夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

東京郊外の私の住む地域は、早くも錦繍の数多くの葉は舞い、そして故郷のひとつを訪ね・・。

2012-11-27 15:57:18 | 定年後の思い
私は定年退職後に年金生活を始めた直後から、我が家の平素の買物担当となっているので、
いつものように午前中のひととき、最寄りのスーパーに出かけた。
雲ひとつない青空の快晴であったが、ときおり北風が強く吹き、
欅(ケヤキ)、コナラ、桜(サクラ)、梅(ウメ)などの落葉樹の葉は、空中をさまようように舞い、やがて地上に落下し、
路の片隅に吹き寄せのように朱紅色、黄色の色あいが重なるようになったりしている。

私の住む所は東京郊外の調布市であるが、世田谷区と狛江市の隣接した調布市のはずれにあり、
付近には野川が流れ、霞嶺(かすみね)神社、明照院があり、私の生家も近くにある。
私は結婚前後の5年を除き、この地を60数年ばかり過ごしているので、
心のふるさとの原景も我が家の周辺にある。

毎年、11月3日の『文化の日』の頃から、あまたの落葉樹の葉は、朱色、紅色、黄色などに多彩に染めはじめ、
23日の『勤労感謝の日』の頃になると、周囲一帯までは朱色、紅色、黄色などに染めら錦繍(きんしゅう)の情景となる。
この後は公孫樹(イチョウ)の黄色い葉が主役となり、彩(いろど)りを見せ、
舞い散る頃に12月の『師走(しわす)』の初旬を迎えている。

私は買物を終えて、自宅に向う途中、大きな公孫樹(イチョウ)の樹は、たわわな葉は黄色に染められ、
強い北風を受けても葉を落とす様子もなく悠然と受けて、平年と変わらないねぇ、と私は思わず微笑んだりした。

帰宅後、私は自宅周辺を散策した・・。
付近に流れている野川の遊歩道を歩こうと、近くの橋に向った。
                    
澄み切った青空の中、北風は強く吹き、近場を歩こうとして、糟嶺(かすみね)神社に向った。
この途中で、大きな公孫樹(イチョウ)の樹が見えて、思わず私は足を止めた。
                    
たわわな葉は黄色に染められていたが、一部は早くも葉を落とし、地上に散乱していたので、
少し早いじゃないの、と心の中で呟(つぶや)いたりした。

この後、再び霞嶺(かすみね)神社に私は向った。
     
             
ここは私が幼年期から小学低学年まで遊んだ場所のひとつである。

何かしら陵山(みささぎやま)といわれる小高い丘を仲良くふたつに別れて、
高い所には老樹に囲まれた糟嶺神社があり、隣接した低い所には明照院がある。
糟嶺神社に関しては、農業の神、糟嶺大神を祀るかつての村社(武蔵国多摩郡的矢荘入間村)で、
社殿は高さ3.81m、周囲127mの墳陵(墓)の上に建っている、と亡き父の知人から、
私は教えられてきた。
そして推定樹齢が約500年、幹の周囲3.4mのクロマツの古木は、
幼児の頃から私は見つめたりしてきたが、松枯れにより枯死してしまい、
やむなく大きなクロマツの数本を私は眺めたりしてきた。
                  

しばらくして神社を辞する前、神社の片隅にある前方に視えた公孫樹(イチョウ)の樹を見たりした。
                 
私は1944(昭和19)年に北多摩郡神代村(現・調布市の一部)の農家の三男坊として生を受けた。
この当時、祖父、父が中心となって、小作人の人たちの手助けを借りて、
程ほど広い田畑、そして小さな川が田んぼの片隅に流れ、湧き水もあり、
竹林、雑木林が母屋の周辺にあった。
そして母屋の宅地のはずれに蔵、物置小屋と称した納戸小屋が二つばかりあり、
この地域の旧家は、このような情景が、多かった・・。

そして、この頃の我が家は、周辺は平坦な田畑、雑木林、
少し離れた周辺はゆるやかな丘陵であり、国分寺崖、と学校の先生たちは称していた。

その後、私が1953(昭和28)年の小学2年の三学期に父が病死し、
翌年の1954(昭和29)年の5月に祖父も他界され、
我が家として大黒柱の2人が亡くなり、没落しはじめた・・。

そして1955〈昭和30〉年の頃から、都会の人たち達が周辺に家を建てられ、
私が小学校を卒業した1957〈昭和32〉年であるが、
この頃になるとベットタウンとなり、新興の住宅街に大きく変貌した。

このように私の生家の地域は大きく時代と共に変貌し、
私も生家の近くに1978〈昭和53〉年の春に一軒屋を構えて住んできたが、
糟嶺神社の基軸の情景は余り変わらない、と改めて深く感じたりした。

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コメント (1)
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