☆筋力は1年に1%の割合で減っていく…
「人間は、筋肉から衰えていく動物であり、
衰えるのも、甦(よみがえ)るのも、元気に長生きできるかどうかのカギも、筋肉が握っている」
筑波大学大学院人間総合科学研究科教授の久野譜也さんは、そう断言する。
筋肉量は20~30代をピークに1年に1%の割合で減っていき、
閉経によってホルモンバランスが変わると、減少のペースが加速。
年代ごと下記のようなトラブルを引き起こし、80代の筋肉量はピーク時の30~50%になってしまう。
●30代
・疲れがたまりやすくなり、翌日に持ち越す
・運動会で転んでしまう
・肌のたるみが気になる
・冷え性がひどくなる
●40代
・たまにつまずいたり、転んだりする
・代謝が落ち、中年太りが進む
・姿勢が悪いと言われる
・腰痛や肩こりに悩まされる
●50代
・体力がめっきり低下、階段を急いで上ると息切れする
・反射神経が鈍くなってきた
・体が硬くなる
・健康診断でメタボと指摘される
●60代
・よろけたり転ぶことが増えた
・座り姿勢からすっと立ち上がれない
・ひざや腰など、関節が痛む
・尿漏れするようになった
●70代
・歩くスピードが落ちた
・ちょこちょこ歩きになった
・ペットボトルのふたが開けられない
・むせたり、せき込むことが増えた
☆体の不調は筋肉量の低下に原因が
「これらの体の不調の主な原因は、筋肉量の低下にあると考えられています。
『ウオーキングをしているから大丈夫』という人がいますが、
残念ながら筋肉量の低下に、ウオーキングの効果は、ほぼゼロ。
筋肉を増やすには、筋トレをするしかないんです。
ただ、いくつになっても筋肉は鍛えられ、増やせることも事実です」(久野さん)
つまり、筋肉を意識して体を動かし、筋肉量をキープすれば、
衰えを食い止めることができ、最後まで「動ける体」をつくることはできるのだ。
とはいえ、「運動は苦手」な人はどうすればいいのか?
秘策は「チリつも」にあり!
☆普段の生活の中に“筋トレ”を取り込む
「朝起きたら顔を洗い、歯を磨くように、
筋トレも習慣づけることができれば、3週間ほどで効果は、自覚できる」
そう力強く語るのは、『簡単ストレッチですぐにペタ腹!10秒おなか伸ばし』(光文社)の著者で
スポーツ&サイエンス代表の坂詰真二さん。
「でも、最初から張り切りすぎると、筋肉痛に悩まされ疲れてしまい、三日坊主になりやすい。
テレビを見ながらでも、ふと気づいたときに筋肉を意識して正しく動かせば、
たとえ1分であっても効果はあります」(坂詰さん・以下同)
たとえば下で紹介している、
【1】の「上体反らし」の場合、お腹の上部が床から離れるまで反らせば、充分に背筋が鍛えられる。
しかしつい張り切りすぎて、お腹の下部が床から離れるほど無理に上体を反らすと、
効果が出るどころか筋を痛める可能性がある。
「それに、立ち上がるごとに、姿勢を正すのもいい方法です。
加齢によって下半身の筋肉が衰えると、足の裏の外側に体重をかけて、立とうとします。
これではひざが、外に開いてO脚になり、ひざや股関節に大きな負担がかかります。
足の裏の内側を意識して歩けば、下半身に力が入りやすくなり、ふらつくこともありません」
最強の筋トレといわれるスクワットも、正しく行うのは難しいイメージがある。
「椅子の背もたれなどに、つかまって行えば、初心者でも簡単にできます。
私の祖母は、それまで何も運動していなかったのに、
70代後半から今回紹介した家でできる筋トレを始めて、
98歳でも、元気に台湾旅行に参加することができました」(久野さん)
何歳からでも筋肉を鍛えられる筋トレは、“いま”こそ、始め時なのだ!
☆リビングでくつろぐなら・・・チリつも運動10選
くつろぎのスペースであるリビングは、
床に座ったり、寝転んだりした姿勢からの筋トレに最適。
1時間に1回、筋トレタイムを組み込めば、いまいる場所がトレーニングスタジオになる。
部屋の移動の際も、たとえ数歩でも筋トレにつなげよう。
1.【背中・腰】ちょい上体反らし
2.【お腹】背起こし腹筋
3.【お尻・二の腕】尻浮き座り
4.【脇腹・骨盤矯正】お尻歩き
5.【お尻・太もも】アヒル歩き
6.【ふくらはぎ】ドア開閉足首伸ばし
7.【お尻・太もも】つかまりスクワット
8.【前もも】スマホ操作deプチトレ
9.【お腹】背中丸め座り
10.【お腹】10秒de腹ペタポーズ
教えてくれた人
久野譜也さん/筑波大学大学院人間総合科学研究科・教授、坂詰真二さん/スポーツ&サイエンス代表
取材・文/山下和恵 イラスト/斉藤ヨーコ、カツヤマケイコ ・・ 》
今回、女性向けの《・・健康で長生きのカギは「筋肉量」、運動嫌いでもできる”チリつも運動10選”・・》、
まもなく77歳になる男性の私でも、学びながら多々教示されたりした。
そして何事も実践ょ・・と思い、
『1.【背中・腰】ちょい上体そらし』に挑戦したが、
何かと不器用な私は、すぐにできず、やむなくパスをした。
この後、『2.【お腹】背起こし腹筋』をして、
これだったら私でもできるょ・・と微笑んだりした。
いずれにしても、何かと不器用な私でも、少しづつ実践して、
やがて「筋肉量」は増して、あと3年すれば80歳となるが、
要支援、要介護にも無縁で、日常生活を自立した言動で迎えられるかしら、
と微笑んだりした。