お皿を洗う時には一人で…泣いていた…。
ナレーションさんがここから全部言ってくれますよ…。
「アンの心は鉛のように重かった。エイブリー奨学金受賞という栄光に包まれて家に帰って来た晩から見ると、何という悲しい変わり方をしたことだろう。あの時は、希望と喜びにあふれていて、未来はバラ色に輝いていたというのに…。アンには、あの時からもう何年も経ってしまったように思えた。」
最初は部屋で一人何か考えていたアンが、マリラの寝室を覗いてその寝顔を見て、それから外に出る。いつもダイアナと待ち合わせをする小川の橋の上で、じっと川面を見つめている…。
「…しかし、やがてアンの口元には微笑みが浮かび、心も平静に復していた。アンは自分の為すべきことをしっかりと真正面から見据え、そこに味方を見出したのだった。義務というものが、率直にこれを受け入れる時に、いつもそうであるように。」
ここね…、ナレーションさんの言葉に添う、アンの表情の変化がとてもいいです…。まずは微笑み、キリッとした顔でグリーンゲイブルズの方を振り返り…、両目から涙がこぼれて…。でも…その涙を拭ったら、もう、穏やかな顔になってるんですよね…。そして家に戻っていく。一度立ち止まり、じっと自分の愛するグリーンゲイブルズを見上げてから、戻っていく…。セリフはひとつもないんです。ナレーションさんしかしゃべってない。ものすごく好きなシーンです。いつもあの、最後の涙で泣いちゃうけど。
一体どれだけの…決意だったんだろうね……。
次の日からアンはさっそく行動し始めます(馬車、運転?できるのね…!結構びっくりした…!)。マリラの方にはリンドさんがしょっちゅう来て、…アンの知らないうちにグリーンゲイブルズを売る話が少しずつ進んでいる。マリラもそのためにアンの行動を気にする余裕もなくて…
ある日、グリーンゲイブルズにアンの知らない人が来ていた。…その人の目的がグリーンゲイブルズを買うための下見だと知って、アンは驚愕。マリラにこの家を売るつもりなのかと聞いて、……もう、ここからのマリラの涙ながらのセリフが……何度聴いてもとても辛い……。マリラもさんざん考えたけど、リンドさんの勧めに従ってこの家を手放す話を進めることにしたんだって…。目のことさえなければ一人でもやっていけたかもしれないけれど、って…。
アンが奨学金をもらっていてくれて本当に助かった、って言うとこの震える声が…;; 家は売っちゃうから休みの時に帰ってくる場所がなくなるのは申し訳ないけど、アンなら上手くやっていけるって……そう言って、顔を覆って泣いてしまうマリラが本当に…辛そうで…見てられない…。
でも、アンが。
アンが、涙をぬぐって、この家を売っちゃいけないって言う。…マリラを一人にはしないって、自分がいるって、……レドモンドには行かないことにしたって……明るく言うんだよね。
さすがのマリラもこれにはビッックリして、顔を上げて聞き返す。あまりの驚きに涙も止まってしまった(…よかった。泣くのもよくないんだよね?目に)。
「今言った通りよ。奨学金は辞退するの。マリラが街へ行ってきた日の晩にそう決めたのよ?…マリラが困っている時にどうしてあたしがほっておけるかしら。どれくらいあたしのために尽くしてくれたか知れないのに。」
でも、というマリラの言葉を遮り、ここ数日、自分の練ってきた計画をマリラに話すアン。畑は申し出のあったバリーさんに貸すことにして、自分は先生になるって(願書も出してきたらしい)。アボンリーの学校はもうギルバートが決まってるらしいけど、カーモディならいけそうなんだって。それならここにも頻繁に帰ってこれるしマリラに本を読んであげることもできる。寂しくさせないって…。
それでも、マリラはまだ、手放しで喜んだりできない。…当然だよね。アンは奨学金を得るために想像を絶するような努力を重ねてきてて…それをマリラはよくよく知ってるんだから。自分のためにアンを犠牲にはできないって…。
でも、アンは。
「とんでもない!犠牲なんかじゃないわ。グリーンゲイブルズを手放す以上に悪いことはないのよ。それがあたしにとって一番辛いの。…この古い大事な家を何としても守らなくちゃ。」
「でもそれじゃああんたの野心が…」
「あたしの野心ならちっとも変わらないわ。ただ対象が変わっただけなの。あたし立派な先生になるつもりだし、マリラの目を守りたいのよ。それに家で勉強して大学の課程を一人でやってみるつもりなの。…ああマリラ!この一週間、ずっと考えていたの…!」
さあここだ。せっかくだからフォントサイズも変えてみようか…!
「クイーンを卒業した時は、未来が一本のまっすぐな道のように思えたわ。でも、今はそこに曲り角があるのよ。角を曲がると、どんなことが待っているのかわからないわ。その先の道は、緑の輝きと柔らかい色とりどりの光と影に包まれたものかもしれないし、見たこともない美しいカーブや丘や谷が待っているのかもしれない。…でも、あたしは一番いいものがあるって信じてるの!だから全力を尽くしてやってみるわ!!…そうすればきっとそれだけのものは返ってくると思うの。」
…よく考えると前にフォントサイズを変えてまで強調したセリフはあの痛み止め入りケーキの話の「…でも痛み止めは毒にならないわ!!」だった気がするwww(なんでいいシーンなのに台無しにするんだわたし…)
まあそれはともかく、見ての通りタイトルの「曲り角」はこのセリフからですね。とても有名なセリフですね。またアンがここ、すごくキラキラした目で話しているのがとてもいい…。
でも忘れちゃいけないのは、その決意のシーン…この回の前半で見れるあのシーンで、アンは一人で涙を流していたことだと思います。だからといってこのセリフが無理してるとか、我慢してるとかじゃないのは、本当にアンが言う通りなんでしょう。何度も書くけど、あの奨学金のためにアンは長い間努力をし続けてきたし、当然犠牲にしたものだってたくさんあったと思う。…多分、アンは、あの涙が最後って決めたんだ。栄光の未来を、まっすぐな方の道を、選べなかった悔しさ、悲しさに対する涙は、もうあれで最後にするって…。
そして曲り角の方へ進むことを決めたんだ。笑顔で、全力で、そこにある風景を楽しんで進むことに決めたんだ…!
本当に、すごい。すごい好きなセリフ。こんな風に言える、アンみたいになりたいって思う…!!
アンの揺るぎない決意を受けての、ラストのマリラのセリフも素晴らしいです。
「…よく言っておくれたね、アン。あんたのおかげで生き返ったような気がするよ。本来ならここでもうひと頑張りして、あんたを大学に行かせるべきなんだろうがね。…あたしにはもうできそうもない。だからもうできるフリもしないでおこうよ。……でもねえアン。あんたのためになるなら、いつでもこの家を手放すつもりだよ。」
お互いを心から想い合う二人は、抱き合って静かに涙を流すのでした…。
ああ素晴らしい。「赤毛のアン」素晴らしい。

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